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【1部】第五章.いざ行かん馬車の旅
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案内された客間は1階にあり窓を開ければ、そこから直接庭に出ることも出来るようになっているようだが、今は色々ありすぎて体力が限界に近い。治癒ポーションで、多少なりとも体の疲れは取れているけど、ゆっくり休みたい。
見るからにフラフラの私を見かねたのか、アンナさんからお風呂の提案を受けた。
「ブロッサム様、お風呂の用意が出来ておりますのでお入りになられてはいかがでしょうか?」
お風呂!!入りたい!!
乗馬のせいでめっちゃ汗かいたし、さっぱりした!!
「あ、はい。入りたいです」
「承知いたしました。ではご案内させていただきます」
お風呂入るなら着替え必要だよね。
カバンから着替えを出そうとすると、アンナさんに止められてしまった。
「服はこちらで用意させていただいておりますのでご安心ください」
「えっ!そこまでしていただくわけには……」
「子爵様の指示でございますので、どうかお受け取り下さいませ」
そこまで言われてしまうと拒否しにくい…
というか、準備万端すぎん?
お風呂は、客間の一角にあった。
ホテルみたいだね。
「まずはお風呂の使い方を説明させていただきます…」
一通り使い方を教えて貰ったが、魔法石で水を出したり温めてお湯を出したりしている事以外はニホンで使っていたお風呂と変わらなかった。石鹸にくわえて、シャンプーやコンディショナーまで揃っているのはありがたい。
「ありがとうございます。これなら入れます」
「手伝いは必要でしょうか?」
「へっ?あ、いえ、一人で入れるので大丈夫です!!」
「承知いたしました。お召し物はこちらに置いておきます。お脱ぎになった服などは、籠にお入れください。洗濯をして明日の朝にお返しいたします。では外で待機しておりますので何かありましたらお声がけくださいませ」
ぺこりと礼をして、アンナさんは脱衣所から出て行った。メイドさんに対応してもらうなんて初めてだから、なんだか現実味が無いよ。
「体験した事のない体験だ…」
私はホッと息をついて、服を脱ぎ始めた。
(ライム、もう出てきて大丈夫だよ)
そう声をかけると、服の中に隠れていたライムがぴょこんと出てきた。
(あるじ、おふろ、なに?)
(温かい水が沢山あるところ。体を綺麗にするんだよ)
(みず、あたたかい?)
(そう。温かい水。一緒に入ろ)
(わかった)
馬車での旅の途中、こっそり服や体にクリーンをかけてはいたけど、やっぱり石鹸で洗う方がスッキリさっぱりする。
ポーションで有名な場所だからなのかは分からないけど、石鹸もシャンプーもハーブのいい香りがする。
ライムにもお湯をかけてあげた。
(このみず、へん、これ、あたたかい?)
(そうだよー、お湯につかる前に、身体を綺麗にしないとなんだよ)
石鹸で洗っても大丈夫か分からなかったから、ライムにはお湯をかけるだけにした。
そして私は、一通り体を洗い終わって待望の浴槽に入った。
「はぁぁぁーーーお風呂気持ちいぃぃぃーー」
思わず声が出てしまった。控えめに言っても最高です。
ライムも浴槽に入れてみたけど、大雨の時の事を思い出すらしく怖がったので、風呂桶にお湯を入れその中に入れて上げた。
(これなら、こわくない)
(そっか、それなら良かった)
こうして私は、久しぶりのお風呂をゆっくり堪能したあと、アンナさんが用意してくれた服を広げてみた。
肌触りの良い綺麗な藤色の木綿のワンピースと足首できゅっと絞られているグレーのズボンだった。
着てみると、とても着心地が良かった。
そくささと髪を魔法で乾かして浴室を出た。
「リラックスできました…か?」
「はい、とても気持ち良かったです!」
お風呂に入って少しだけ元気になった私は、ニッコリ笑顔で答えた。
しかし、アンナさんは何やら複雑な顔をしている。
「あの、ブロッサム様…肩に乗っているそれは…」
「あっ!えっと…あの…私の従魔です!!」
しまった、お風呂が気持ちよすぎてライムに隠れてもらうの忘れた…
いきなり肩にスライムのっけて出てきたら、そりゃぁ困惑するわ。
「そ、そうですか…」
「大丈夫です!!この子はおとなしいので悪さとかしません!!」
私は慌ててライムは悪さをしない事を説明した。
「ふふふ、ブロッサム様、そんなに慌てなくても大丈夫でございますよ。この屋敷の結界を通れたという事は害意が無いという事ですから、そこは心配しておりません。私の方こそ不安にさせるような態度を取ってしまい申し訳ございません。お茶を入れてまいりますので、ソファーに座ってお待ちください」
アンナさんはそう言うと、一礼して部屋を出て行った。もしかしたら、ライムの事について相談しに行ったのかも知れない。まあ、追い出されたら追い出されたで安全空間に入れば良いや。
ソファーに座った途端、どっと眠気が押し寄せてた。
駄目だ…猛烈に眠い…
(あるじ、だいじょぶ?)
(ライムありがとう…疲れちゃって眠いだけだよ。ライムはお腹減ってない?大丈夫?)
(らいむ、だいじょぶ。あるじ、やすんで?)
(うん…)
お茶を用意しに行ってくれたアンナさんには悪いけど、眠気がヤバすぎる。
ふらふらとベットへ行くと、潜り込んだ。
ライムも一緒にベットへ入ってくれた。
(おやすみ…)
口の中でそう呟くと私は眠りに落ちた。
見るからにフラフラの私を見かねたのか、アンナさんからお風呂の提案を受けた。
「ブロッサム様、お風呂の用意が出来ておりますのでお入りになられてはいかがでしょうか?」
お風呂!!入りたい!!
乗馬のせいでめっちゃ汗かいたし、さっぱりした!!
「あ、はい。入りたいです」
「承知いたしました。ではご案内させていただきます」
お風呂入るなら着替え必要だよね。
カバンから着替えを出そうとすると、アンナさんに止められてしまった。
「服はこちらで用意させていただいておりますのでご安心ください」
「えっ!そこまでしていただくわけには……」
「子爵様の指示でございますので、どうかお受け取り下さいませ」
そこまで言われてしまうと拒否しにくい…
というか、準備万端すぎん?
お風呂は、客間の一角にあった。
ホテルみたいだね。
「まずはお風呂の使い方を説明させていただきます…」
一通り使い方を教えて貰ったが、魔法石で水を出したり温めてお湯を出したりしている事以外はニホンで使っていたお風呂と変わらなかった。石鹸にくわえて、シャンプーやコンディショナーまで揃っているのはありがたい。
「ありがとうございます。これなら入れます」
「手伝いは必要でしょうか?」
「へっ?あ、いえ、一人で入れるので大丈夫です!!」
「承知いたしました。お召し物はこちらに置いておきます。お脱ぎになった服などは、籠にお入れください。洗濯をして明日の朝にお返しいたします。では外で待機しておりますので何かありましたらお声がけくださいませ」
ぺこりと礼をして、アンナさんは脱衣所から出て行った。メイドさんに対応してもらうなんて初めてだから、なんだか現実味が無いよ。
「体験した事のない体験だ…」
私はホッと息をついて、服を脱ぎ始めた。
(ライム、もう出てきて大丈夫だよ)
そう声をかけると、服の中に隠れていたライムがぴょこんと出てきた。
(あるじ、おふろ、なに?)
(温かい水が沢山あるところ。体を綺麗にするんだよ)
(みず、あたたかい?)
(そう。温かい水。一緒に入ろ)
(わかった)
馬車での旅の途中、こっそり服や体にクリーンをかけてはいたけど、やっぱり石鹸で洗う方がスッキリさっぱりする。
ポーションで有名な場所だからなのかは分からないけど、石鹸もシャンプーもハーブのいい香りがする。
ライムにもお湯をかけてあげた。
(このみず、へん、これ、あたたかい?)
(そうだよー、お湯につかる前に、身体を綺麗にしないとなんだよ)
石鹸で洗っても大丈夫か分からなかったから、ライムにはお湯をかけるだけにした。
そして私は、一通り体を洗い終わって待望の浴槽に入った。
「はぁぁぁーーーお風呂気持ちいぃぃぃーー」
思わず声が出てしまった。控えめに言っても最高です。
ライムも浴槽に入れてみたけど、大雨の時の事を思い出すらしく怖がったので、風呂桶にお湯を入れその中に入れて上げた。
(これなら、こわくない)
(そっか、それなら良かった)
こうして私は、久しぶりのお風呂をゆっくり堪能したあと、アンナさんが用意してくれた服を広げてみた。
肌触りの良い綺麗な藤色の木綿のワンピースと足首できゅっと絞られているグレーのズボンだった。
着てみると、とても着心地が良かった。
そくささと髪を魔法で乾かして浴室を出た。
「リラックスできました…か?」
「はい、とても気持ち良かったです!」
お風呂に入って少しだけ元気になった私は、ニッコリ笑顔で答えた。
しかし、アンナさんは何やら複雑な顔をしている。
「あの、ブロッサム様…肩に乗っているそれは…」
「あっ!えっと…あの…私の従魔です!!」
しまった、お風呂が気持ちよすぎてライムに隠れてもらうの忘れた…
いきなり肩にスライムのっけて出てきたら、そりゃぁ困惑するわ。
「そ、そうですか…」
「大丈夫です!!この子はおとなしいので悪さとかしません!!」
私は慌ててライムは悪さをしない事を説明した。
「ふふふ、ブロッサム様、そんなに慌てなくても大丈夫でございますよ。この屋敷の結界を通れたという事は害意が無いという事ですから、そこは心配しておりません。私の方こそ不安にさせるような態度を取ってしまい申し訳ございません。お茶を入れてまいりますので、ソファーに座ってお待ちください」
アンナさんはそう言うと、一礼して部屋を出て行った。もしかしたら、ライムの事について相談しに行ったのかも知れない。まあ、追い出されたら追い出されたで安全空間に入れば良いや。
ソファーに座った途端、どっと眠気が押し寄せてた。
駄目だ…猛烈に眠い…
(あるじ、だいじょぶ?)
(ライムありがとう…疲れちゃって眠いだけだよ。ライムはお腹減ってない?大丈夫?)
(らいむ、だいじょぶ。あるじ、やすんで?)
(うん…)
お茶を用意しに行ってくれたアンナさんには悪いけど、眠気がヤバすぎる。
ふらふらとベットへ行くと、潜り込んだ。
ライムも一緒にベットへ入ってくれた。
(おやすみ…)
口の中でそう呟くと私は眠りに落ちた。
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