上 下
49 / 62
第四章

ダメな俺 side*ゆっくん

しおりを挟む
翌日の昼休み。俺は、屋上にいた。
誰もいない。そのほうが、良かったのかもしれない。
「ゆっちゃん。って、俺に呼ぶ権利はないか。フラれたし」
ボーッと黄昏たそがれる。
今、柚子は何をしてるんだろう。
笑顔でいるだろうか。悲しい顔はしていないだろうか。不安で、いっぱいになる。
でも、俺が心配してはいけない。だから、はやく俺の代わりになるヤツを、柚子の彼氏にしてくれよ。
「ゆっちゃん。もし、病気じゃなかったら。もし、病気のことを俺が知らなかったら。どうなっていたんだろうな。すげぇ気になるよ」
きっと、まだあの関係は続いてたはずだよな。
俺が悪いのか?それとも、柚子が悪いのか?
そんなの、分かんねーよ。
「ゆっちゃん。もし、俺で。こんな俺でっ。いいのなら。ぐすっ」
独り言を言う途中、涙が溢れた。
どんなに柚子が苦しいか。どんなに俺が苦しいか。
どっちが、ひどいのか。
それも、分かんねーよ。
でもよ。それでもよ。
「もしも。少しだけ、希望があるなら。俺は、お前がいい」


お昼の屋上に響くのは、自分の嗚咽おえつだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...