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エピローグ
第38話 山本香澄(10)
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次の日、病院を予約して、病院で検査してもらった。
結果は、妊娠していた。
時期から考えて、絶対に啓一の子供だった。
……啓一とは、子供は授かりものだから、澄子の次の子は、神様に任せようということで。
普通に愛し合えるときに愛し合うだけで、特に妊活なんてしていなかったのに。
……死ねなくなっちゃった。
私は、啓一の子供が宿っているお腹をさすって、これは彼の意思なのかも、と思うことにした。
絶対にこの子は産まなければならないから、私は方々手を尽くした。
会社にも早期に連絡し、しばらくは出産を第一に考えさせて欲しい。万にひとつも流産したくない、と伝えた。
評価がまた下がるか、復帰後に何かあるか、最悪解雇されるかもしれないけど、避けられないことだ。
この子が産めないと、私は生きていることの意味を失う。
仕事は探せばいいけど、この子は今しか産めないし。
殺し屋さんに払った貯金はもう無い。
でも、一般口座にはまだ1年くらいは生きていけるお金があるわ。
クビだったら、それでなんとかやっていこう。
そう思っていたら、会社は別にクビにはならなかった。
あの悪魔に狙われてしまった会社だったけど、今はありがたかった。
そしてあの悪魔は、失踪したことになっていた。
どこかの高級居酒屋で、会計もせずに姿を消したと。
居酒屋から苦情が来て、その最後の足取りが知られることになったのだが、未だ見つかっていない。
見つかるわけない。それを私は知っている。
もう、この世に居ないのだから。何もかも。死体さえも。
殺し屋さんたちの男の子。
悪魔の死骸を全部砂利に変えていた。
どこかに撒くのだろうか?
絶対に見つからないだろう。死体とは似ても似つかないものになっているのだから。
しばらく無断欠勤状態が続き。
社内連絡で、解雇扱いで悪魔が処分されているのを確認した。
次の課長が気になったが、次の課長は外部の人間だと突如失踪するようなおかしなのが入ってくると上が判断したのか。
順当に、社内で適当な人が選ばれた。
最初から、そうして欲しかったですよ。
あの日以来、私を気遣ってか。
たまに徹子ちゃんが私の家に遊びに来るようになった。
ある日、徹子ちゃんが家に来ているときに、おなかをさすっていると。
彼女にその行為を気づかれた。
「山本さん、おなか、どうかしたんですか?」
って、聞かれたから
「実は、亡くなった旦那の子、今おなかにいるの」
と答えたら、大喜びして
「おめでとうございます! 無事産んでくださいね! きっと、素晴らしい子ですよ! 香澄さんと旦那さんの子ですもん!」
って言ってくれた。
やっぱり、いい子ね。
こんなに喜んでくれるなんて。
……そして、しばらく後の日。
その日、買い出しに出て、帰ってきたら。
A4封筒が郵便受けに入ってて。
家に戻って開封してみると
通帳と、キャッシュカードと、印鑑と、手紙。
手紙には「ゼッタイシャベルナ。コンカイダケダ」って書かれてて。
「5648」って4桁の番号。
通帳には、1500万円。
印鑑は、もちろん「山本」で、通帳のものだった。
……正直、この子の学費、どうしようか不安だったから。
とても、嬉しかったわ。
勉強は私が見てあげるとしても、限度があるしね。
……ありがとう、ございます……
私は通帳を抱きしめた。
結果は、妊娠していた。
時期から考えて、絶対に啓一の子供だった。
……啓一とは、子供は授かりものだから、澄子の次の子は、神様に任せようということで。
普通に愛し合えるときに愛し合うだけで、特に妊活なんてしていなかったのに。
……死ねなくなっちゃった。
私は、啓一の子供が宿っているお腹をさすって、これは彼の意思なのかも、と思うことにした。
絶対にこの子は産まなければならないから、私は方々手を尽くした。
会社にも早期に連絡し、しばらくは出産を第一に考えさせて欲しい。万にひとつも流産したくない、と伝えた。
評価がまた下がるか、復帰後に何かあるか、最悪解雇されるかもしれないけど、避けられないことだ。
この子が産めないと、私は生きていることの意味を失う。
仕事は探せばいいけど、この子は今しか産めないし。
殺し屋さんに払った貯金はもう無い。
でも、一般口座にはまだ1年くらいは生きていけるお金があるわ。
クビだったら、それでなんとかやっていこう。
そう思っていたら、会社は別にクビにはならなかった。
あの悪魔に狙われてしまった会社だったけど、今はありがたかった。
そしてあの悪魔は、失踪したことになっていた。
どこかの高級居酒屋で、会計もせずに姿を消したと。
居酒屋から苦情が来て、その最後の足取りが知られることになったのだが、未だ見つかっていない。
見つかるわけない。それを私は知っている。
もう、この世に居ないのだから。何もかも。死体さえも。
殺し屋さんたちの男の子。
悪魔の死骸を全部砂利に変えていた。
どこかに撒くのだろうか?
絶対に見つからないだろう。死体とは似ても似つかないものになっているのだから。
しばらく無断欠勤状態が続き。
社内連絡で、解雇扱いで悪魔が処分されているのを確認した。
次の課長が気になったが、次の課長は外部の人間だと突如失踪するようなおかしなのが入ってくると上が判断したのか。
順当に、社内で適当な人が選ばれた。
最初から、そうして欲しかったですよ。
あの日以来、私を気遣ってか。
たまに徹子ちゃんが私の家に遊びに来るようになった。
ある日、徹子ちゃんが家に来ているときに、おなかをさすっていると。
彼女にその行為を気づかれた。
「山本さん、おなか、どうかしたんですか?」
って、聞かれたから
「実は、亡くなった旦那の子、今おなかにいるの」
と答えたら、大喜びして
「おめでとうございます! 無事産んでくださいね! きっと、素晴らしい子ですよ! 香澄さんと旦那さんの子ですもん!」
って言ってくれた。
やっぱり、いい子ね。
こんなに喜んでくれるなんて。
……そして、しばらく後の日。
その日、買い出しに出て、帰ってきたら。
A4封筒が郵便受けに入ってて。
家に戻って開封してみると
通帳と、キャッシュカードと、印鑑と、手紙。
手紙には「ゼッタイシャベルナ。コンカイダケダ」って書かれてて。
「5648」って4桁の番号。
通帳には、1500万円。
印鑑は、もちろん「山本」で、通帳のものだった。
……正直、この子の学費、どうしようか不安だったから。
とても、嬉しかったわ。
勉強は私が見てあげるとしても、限度があるしね。
……ありがとう、ございます……
私は通帳を抱きしめた。
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