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 よく晴れた日、王宮の庭園で王妃主催のお茶会は催されていた――


「フェデリカ嬢、よく来てくれましたね」

 王妃様はニッコリと優しく微笑み、フェデリカを迎え入れてくれた。

「ほ、本日は、お、お招き頂きありがとうございまふ」

 か、噛んでしまった……

 フェデリカは真っ赤になって、泣きそうな顔でマーデン王妃を見たが、マーデン王妃は優しく微笑むと、小さく頷いた。

 その女神のような微笑みにフェデリカは、救われるような思いでマーデン王妃を涙目で見つめた。


「さあ、こちらにどうぞ」

 マーデン王妃はフェデリカを自身の隣の席に案内する。
 フェデリカが、緊張した面持ちで席に着くと待っていたかのように対面に座る令嬢が話しかけてきた。

「まあ、フェデリカ嬢、お久しぶりね」

 げ、レディナ!!

 レディナ・アンドリューはクレリッチ公爵家と並ぶ名門の公爵令嬢で、金髪のウェーブした髪と青い瞳をした華やかな顔立ちや派手な立ち振る舞いで、若い貴族令嬢の中心的存在であった。
 そして、私は彼女が苦手である。

「まさか、今日貴方に会えると思わなかったわ。」

 レディナは、ニッコリと微笑んで言ったが、その瞳はフェデリカを馬鹿にしているのが見て取れた。

 フェデリカが下を向きそうになった所で、マーデン王妃の声が響く。

「さあ、みなさん。今日は美味しいお菓子と、紅茶をたくさん用意したのよ。さあ召し上がって」

 マーデン王妃のお陰で一瞬ピリッとした空気が和やかなものに変わった。
 それからは、皆でお茶とお菓子を楽しみ、フェデリカの緊張も幾分落ち着いて来ていた。

 やっぱりマーデン王妃様って素敵な方だわ。

 その内、レディナ率いる若い令嬢達とマーデン王妃様率いる夫人のグループで別々の話題で盛り上がり始めた。マーデン王妃様のグループでは、ドレスやジュエリーの話に華が咲いており、フェデリカはマーデン王妃様の隣に座っていたので、自然とそこの輪に入っていた。
 そして、若いレディナ達は貴族令息達の噂話で盛り上がり始めた。

 フェデリカにとっては、ドレスやジュエリーの話より、レディナ達が話している事が気になってそちらに聞き耳を立てていた。

「レディナ様は、ご婚約はまだされないのですか?たくさんお話も来ているでしょう?」

「まあ、そうね。でもこの私に釣り合う相手がなかなかいなくて。まあ、同じ位に高い地位でも結婚相手の一人も見つけられなくて困ってる方もいるんでしょうけど」

 とレディナは言うと、フフンとフェデリカを見た。
 レディナと目があってしまったフェデリカは慌てて目を逸らすと下を向いた。

 ああ、絶対レディナに相手がいなくて困ってるってバレてるわ。

「舞踏会も飽きたし、あの法令が出来てからは出会いを求めるなら、首都の若者達が集うカフェがいいわよね。私、この間もね。そこで……」

 とコソコソと何か話し始めるレディナに「まあ!」「平民の男性と!?」と他の令嬢達が声を上げる。

「そうよ。だって、せっかく自由恋愛の法律が出来たんだもの。活用しなきゃ」

 とレディナが楽しそうに笑っている。

 な、なに!?今は首都のカフェで、殿方と出会う事が主流なの!?

 ああ、でもどうせ社交界では結婚相手なんて望めないなら、カフェに行ってみようかしら……。
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