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ああ、本当にフォーセル家の別荘へ来てしまった――
お兄様とマレーナ王女、そして、エルドと私それに勿論、護衛でハンスも来ている。
なぜ、エルスト王子は来なかったのかと思ったら、どうやらお兄様とマレーナ王女との婚約の話しを進める為、いち早くフォシェーン王国へ戻ったらしい。
そして、この別荘で私とハンスにとっての最重要イベントともいうべき事が起こる……はず!
皆で敷地内の森に散策しに行って、私が野鳥に気を取られている間にハンスと二人、皆とはぐれてしまうのだ。しかも雨まで降ってきて別荘から離れた山小屋で雨宿りをして、帰れなくなってしまう。でも、その山小屋で私とハンスは互いの気持ちを確かめ合うんだけど……。
そう!この間のキスは失敗しちゃったけど、ここをしっかり押さえれば、私とハンスが結ばれる未来は問題ないはず!!
それに、この別荘でエルドはマレーナ王女に付きっきりで私の事なんて相手にしないから、私はハンスとの事に集中すればいい――
――と思っていたのに……
「レイア、あっちに花が咲いてたよ」
「まあ、本当ね。綺麗」
「レイア、あっちに野生のシカの群れが走ってる!」
「え?ああ、本当。凄いわ」
「レイア!あっちに……」
待って、待って。エルドが滅茶苦茶私に構ってくるんだけど、どういうつもり!?
それにエルドがマレーナ王女を全然構わないから、マレーナ王女はお兄様といい感じになっちゃってるし、それで良いの、エルド!?
しかも、ハンスはどうしてあんなに遠くから見守ってるの!?小説だとレイアの側にずっといたよね!?
野鳥を見つけてはしゃぐレイア王女が可愛くて、独り占めしたくなった。ってモノローグ忘れてないわよ!?だから、皆が先に行ったのに気付いていてもレイアに声をかけなくて、結果雨に降られて二人で山小屋で雨宿りする事になったんだから!
レイアの頭が混乱しているとエルドはレイアの手を引いて
「この先に俺しか知らないとっておきの場所があるんだ」
と言って、二人で皆から離れて別行動をし始めた。
「ちょっと、エルドどこにいくの!?」
レイアの手を引いて坂を登って行くエルドに、レイアは懐かしさと嬉しさを感じていた。
小さい時もこうやって私の手を引いて丘を登ってくれたのよね。こうやって、手を引かれているとあの時みたいに何も気にする事なく、ただエルドを好きでいた頃みたい……。
そして、しばらくするとけたたましい水の音がしてきた。
「もう少しだ」
エルドがそう言うと、木々を抜けた所に滝があった。
「わあ!凄い!!」
「なかなかの絶景だろ?」
「ええ。とっても!」
この森にこんな所があるなんて、小説にも書いてなかったわね。
そして、しばらく二人でその滝を眺めているとふと皆が居ない事に気付いた。
「あら!皆はどこに!?」
ハンスも居ないじゃない!
「ああ、皆には先に行ってもらった。心配しなくても、うちの森だから帰り道もちゃんと分かってるよ」
とエルドは得意そうに答えた。
「そ、そう。じゃあ、急いで皆の所に戻らないと……、よね」
だってこの後、ハンスと二人で山小屋で雨宿りする事になるんだから……。
ハンスと気持ちを確かめ合わなければいけないのに、何故かそれがとても重荷に感じてしまった――
お兄様とマレーナ王女、そして、エルドと私それに勿論、護衛でハンスも来ている。
なぜ、エルスト王子は来なかったのかと思ったら、どうやらお兄様とマレーナ王女との婚約の話しを進める為、いち早くフォシェーン王国へ戻ったらしい。
そして、この別荘で私とハンスにとっての最重要イベントともいうべき事が起こる……はず!
皆で敷地内の森に散策しに行って、私が野鳥に気を取られている間にハンスと二人、皆とはぐれてしまうのだ。しかも雨まで降ってきて別荘から離れた山小屋で雨宿りをして、帰れなくなってしまう。でも、その山小屋で私とハンスは互いの気持ちを確かめ合うんだけど……。
そう!この間のキスは失敗しちゃったけど、ここをしっかり押さえれば、私とハンスが結ばれる未来は問題ないはず!!
それに、この別荘でエルドはマレーナ王女に付きっきりで私の事なんて相手にしないから、私はハンスとの事に集中すればいい――
――と思っていたのに……
「レイア、あっちに花が咲いてたよ」
「まあ、本当ね。綺麗」
「レイア、あっちに野生のシカの群れが走ってる!」
「え?ああ、本当。凄いわ」
「レイア!あっちに……」
待って、待って。エルドが滅茶苦茶私に構ってくるんだけど、どういうつもり!?
それにエルドがマレーナ王女を全然構わないから、マレーナ王女はお兄様といい感じになっちゃってるし、それで良いの、エルド!?
しかも、ハンスはどうしてあんなに遠くから見守ってるの!?小説だとレイアの側にずっといたよね!?
野鳥を見つけてはしゃぐレイア王女が可愛くて、独り占めしたくなった。ってモノローグ忘れてないわよ!?だから、皆が先に行ったのに気付いていてもレイアに声をかけなくて、結果雨に降られて二人で山小屋で雨宿りする事になったんだから!
レイアの頭が混乱しているとエルドはレイアの手を引いて
「この先に俺しか知らないとっておきの場所があるんだ」
と言って、二人で皆から離れて別行動をし始めた。
「ちょっと、エルドどこにいくの!?」
レイアの手を引いて坂を登って行くエルドに、レイアは懐かしさと嬉しさを感じていた。
小さい時もこうやって私の手を引いて丘を登ってくれたのよね。こうやって、手を引かれているとあの時みたいに何も気にする事なく、ただエルドを好きでいた頃みたい……。
そして、しばらくするとけたたましい水の音がしてきた。
「もう少しだ」
エルドがそう言うと、木々を抜けた所に滝があった。
「わあ!凄い!!」
「なかなかの絶景だろ?」
「ええ。とっても!」
この森にこんな所があるなんて、小説にも書いてなかったわね。
そして、しばらく二人でその滝を眺めているとふと皆が居ない事に気付いた。
「あら!皆はどこに!?」
ハンスも居ないじゃない!
「ああ、皆には先に行ってもらった。心配しなくても、うちの森だから帰り道もちゃんと分かってるよ」
とエルドは得意そうに答えた。
「そ、そう。じゃあ、急いで皆の所に戻らないと……、よね」
だってこの後、ハンスと二人で山小屋で雨宿りする事になるんだから……。
ハンスと気持ちを確かめ合わなければいけないのに、何故かそれがとても重荷に感じてしまった――
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