白薔薇の紋章

サクラ

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第一章 血を受け継ぐ者

第1話

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「白薔薇の血は呪いの血
  お前のからだの中に流れる血は
           悪しき呪いの血」


「血で染められた歴史
  おまえはそれを受け継ぎ
   そして繰り返すために生まれた可愛そうな娘」


や・・・・やめて
怖い、気持ちが悪い・・・・


「死ぬために生まれ
  その白い肌は血で真っ赤に染まり
   生まれてきたことを呪うことしかできない悲しい運命」


なんなの・・・・血・・・運命・・・・


「私の手をつかめ
  そうすればお前を呪われた運命から
   助け出してやろう」


目の前は暗闇
光を全てさえぎっている空間を歩いているのは私
頭上に響く低くて気持ちが悪い声

真っ暗なはずなのに
向こう側の景色が見える




目の前に広がるのは
真っ青に広がる青空と
一面に咲く大輪の白い薔薇。
その中央に、バラと同じく白い着物に身をまとう女性が一人。
その手には日本刀が握られていた。


私はその人に近づこうとして足を踏み出した。
その瞬間、目を開けていられないほどのすさまじい風が吹いて、私の行く手を阻む。
なんとか目を開いてみると、先ほどの女性の前に大きな黒い化け物が立っていた。

その姿に驚いて後ずさろうとしても
体が重くて動けない。
足元を見て見ると、薔薇の間から無数の手が伸びていて、私の足に絡みついている。
(助けて!)と叫びたいのに声が出ない。
私を掴んでいる手は徐々に私の体に登ってくる。

あ…

女性と目が合う。
彼女は柔らかく笑うと。
日本刀を強く握り、そして化け物に向かって振りかざした。

化け物は真っ二つに切り裂かれた。
それと同時に私に絡みついていた無数の手がスッと消えた。


着物の女性は化け物の返り血で
白い着物が真っ赤に染まってしまった。
彼女の周りに咲いている薔薇もまた
その血で真っ赤に染められていた。

私は彼女に何も言うことが出来ず、
ゆっくりと瞼を閉じた。


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