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卒業式前日
優柔不断な涙
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翌朝、通学路で真人に会う。
「昨日はありがと」
「礼なんていらねぇよ」
そう言って照れくさそうに手で扇ぐ。
「ほら、行くぞ」
真人は顔を見せないように足速に歩いていく。
「待ってよぉ」
それを追うように私も駆け出す。桜色の通学路を踏みしめながら。
そうしてまた学校が始まる。
明日は卒業式だから、もうこれが最後の自由時間だ。
正直もうみんな喋る以外にすることもないので教室の中は朝からごちゃごちゃと騒がしかった。
「や、恵美。真人。ベストアベック」
そんな喧騒の中から顔を出したのは私の親友だった。出会い頭に私たちにびしりと指を指す。
「おはよ恵子。……そんなんじゃないから」
それを一蹴して席につこうとする。
「真人は?」
恵子は更にだる絡みを続ける。
「あぁ…そんなんもいいよな」
「だってよぉ?」
……もう終わったんじゃんその話は…!
「恵子っ!」
「ひん」
私が机を叩くと恵子は情けない声を上げる。
「ごめんね真人。ネタだから、ね」
「わかってるっての」
私がフォローするとそう言っていつも通りいたずらっぽく笑う。
なんか……ムカつくなぁ。
「おーっす」
ゾロゾロとやってきた男子たちが真人に殺到する。
「わり、またな」
そう言って真人は男子を引き連れて自分の席に行った。相変わらずの人気だ。
「真人、すごいよねぇ」
「ほんとね。みんなの人気者。卒業後も引っ張りだこじゃない?」
「う……」
「あんな人気者を簡単に誘えるのかな?うぅん、カノジョでもない限りは難しいようなぁ~」
恵子はわざとらしくそう言って私に身体をぶつけてくる。
「やめて」
「ううん、やめない。残された時間はもうあまりないから」
絶対面白がってる……!
「もうやめてってば!恵子!しつこい!」
そう言って私は次に身体をぶつけようとしてきた恵子に向かって反撃しようとした。……が、突き出した手はするりとしなやかなくびれに受け流される。
「残念、あたしスリムだから」
「もーーっ!」
私はストレスに耐えきれず直接ぽこぽこと恵子を叩く。
「あだ、あだだ。いひ、いひひひ」
「笑うなぁっ!」
「まぁ待ちなって」
恵子は急に落ち着くと私の両手を掴んだ。
「むっ」
「冗談じゃないって。ね、あと2日なんだよ?あんた、あきらめたんじゃないでしょうね?」
真剣な顔で私を見つめる瞳に図星を突かれたとは言い出せなかった。
「そんな……こと……」
「あんたがいいならいいのよ。でも後悔したってもう取り戻せないの。それでいいの?」
「……よくないけど……でも、いい」
「はぁ?どういうこと?」
「昨日半日、デート……してたの。でもやっぱ、恋人って感じじゃないの。それでいいんじゃないのっ?」
「だからそれじゃあ……いや、まぁいいか。あんたがそれでいいなら」
結局恵子は話しながら半べそをかきはじめた私を見て言葉を止めた。
「ごめんね、しつこいのはあたしだったね」
「ううん。わかってる。私のためだって……でもやっぱり私は、これでいいの」
「……」
恵子はまだ何か言いたげにしていたが私に気を遣って押し黙っていた。
「ごめんね恵子」
「うん……」
気まずくなってしまったのか恵子はそっと席を離れた。
こんなことで恵子とは仲悪くなりたくないけどな……。
「昨日はありがと」
「礼なんていらねぇよ」
そう言って照れくさそうに手で扇ぐ。
「ほら、行くぞ」
真人は顔を見せないように足速に歩いていく。
「待ってよぉ」
それを追うように私も駆け出す。桜色の通学路を踏みしめながら。
そうしてまた学校が始まる。
明日は卒業式だから、もうこれが最後の自由時間だ。
正直もうみんな喋る以外にすることもないので教室の中は朝からごちゃごちゃと騒がしかった。
「や、恵美。真人。ベストアベック」
そんな喧騒の中から顔を出したのは私の親友だった。出会い頭に私たちにびしりと指を指す。
「おはよ恵子。……そんなんじゃないから」
それを一蹴して席につこうとする。
「真人は?」
恵子は更にだる絡みを続ける。
「あぁ…そんなんもいいよな」
「だってよぉ?」
……もう終わったんじゃんその話は…!
「恵子っ!」
「ひん」
私が机を叩くと恵子は情けない声を上げる。
「ごめんね真人。ネタだから、ね」
「わかってるっての」
私がフォローするとそう言っていつも通りいたずらっぽく笑う。
なんか……ムカつくなぁ。
「おーっす」
ゾロゾロとやってきた男子たちが真人に殺到する。
「わり、またな」
そう言って真人は男子を引き連れて自分の席に行った。相変わらずの人気だ。
「真人、すごいよねぇ」
「ほんとね。みんなの人気者。卒業後も引っ張りだこじゃない?」
「う……」
「あんな人気者を簡単に誘えるのかな?うぅん、カノジョでもない限りは難しいようなぁ~」
恵子はわざとらしくそう言って私に身体をぶつけてくる。
「やめて」
「ううん、やめない。残された時間はもうあまりないから」
絶対面白がってる……!
「もうやめてってば!恵子!しつこい!」
そう言って私は次に身体をぶつけようとしてきた恵子に向かって反撃しようとした。……が、突き出した手はするりとしなやかなくびれに受け流される。
「残念、あたしスリムだから」
「もーーっ!」
私はストレスに耐えきれず直接ぽこぽこと恵子を叩く。
「あだ、あだだ。いひ、いひひひ」
「笑うなぁっ!」
「まぁ待ちなって」
恵子は急に落ち着くと私の両手を掴んだ。
「むっ」
「冗談じゃないって。ね、あと2日なんだよ?あんた、あきらめたんじゃないでしょうね?」
真剣な顔で私を見つめる瞳に図星を突かれたとは言い出せなかった。
「そんな……こと……」
「あんたがいいならいいのよ。でも後悔したってもう取り戻せないの。それでいいの?」
「……よくないけど……でも、いい」
「はぁ?どういうこと?」
「昨日半日、デート……してたの。でもやっぱ、恋人って感じじゃないの。それでいいんじゃないのっ?」
「だからそれじゃあ……いや、まぁいいか。あんたがそれでいいなら」
結局恵子は話しながら半べそをかきはじめた私を見て言葉を止めた。
「ごめんね、しつこいのはあたしだったね」
「ううん。わかってる。私のためだって……でもやっぱり私は、これでいいの」
「……」
恵子はまだ何か言いたげにしていたが私に気を遣って押し黙っていた。
「ごめんね恵子」
「うん……」
気まずくなってしまったのか恵子はそっと席を離れた。
こんなことで恵子とは仲悪くなりたくないけどな……。
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