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2. 影の騎士
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何とかと言われましても……
つまり、私の元いた世界では魔法なんて使えない世界だったから、その生活を教えればいいのかな?
「そうだ。そうしてもらえると助かる。……私は人前には出られないし、話すこともできない」
「なんで?」
「……梨沙とは違って、人は私たちを恐れるからだ」
まあ、確かに私は事前に会話をしていたから大丈夫だったけど、こんな巨大な生き物が現れたら怖い以外の感情はないだろう。
「ここへ来た時は人間たちに攻撃され、それが止むまでに150年ほどかかった」
「そんなに?」
「最初は防衛のためにこちらも手を出してしまった。後からそんなことではいけないと考えて、ただ攻撃を受けるだけにしたのだが、こちらに敵意がないとわかるまでにさらに100年はかかった」
「……その後は?」
「身体を休めるために200年ほど寝てから……」
「200年も寝るの? つまり800年のうち半分は寝てたわけ?」
「……目覚めると、私たちは伝説となり崇められていた。しかしそれは姿が見えないからであり、再び現れれば攻撃されるかもしれないと……」
「誰かに言われたの?」
「私たちを助けてくれた国がある」
「ふうん。じゃあその人たちに頼めばいいじゃない」
「……そこが難しい。その国はウェーデンという国で……」
私はお腹も空いてきたので、ポムの案内で城下街へ向かいながら話を聞いた。
ポムが言うには、ウェーデンにいる竜の計らいでポムともう一匹の竜も安心して眠れる場所──人々にとっては封印されたようなものだ──を用意してもらえたが、その竜はリーダー格でポムたちを見下しているらしく、ポムが去った後のことを気にかけて訴えても、その後のことなど知るかという態度で取り合ってくれない。ウェーデンの人たちもリーダー竜のことは聞くが、ポムたちのことは同様に舐めてかかっているらしい。
そんなだからポムは自分でなんとかしようとして、私を探し出したというわけだ。
ちょうど死に瀕していて、ある程度生活能力があって度胸もある人間で、できるなら寿命までの期間が長い若い人間がいいと、その理由で選ばれたのだ。
どうせ死ぬところだったのだ。第二の人生をもらえたわけで、私としては選ばれてラッキーと言える。
「あまり深く考えず、状況に対して柔軟性もあり、その楽観的な性格もいい」
ポムの言葉だが、褒め言葉として受け取っておこう。
私は城下町であるハリへと30分程でたどり着いた。城が街の真ん中にそびえ立っていて、その中でこの国の王様が暮らしているらしい。
「私は戻らねばならない。今は魔法で姿を消しているが、そう長くは宙にいることができない。いつ魔法を使っていることが見つかるかわからないからだ。先ほどの場所に私はいる。話をしたくなったらいつでも来るといい」
えっ?
「それでは……」
「ちょっ! ちょっと待ってよ!」
「なんだ?」
「こんなところに放り出されてどうすればいいの? そもそも言葉は通じるの?」
「私がこの世界にいる限りは私の魔法で言葉が通じるようになっているはずだが、去るまでには自力で習得して欲しい」
「……わかった。あと住むところは? 食べ物は? お金は?」
「自分でなんとかして欲しい。金は……そうだな……これくらいあれば当分大丈夫だろう」
いきなり右側の腰に重量を感じて身体が傾いた。見ると皮の袋が縛りつけられている。
「これ、魔法で出したの? バレないの?」
「運んだのは魔法だが、金は本物だ。ウェーデンの竜が持っている」
「もらったの?」
「竜にとっては不要なものだからな。貢物として保管してあったものだ」
「……盗んだのね?」
「知られることはない」
大丈夫なのかな? 見下されているって言ってたけど……
「わかった。まあなんとかなるでしょ。一度死んだも同然なんだから、やるだけやってみる」
「……さすがだ梨沙。それでは武運を祈る」
「ぶうん?」
……待っても反応がなかった。もう行ってしまったようだ。そんなに見つかることが怖いのだろうか。
私は一人で取り残されて少し心細かったが、一年以上寝たきりだったので、自分で身体を動かして好きにできるというの喜びで気分は高揚していた。無敵感というのか、死の寸前まで経験した今となっては怖いものなどないという気持ちだった。
あ! 空に何かが飛んでいる! 馬車だ!
絵本なんかで見たような乗り物が空中を飛んでいる。ちゃんと道が決まっているのか、バラバラにではなく列になって進んでいる。交差点のようなところもある。おもしろーい。
自転車やバイクではなく、キックボードのようなものに乗っている人もいる。
本当に魔法の世界なんだ。
私は上を見ながら歩いていたからいきなりのことで反応が遅れた。痛くはなかったが、男性らしき大柄な人にぶつかられたのだ。一体なんだ? 異世界にもぶつかりおじさんはいるのか……そこまで考えた時に気がついた。スリもいるかも!
腰に下げていた革袋に目を向けると、身を持ってそのことを思い知った。
くそー! いきなりかよ勘弁してよ!
ぶつかりおじさん……ならぬスリを目で探す。
うーん……確かあの人……走ってるし多分そうだろう。
私は駆け出した。ポムは病気を治してくれただけでなく、病床に伏して衰えた体力や筋力も元気なころの状態に戻しておいたと言っていたけど、本当かな? すぐに息は切れるし、全く追いつけない……そうだ、私は運動音痴でインドア派。共働きの両親に代わって家事をするくらいで、趣味はアクセサリー造りとミシンという身体を動かす必要のないものばかりで、元気だった頃から運動なんてしていなかった。
もう無理……
私は膝を折って肩で息をするしかできなくなった。
どうしよう……どこかの店に頭を下げて、働くから食べさせてくださいみたいな、ここに住み込みで置いてくださいみたいな、そういうことをしなきゃかな……
ん? 誰だ? 怪しい人が私に向かって歩いてくる。いや、私に向かっているかはわからないが、道のど真ん中で立ち止まっている私の方へ一直線に向かってきている。全身真っ黒で、フードを目深に被っていて人相もわからない。
さっきのスリは街人そのものだったけど、こんな怪しげな人、誰もが避けて歩くよ。
そう思ったけど、その人が通り過ぎるたびに街の人たちは避けるどころか声をかけ、恐れるどころか笑顔を向けてもいる。
「影の騎士!」「シャドウ・バレイ様ー!」「さすがだ」「小悪党も見逃さないのね」
歓声を受けながら向かってきた黒い人は、私の目の前で足を止めた。
「腰にぶらさげるのは危ないです。服の中に入れておいたほうがいい」
そう言って、竜からもらった革袋を私に向けて差し出した。
「ありがとうございます……」
私はおずおずとそれを受け取る。
スリを捕まえて私に返しに来てくれたのかな? 異世界へ来て早々嫌な目に遭ったと思えば同時に親切も受けたことになる。良い世界なのか悪い世界なのか。
「それでは、お気をつけください」
黒い人は私に向かって丁寧に頭を下げたあと、くるりと方向転換をした。
歩き去ろうとしたとき、私は声をかけた。
「すみません!」
「はい」黒い人は振り返った。
「お礼に何か……」
「お礼など結構です」
「いえ、それじゃあ気が済みません」
「では、二度とこんなことにならないようにご注意ください。それが私のようなものの手間を省く礼になります」
ああ、なるほど。
そうではなくて……
「あの、私はこの世界に来たばかりで右も左もわからないのです。助けてくれませんか?」
親切にも助けてくれた人なら信頼できるだろう。
黒い人は返答に困ったのか、フードで隠れて表情はよく見えないが、考えている様子だった。
「申し訳ありません。私は諸用がありまして、ゆっくりしている時間はありません。もしこの街に滞在なされるのなら、明日の昼にでもお話をお伺いします」
そうか。いきなりこんなことを言って申し訳ない。私は頭を下げた。
「ありがとうございます。それではお願いします。……どこへ何時に向かえば……」
「……11時に伺います」そう言ってすぐに身を翻して足早に去って行った。
時間はわかったけど、どこへ? おーい!
黒い人の動きは俊敏で、すぐに見えなくなった。
それが私と影の騎士と呼ばれる男との出会いだった。
つまり、私の元いた世界では魔法なんて使えない世界だったから、その生活を教えればいいのかな?
「そうだ。そうしてもらえると助かる。……私は人前には出られないし、話すこともできない」
「なんで?」
「……梨沙とは違って、人は私たちを恐れるからだ」
まあ、確かに私は事前に会話をしていたから大丈夫だったけど、こんな巨大な生き物が現れたら怖い以外の感情はないだろう。
「ここへ来た時は人間たちに攻撃され、それが止むまでに150年ほどかかった」
「そんなに?」
「最初は防衛のためにこちらも手を出してしまった。後からそんなことではいけないと考えて、ただ攻撃を受けるだけにしたのだが、こちらに敵意がないとわかるまでにさらに100年はかかった」
「……その後は?」
「身体を休めるために200年ほど寝てから……」
「200年も寝るの? つまり800年のうち半分は寝てたわけ?」
「……目覚めると、私たちは伝説となり崇められていた。しかしそれは姿が見えないからであり、再び現れれば攻撃されるかもしれないと……」
「誰かに言われたの?」
「私たちを助けてくれた国がある」
「ふうん。じゃあその人たちに頼めばいいじゃない」
「……そこが難しい。その国はウェーデンという国で……」
私はお腹も空いてきたので、ポムの案内で城下街へ向かいながら話を聞いた。
ポムが言うには、ウェーデンにいる竜の計らいでポムともう一匹の竜も安心して眠れる場所──人々にとっては封印されたようなものだ──を用意してもらえたが、その竜はリーダー格でポムたちを見下しているらしく、ポムが去った後のことを気にかけて訴えても、その後のことなど知るかという態度で取り合ってくれない。ウェーデンの人たちもリーダー竜のことは聞くが、ポムたちのことは同様に舐めてかかっているらしい。
そんなだからポムは自分でなんとかしようとして、私を探し出したというわけだ。
ちょうど死に瀕していて、ある程度生活能力があって度胸もある人間で、できるなら寿命までの期間が長い若い人間がいいと、その理由で選ばれたのだ。
どうせ死ぬところだったのだ。第二の人生をもらえたわけで、私としては選ばれてラッキーと言える。
「あまり深く考えず、状況に対して柔軟性もあり、その楽観的な性格もいい」
ポムの言葉だが、褒め言葉として受け取っておこう。
私は城下町であるハリへと30分程でたどり着いた。城が街の真ん中にそびえ立っていて、その中でこの国の王様が暮らしているらしい。
「私は戻らねばならない。今は魔法で姿を消しているが、そう長くは宙にいることができない。いつ魔法を使っていることが見つかるかわからないからだ。先ほどの場所に私はいる。話をしたくなったらいつでも来るといい」
えっ?
「それでは……」
「ちょっ! ちょっと待ってよ!」
「なんだ?」
「こんなところに放り出されてどうすればいいの? そもそも言葉は通じるの?」
「私がこの世界にいる限りは私の魔法で言葉が通じるようになっているはずだが、去るまでには自力で習得して欲しい」
「……わかった。あと住むところは? 食べ物は? お金は?」
「自分でなんとかして欲しい。金は……そうだな……これくらいあれば当分大丈夫だろう」
いきなり右側の腰に重量を感じて身体が傾いた。見ると皮の袋が縛りつけられている。
「これ、魔法で出したの? バレないの?」
「運んだのは魔法だが、金は本物だ。ウェーデンの竜が持っている」
「もらったの?」
「竜にとっては不要なものだからな。貢物として保管してあったものだ」
「……盗んだのね?」
「知られることはない」
大丈夫なのかな? 見下されているって言ってたけど……
「わかった。まあなんとかなるでしょ。一度死んだも同然なんだから、やるだけやってみる」
「……さすがだ梨沙。それでは武運を祈る」
「ぶうん?」
……待っても反応がなかった。もう行ってしまったようだ。そんなに見つかることが怖いのだろうか。
私は一人で取り残されて少し心細かったが、一年以上寝たきりだったので、自分で身体を動かして好きにできるというの喜びで気分は高揚していた。無敵感というのか、死の寸前まで経験した今となっては怖いものなどないという気持ちだった。
あ! 空に何かが飛んでいる! 馬車だ!
絵本なんかで見たような乗り物が空中を飛んでいる。ちゃんと道が決まっているのか、バラバラにではなく列になって進んでいる。交差点のようなところもある。おもしろーい。
自転車やバイクではなく、キックボードのようなものに乗っている人もいる。
本当に魔法の世界なんだ。
私は上を見ながら歩いていたからいきなりのことで反応が遅れた。痛くはなかったが、男性らしき大柄な人にぶつかられたのだ。一体なんだ? 異世界にもぶつかりおじさんはいるのか……そこまで考えた時に気がついた。スリもいるかも!
腰に下げていた革袋に目を向けると、身を持ってそのことを思い知った。
くそー! いきなりかよ勘弁してよ!
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私は駆け出した。ポムは病気を治してくれただけでなく、病床に伏して衰えた体力や筋力も元気なころの状態に戻しておいたと言っていたけど、本当かな? すぐに息は切れるし、全く追いつけない……そうだ、私は運動音痴でインドア派。共働きの両親に代わって家事をするくらいで、趣味はアクセサリー造りとミシンという身体を動かす必要のないものばかりで、元気だった頃から運動なんてしていなかった。
もう無理……
私は膝を折って肩で息をするしかできなくなった。
どうしよう……どこかの店に頭を下げて、働くから食べさせてくださいみたいな、ここに住み込みで置いてくださいみたいな、そういうことをしなきゃかな……
ん? 誰だ? 怪しい人が私に向かって歩いてくる。いや、私に向かっているかはわからないが、道のど真ん中で立ち止まっている私の方へ一直線に向かってきている。全身真っ黒で、フードを目深に被っていて人相もわからない。
さっきのスリは街人そのものだったけど、こんな怪しげな人、誰もが避けて歩くよ。
そう思ったけど、その人が通り過ぎるたびに街の人たちは避けるどころか声をかけ、恐れるどころか笑顔を向けてもいる。
「影の騎士!」「シャドウ・バレイ様ー!」「さすがだ」「小悪党も見逃さないのね」
歓声を受けながら向かってきた黒い人は、私の目の前で足を止めた。
「腰にぶらさげるのは危ないです。服の中に入れておいたほうがいい」
そう言って、竜からもらった革袋を私に向けて差し出した。
「ありがとうございます……」
私はおずおずとそれを受け取る。
スリを捕まえて私に返しに来てくれたのかな? 異世界へ来て早々嫌な目に遭ったと思えば同時に親切も受けたことになる。良い世界なのか悪い世界なのか。
「それでは、お気をつけください」
黒い人は私に向かって丁寧に頭を下げたあと、くるりと方向転換をした。
歩き去ろうとしたとき、私は声をかけた。
「すみません!」
「はい」黒い人は振り返った。
「お礼に何か……」
「お礼など結構です」
「いえ、それじゃあ気が済みません」
「では、二度とこんなことにならないようにご注意ください。それが私のようなものの手間を省く礼になります」
ああ、なるほど。
そうではなくて……
「あの、私はこの世界に来たばかりで右も左もわからないのです。助けてくれませんか?」
親切にも助けてくれた人なら信頼できるだろう。
黒い人は返答に困ったのか、フードで隠れて表情はよく見えないが、考えている様子だった。
「申し訳ありません。私は諸用がありまして、ゆっくりしている時間はありません。もしこの街に滞在なされるのなら、明日の昼にでもお話をお伺いします」
そうか。いきなりこんなことを言って申し訳ない。私は頭を下げた。
「ありがとうございます。それではお願いします。……どこへ何時に向かえば……」
「……11時に伺います」そう言ってすぐに身を翻して足早に去って行った。
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