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本編
第37話 夫婦の共同作業 *
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魔王城を後にしたアステと僕は、夕食をレストランで取る事にした。
僕が無事に魔王城に戻れる事を、僕よりも喜んでくれていたアステはいつになく上機嫌で、僕が止めるのも聞かず何杯もワインを飲んでしまった。そして、料理がなくなる頃には、すっかり出来上がってしまったのだった。
……まあ、酒に酔ったアステが可愛くて、本気で止めなかった事は否定しない。
店を出て、アステは少し眠そうな顔で、僕に手を引かれている。僕が向かっているのは、僕がいつもこっちで仕事する時に取っている宿の部屋だ。
宿に着き、部屋の鍵を開け、先にアステを入らせて扉の鍵をかける。その音はまるで、僕がアステを独占してもいいと告げる合図に聞こえた。
僕は酒に深く酔う彼女の肩を掴む。それは抵抗される事もなく、僕は易々と彼女の背中を扉に押し付ける。
「フォールス……」
とろりと潤んだ瞳が僕を見る。酒に酔っているからなのか、それとも欲情しているのか。
僕はそんな彼女に、いつものようにお伺いを立てる。
「ねえアステ。キス、していい?」
「うん……したい……」
アステの同意に、僕は唇を重ねる。もう数えきれないくらいキスしているはずなのに、飽きるどころか、もっとしたくなる。アステの魅力も、そして僕の欲のどちらも底なし沼なのだろう。
最初は遠慮がちなアステの舌が、少しずつ僕を求めて動き出す。彼女にそうさせたのが僕だと思うと、暗い欲望がふつふつと湧き上がる。
僕はしばらく堪能したアステの唇を解放し、顔を覗き込む。彼女は頬を朱に染め、涙で潤んだまつ毛が震えている。それがとても可愛くて、綺麗で、そんな彼女をこんな間近で見れるのが僕だけだと思うと、彼女への思いがさらに募る。
「可愛い……僕のアステ」
「ん……そんな事言われたら……もっと……酔いそう……」
「飲んでないのに?」
「うん……フォールスに甘やかされると……酔ったみたいになるの……」
そう言われ、確かにと思う。僕も、アステの可愛らしい様子を見るたびに、酩酊にも似た感覚に襲われる。
酒は、飲めば飲むほど気分がよくなって、理性という枷が取れていく。愛の言葉を交わしたり、体を重ねるのも、それに似ているように思う。
僕達は互いに酔わせ合い、理性をなくし、その体に溺れていくのだ。
「フォールスと一緒にいると……ずっと……酔いから醒めない気がする……」
「なら、醒めなくていいよ……。ねえアステ、おかわりは……いる?」
僕の問いに対する答えが、言葉でも、頷くでもなく、キスで返ってきた。それは僕の淫らな欲望に、いとも簡単に火をつけた。
「そんな可愛い事されたら、止まらなくなる」
乱暴にしてしまいそう、という意味で僕はそう口にする。でも、アステは悲しそうな顔で僕を見上げた。
「じゃあ今日は……最後まで……してくれないの?」
アステはどうやら、僕が抱かないつもりだと勘違いしたらしい。困惑した僕を見て、彼女は僕の胸に顔を埋めてしまう。
「……ごめんなさい……気にしないで」
そう言うアステの耳が真っ赤になっているのが見える。
「ねえアステ。最後までしたかったの?」
僕がそう聞くと、アステは顔を埋めたまま、指先で小さく僕の服を握って、頷いた。
(なんだよ……どこまで可愛いんだ……この子は……)
自分からキスをして、僕に抱かれる事を期待して、そしてそれを恥ずかしがって耳を赤くする……そんなアステの行動全てが、僕の心をこれでもかとくすぐる。
僕はアステの左手を取ると、薬指にキスをする。それからその手を引いて浴室へと向かった。
「あ……入るなら……フォールスが先に入って?私……後でいいから……」
「君をひとりで待たせるわけないだろ。それに、こんなに酔った君をひとりで入らせるなんて心配だ。僕と一緒に入ろう?」
「そんな……ひとりで入れるわ……」
「いやだ、一緒に入りたい」
「……夫婦、だから?」
「そう」
悩む様子のアステだったけど、しばらくするとこくんと頷いた。
僕は、彼女の服に手を伸ばす。
「自分で……脱げる……」
「だーめ。夫婦なんだから、共同作業しないと」
「……そういう、もの?」
「そういうもの。君もほら、僕の服、脱がせて」
「……うん……分かった」
夫婦だからと言えば、割と何でも納得してくれるアステ。そんな彼女が可愛くて可愛くて仕方ない。結婚して本当によかった。そして自分を、碌でもない男だと改めて思う。
僕達は、お互いに服を脱がしていく。アステは、自分と違う箇所が興味深いのか、僕の体の色んなところを眺めている。
「ねえ……私も鍛えれば……こんな風になる?」
僕の腹をそっと撫でながら言うアステに、僕は苦笑する。
「できない事はないだろうけど、僕は、あまり見たくないな……」
僕も、アステのお腹を手のひらで撫でる。
「君のこの、滑らかでごつごつしてないお腹も、僕から見たら魅力的だよ」
「ん……そう……?フォールスが……そう言ってくれるなら……やめておく……」
そして、僕たちはとうとう生まれたままの姿になる。僕はアステの手を取り、浴室へと入る。
浴槽に湯をためる準備をして、それからお互いに立ったまま向かい合い、石鹸で体を洗い合う。肌を撫でられる気持ちよさとくすぐったさからか、アステからクスクスと笑い声が上がる。
次第に、アステの声に嬌声が混じりだす。僕がそうなるように触れているからだ。そして、とうとう立っていられなくなったアステを向かい合う形で座らせて、僕は彼女の髪を洗い始める。
「ん……ひとに頭を洗ってもらうの……気持ちいいわ……」
さっきまでとはまた違った気持ちよさなのか、穏やかにうっとりとした表情を見せるアステ。
「一緒に暮らしたら、いつでも洗ってあげるよ」
「ほんと……?」
「ああ、本当だよ」
嬉しそうなアステに、僕は別の意味で嬉しくなる。だって、それはつまり、毎回一緒に風呂に入っていいという事だからだ。
僕は、一通り洗い終わったアステに「流すよ」と声をかけて、頭から湯をかけてやる。
水が入らないようしっかりと耳を塞ぐ姿が、とても可愛らしい。
何度か湯をかけて、泡が全て流れたのを確認して、濡れたアステの顔を手で拭ってやる。
僕は彼女に先に浴槽に浸かるよう言うが、彼女は首を横に振ると、ゆっくり立ち上がり、今度は僕を座らせた。
「私も……フォールスの頭……洗う」
そう言うと、向かい合う形で、アステが僕の頭を洗い出す。
「どう……?上手に洗えてる……?」
「うん、すごく気持ちいい」
「よかった……」
安心しきった笑顔のアステを見て、なぜか僕に悪戯心が芽生えた。僕は両手をアステの胸に伸ばすと、そっと手のひらで包む。
「や……フォールス……洗ってるのに……」
僕の頭を洗うアステの手が止まる。
「アステ、手が止まってるよ。どうしたの?」
「ん……だって……あっ!」
胸の先をつまむと、嬌声とともにアステの体が震える。
「も……洗えない……」
「ははっ、頑張ってよ……アステ」
アステはぷるぷると首を横に振り、それでも必死に僕の頭を洗おうとする。健気で可愛いその姿に、僕は仕方なくようやく悪戯の手を止める。
するとアステはすかさず僕の頭から湯をかけていく。
「うわっ!…………アステ、やったな」
「……もう……おしまい……」
何度か僕に湯をかけると、アステは逃げるように、浴槽に先に入ってしまった。
「ごめん……アステ」
僕もアステを追いかけて、彼女の背後に足を入れ、背中から抱きしめるように浴槽に体を沈めた。
「もう……無茶しないって……言ってたのに……」
「あれも無茶のうちに入るの?」
「……だって……きちんと洗ってあげたいのに……気持ちいい事されたら……綺麗にしてあげられない……」
アステは拗ねたように言う。そんなところもどうしようもなく可愛くて、そろそろ僕の頭は沸騰してしまいそうだ。
僕は彼女の右肩に顔をのせると、耳元でそっと囁く。
「ごめんアステ。君が何かしてる時は我慢するから」
「うん……それならいいわ……」
「じゃあ……今は?いい?」
僕がそう訊ねると、アステは熱のこもったような吐息と共に、小さく「うん」とだけ答える。
お許しをもらえた僕は、アステの胸に手を伸ばす。手のひらでその柔らかい胸を色んな形に変え、その度に聞こえるアステの吐息が、僕の興奮を膨張させていく。
「ん……気持ち……い……」
こういう時のアステは、素直に気持ちよさを伝えてくれる。普段なら本心をそこまで積極的に言わない彼女が、理性をなくしてこの行為に溺れているのだと思うと、あまりに嬉しくて頭がくらくらする。
僕は、僕がアステにそうさせているのだという証が欲しくて、彼女の肩を何箇所も赤く染めていく。でも、白い肌に散る赤色も、僕の独占欲を完全には満たさない。
僕は右手を、アステの胸からもっと向こうへ伸ばしていく。茂みを越え、その先を指でなぞる。その瞬間、アステの嬌声が甘く耳に響いた。
「あっ!んんっ!」
そこは既にトロトロに潤って、僕を中へと誘っているようだった。僕はアステの気持ちいいところを刺激し、快感に嬌声を上げ体を震わせる彼女に囁く。
「ねえアステ……ここでしてもいい?」
「ん……ここ……で……?どうやって……する……の?」
「後ろからするか、立ったまま向かい合ってするか……どっちでもいいよ?」
躊躇っているのか、アステはなかなか答えてくれない。僕は、そんな彼女の中に指をずぶずぶと埋めていく。
「んっ!あ……」
「ここでするのは嫌?この中に、僕の事……欲しくない?」
ゆっくりと指を抜き差しすると、その度にアステの嬌声が響く。僕は、彼女をとことん焦らすため、指は一本のまま、入り口付近でゆっくりと抜き差しを続ける。
そして左手は、アステの胸を優しく包み、触れるだけで止める。
「ん……んん……」
「ねえアステ。どうしたいか、教えて?」
もどかしそうに、アステの腰が動き始め、僕の指を奥へ誘おうとする。でも僕はそれを許さない。
アステは大きく、諦めたような、もしくは快感に溺れたようなため息を吐く。そして。
「フォールス……したい……欲しいの……いますぐ……」
とうとう陥落したアステに、僕は思わず舌舐めずりする。独占欲が、完全に満たされる。
「いい子だね、アステ……」
僕が無事に魔王城に戻れる事を、僕よりも喜んでくれていたアステはいつになく上機嫌で、僕が止めるのも聞かず何杯もワインを飲んでしまった。そして、料理がなくなる頃には、すっかり出来上がってしまったのだった。
……まあ、酒に酔ったアステが可愛くて、本気で止めなかった事は否定しない。
店を出て、アステは少し眠そうな顔で、僕に手を引かれている。僕が向かっているのは、僕がいつもこっちで仕事する時に取っている宿の部屋だ。
宿に着き、部屋の鍵を開け、先にアステを入らせて扉の鍵をかける。その音はまるで、僕がアステを独占してもいいと告げる合図に聞こえた。
僕は酒に深く酔う彼女の肩を掴む。それは抵抗される事もなく、僕は易々と彼女の背中を扉に押し付ける。
「フォールス……」
とろりと潤んだ瞳が僕を見る。酒に酔っているからなのか、それとも欲情しているのか。
僕はそんな彼女に、いつものようにお伺いを立てる。
「ねえアステ。キス、していい?」
「うん……したい……」
アステの同意に、僕は唇を重ねる。もう数えきれないくらいキスしているはずなのに、飽きるどころか、もっとしたくなる。アステの魅力も、そして僕の欲のどちらも底なし沼なのだろう。
最初は遠慮がちなアステの舌が、少しずつ僕を求めて動き出す。彼女にそうさせたのが僕だと思うと、暗い欲望がふつふつと湧き上がる。
僕はしばらく堪能したアステの唇を解放し、顔を覗き込む。彼女は頬を朱に染め、涙で潤んだまつ毛が震えている。それがとても可愛くて、綺麗で、そんな彼女をこんな間近で見れるのが僕だけだと思うと、彼女への思いがさらに募る。
「可愛い……僕のアステ」
「ん……そんな事言われたら……もっと……酔いそう……」
「飲んでないのに?」
「うん……フォールスに甘やかされると……酔ったみたいになるの……」
そう言われ、確かにと思う。僕も、アステの可愛らしい様子を見るたびに、酩酊にも似た感覚に襲われる。
酒は、飲めば飲むほど気分がよくなって、理性という枷が取れていく。愛の言葉を交わしたり、体を重ねるのも、それに似ているように思う。
僕達は互いに酔わせ合い、理性をなくし、その体に溺れていくのだ。
「フォールスと一緒にいると……ずっと……酔いから醒めない気がする……」
「なら、醒めなくていいよ……。ねえアステ、おかわりは……いる?」
僕の問いに対する答えが、言葉でも、頷くでもなく、キスで返ってきた。それは僕の淫らな欲望に、いとも簡単に火をつけた。
「そんな可愛い事されたら、止まらなくなる」
乱暴にしてしまいそう、という意味で僕はそう口にする。でも、アステは悲しそうな顔で僕を見上げた。
「じゃあ今日は……最後まで……してくれないの?」
アステはどうやら、僕が抱かないつもりだと勘違いしたらしい。困惑した僕を見て、彼女は僕の胸に顔を埋めてしまう。
「……ごめんなさい……気にしないで」
そう言うアステの耳が真っ赤になっているのが見える。
「ねえアステ。最後までしたかったの?」
僕がそう聞くと、アステは顔を埋めたまま、指先で小さく僕の服を握って、頷いた。
(なんだよ……どこまで可愛いんだ……この子は……)
自分からキスをして、僕に抱かれる事を期待して、そしてそれを恥ずかしがって耳を赤くする……そんなアステの行動全てが、僕の心をこれでもかとくすぐる。
僕はアステの左手を取ると、薬指にキスをする。それからその手を引いて浴室へと向かった。
「あ……入るなら……フォールスが先に入って?私……後でいいから……」
「君をひとりで待たせるわけないだろ。それに、こんなに酔った君をひとりで入らせるなんて心配だ。僕と一緒に入ろう?」
「そんな……ひとりで入れるわ……」
「いやだ、一緒に入りたい」
「……夫婦、だから?」
「そう」
悩む様子のアステだったけど、しばらくするとこくんと頷いた。
僕は、彼女の服に手を伸ばす。
「自分で……脱げる……」
「だーめ。夫婦なんだから、共同作業しないと」
「……そういう、もの?」
「そういうもの。君もほら、僕の服、脱がせて」
「……うん……分かった」
夫婦だからと言えば、割と何でも納得してくれるアステ。そんな彼女が可愛くて可愛くて仕方ない。結婚して本当によかった。そして自分を、碌でもない男だと改めて思う。
僕達は、お互いに服を脱がしていく。アステは、自分と違う箇所が興味深いのか、僕の体の色んなところを眺めている。
「ねえ……私も鍛えれば……こんな風になる?」
僕の腹をそっと撫でながら言うアステに、僕は苦笑する。
「できない事はないだろうけど、僕は、あまり見たくないな……」
僕も、アステのお腹を手のひらで撫でる。
「君のこの、滑らかでごつごつしてないお腹も、僕から見たら魅力的だよ」
「ん……そう……?フォールスが……そう言ってくれるなら……やめておく……」
そして、僕たちはとうとう生まれたままの姿になる。僕はアステの手を取り、浴室へと入る。
浴槽に湯をためる準備をして、それからお互いに立ったまま向かい合い、石鹸で体を洗い合う。肌を撫でられる気持ちよさとくすぐったさからか、アステからクスクスと笑い声が上がる。
次第に、アステの声に嬌声が混じりだす。僕がそうなるように触れているからだ。そして、とうとう立っていられなくなったアステを向かい合う形で座らせて、僕は彼女の髪を洗い始める。
「ん……ひとに頭を洗ってもらうの……気持ちいいわ……」
さっきまでとはまた違った気持ちよさなのか、穏やかにうっとりとした表情を見せるアステ。
「一緒に暮らしたら、いつでも洗ってあげるよ」
「ほんと……?」
「ああ、本当だよ」
嬉しそうなアステに、僕は別の意味で嬉しくなる。だって、それはつまり、毎回一緒に風呂に入っていいという事だからだ。
僕は、一通り洗い終わったアステに「流すよ」と声をかけて、頭から湯をかけてやる。
水が入らないようしっかりと耳を塞ぐ姿が、とても可愛らしい。
何度か湯をかけて、泡が全て流れたのを確認して、濡れたアステの顔を手で拭ってやる。
僕は彼女に先に浴槽に浸かるよう言うが、彼女は首を横に振ると、ゆっくり立ち上がり、今度は僕を座らせた。
「私も……フォールスの頭……洗う」
そう言うと、向かい合う形で、アステが僕の頭を洗い出す。
「どう……?上手に洗えてる……?」
「うん、すごく気持ちいい」
「よかった……」
安心しきった笑顔のアステを見て、なぜか僕に悪戯心が芽生えた。僕は両手をアステの胸に伸ばすと、そっと手のひらで包む。
「や……フォールス……洗ってるのに……」
僕の頭を洗うアステの手が止まる。
「アステ、手が止まってるよ。どうしたの?」
「ん……だって……あっ!」
胸の先をつまむと、嬌声とともにアステの体が震える。
「も……洗えない……」
「ははっ、頑張ってよ……アステ」
アステはぷるぷると首を横に振り、それでも必死に僕の頭を洗おうとする。健気で可愛いその姿に、僕は仕方なくようやく悪戯の手を止める。
するとアステはすかさず僕の頭から湯をかけていく。
「うわっ!…………アステ、やったな」
「……もう……おしまい……」
何度か僕に湯をかけると、アステは逃げるように、浴槽に先に入ってしまった。
「ごめん……アステ」
僕もアステを追いかけて、彼女の背後に足を入れ、背中から抱きしめるように浴槽に体を沈めた。
「もう……無茶しないって……言ってたのに……」
「あれも無茶のうちに入るの?」
「……だって……きちんと洗ってあげたいのに……気持ちいい事されたら……綺麗にしてあげられない……」
アステは拗ねたように言う。そんなところもどうしようもなく可愛くて、そろそろ僕の頭は沸騰してしまいそうだ。
僕は彼女の右肩に顔をのせると、耳元でそっと囁く。
「ごめんアステ。君が何かしてる時は我慢するから」
「うん……それならいいわ……」
「じゃあ……今は?いい?」
僕がそう訊ねると、アステは熱のこもったような吐息と共に、小さく「うん」とだけ答える。
お許しをもらえた僕は、アステの胸に手を伸ばす。手のひらでその柔らかい胸を色んな形に変え、その度に聞こえるアステの吐息が、僕の興奮を膨張させていく。
「ん……気持ち……い……」
こういう時のアステは、素直に気持ちよさを伝えてくれる。普段なら本心をそこまで積極的に言わない彼女が、理性をなくしてこの行為に溺れているのだと思うと、あまりに嬉しくて頭がくらくらする。
僕は、僕がアステにそうさせているのだという証が欲しくて、彼女の肩を何箇所も赤く染めていく。でも、白い肌に散る赤色も、僕の独占欲を完全には満たさない。
僕は右手を、アステの胸からもっと向こうへ伸ばしていく。茂みを越え、その先を指でなぞる。その瞬間、アステの嬌声が甘く耳に響いた。
「あっ!んんっ!」
そこは既にトロトロに潤って、僕を中へと誘っているようだった。僕はアステの気持ちいいところを刺激し、快感に嬌声を上げ体を震わせる彼女に囁く。
「ねえアステ……ここでしてもいい?」
「ん……ここ……で……?どうやって……する……の?」
「後ろからするか、立ったまま向かい合ってするか……どっちでもいいよ?」
躊躇っているのか、アステはなかなか答えてくれない。僕は、そんな彼女の中に指をずぶずぶと埋めていく。
「んっ!あ……」
「ここでするのは嫌?この中に、僕の事……欲しくない?」
ゆっくりと指を抜き差しすると、その度にアステの嬌声が響く。僕は、彼女をとことん焦らすため、指は一本のまま、入り口付近でゆっくりと抜き差しを続ける。
そして左手は、アステの胸を優しく包み、触れるだけで止める。
「ん……んん……」
「ねえアステ。どうしたいか、教えて?」
もどかしそうに、アステの腰が動き始め、僕の指を奥へ誘おうとする。でも僕はそれを許さない。
アステは大きく、諦めたような、もしくは快感に溺れたようなため息を吐く。そして。
「フォールス……したい……欲しいの……いますぐ……」
とうとう陥落したアステに、僕は思わず舌舐めずりする。独占欲が、完全に満たされる。
「いい子だね、アステ……」
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