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本編
第33話 あなたと私の願い **
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私は緩やかに揺さぶられ、フォールスのものを体の奥で受け止め続ける。お互いの荒い呼吸と、肌がぶつかり合う音だけが部屋の中に響いている。
フォールスに促されるままに時折姿勢を変えて、その度に違う快感が私を襲う。
そして今は、横を向いた私の背中にフォールスが寄り添っている。私の胸は、彼の大きな手のひらに優しく包まれ、彼のものが後ろから私の中を満たしている。
「ねえ……アステは、どうやって抱かれるのが好き?」
耳元で問いかけるフォールスの声が、私の耳に心地よい。ゆっくりと貫かれているおかげか、いつもよりは物事を考える余裕は残っている。でも、考えずとも、私の答えは決まっている。
「ん……決められない……」
「そうなの?」
「だって……全部……気持ちいいの……フォールスがくれるなら……どれも……好き」
私の答えにフォールスは、私の首筋に頭を埋めるようにこすりつける。
「嬉しいな……」
「んっ……」
私は少し強く突き上げられる。フォールスが後ろにいて彼の動きが見えないせいか、不意の刺激に翻弄されるしかない。それは気持ちいいはずなのに、どこか不安にもなる。
私は、すがるようにフォールスの腕に触れた。
「でも……あなたの顔……見れる方が……嬉しい」
「……!」
耳元で、フォールスが息を呑む音が聞こえる。それから、私のうなじに柔らかいものが触れ、彼が私から離れていく。彼の温もりが消え、急な喪失感に戸惑うけれど、私の両脚の間に彼が割り込むのを感じ、こちらを覗き込む彼と目が合い、安堵する。
「これなら、いい?」
私は、フォールスの顔に手を伸ばす。見える場所に、手の届く場所に彼がいる。この嬉しさは、一体なんと呼ぶのだろう。
「奥まで……触れて」
私の言葉に、フォールスはくしゃっと笑う。頬に触れる私の左手を取り、薬指に口付け、その瞳は、怪しく揺れる。
そして私の中を、フォールスのものが奥深くまで埋め尽くす。体温が一気に上がり、呼吸が荒くなる。
「は……ああ……フォールス……」
「何て顔するんだ、アステ」
「そんなの……自分じゃ……わからなっ……んんっ!」
強い刺激に、目眩さえする。縋るものを探して彷徨わせたその手をフォールスが捕まえ、ベッドに縫い付けられる。
顔が近づいてきて、鼻の先が触れ合い、そして唇が重ねられる。唇から伝わる優しさに、私の体から力が抜けていく。でも、彼と触れ合う全ての場所だけは、燃え上がるほど熱い。
何度も重ねられた唇が離れ、フォールスがくれた熱が霧散する。
フォールスの顔はまだ私の目の前で、その事に安心をおぼえた私に、彼は何かをねだる時の瞳を見せる。いつもの、逆らえない瞳。
「ごめんアステ。最後だけ少し……激しくする」
ねだるというより、断言だ。でも、私は拒むつもりもなかった。私も結局、激しくされるのが嫌いではないのだ。
「……フォールスの……好きにして」
私は、彼の全てを受け入れようと、目を閉じ、力を抜く。
そして、小さく、呟くように言った。
「ずっと優しくしてくれて、ありがとう」
そこからは、まるで激しい嵐の中に放り込まれたようだった。でもその激しさは、全部愛してやまないフォールスから与えられるものなのだ。ひとつも取りこぼしたくない。全て受け止めたい。
「フォールス……好き……大好き……愛してる……」
私の心が、単純な愛の言葉を口にさせる。
それは、どんなに傷つけられても、心の奥底に残っていたもののような気がする。幼い私が抱いた、フォールスへの愛の気持ち。
「僕も……愛してる……君がいないとだめなんだ……永遠に僕だけのものだ……」
フォールスは、私の愛を受け止め、そしてそれ以上に返してくれる。喜びと快感に体が震え、涙がこぼれる。
「うん……永遠に……離さないで……あっ……!」
膝裏を掴まれ、高く持ち上げられる。今まで以上に深く、強く、彼が私を貫いていく。
「も……だめ……」
息を吐くように言った直後、私の目の前は真っ白に輝く。そして体の奥に、熱いものが満ちていく。それは、フォールスと私を結びつけ、そして、新しい絆を生み出すもの。
快感の余韻が消えず、荒い呼吸だけを繰り返す私の下腹部に、体を離さないままのフォールスが手のひらを置いた。
どうしたのかと見る私と目が合うと、フォールスは少し物悲しそうに笑って、言った。
「出来てると……いいのにな」
「……うん」
私は、フォールスの手に、自分の手を重ねる。フォールスと、そして私の願いが叶いますように、そう思いを込めて……。
フォールスに促されるままに時折姿勢を変えて、その度に違う快感が私を襲う。
そして今は、横を向いた私の背中にフォールスが寄り添っている。私の胸は、彼の大きな手のひらに優しく包まれ、彼のものが後ろから私の中を満たしている。
「ねえ……アステは、どうやって抱かれるのが好き?」
耳元で問いかけるフォールスの声が、私の耳に心地よい。ゆっくりと貫かれているおかげか、いつもよりは物事を考える余裕は残っている。でも、考えずとも、私の答えは決まっている。
「ん……決められない……」
「そうなの?」
「だって……全部……気持ちいいの……フォールスがくれるなら……どれも……好き」
私の答えにフォールスは、私の首筋に頭を埋めるようにこすりつける。
「嬉しいな……」
「んっ……」
私は少し強く突き上げられる。フォールスが後ろにいて彼の動きが見えないせいか、不意の刺激に翻弄されるしかない。それは気持ちいいはずなのに、どこか不安にもなる。
私は、すがるようにフォールスの腕に触れた。
「でも……あなたの顔……見れる方が……嬉しい」
「……!」
耳元で、フォールスが息を呑む音が聞こえる。それから、私のうなじに柔らかいものが触れ、彼が私から離れていく。彼の温もりが消え、急な喪失感に戸惑うけれど、私の両脚の間に彼が割り込むのを感じ、こちらを覗き込む彼と目が合い、安堵する。
「これなら、いい?」
私は、フォールスの顔に手を伸ばす。見える場所に、手の届く場所に彼がいる。この嬉しさは、一体なんと呼ぶのだろう。
「奥まで……触れて」
私の言葉に、フォールスはくしゃっと笑う。頬に触れる私の左手を取り、薬指に口付け、その瞳は、怪しく揺れる。
そして私の中を、フォールスのものが奥深くまで埋め尽くす。体温が一気に上がり、呼吸が荒くなる。
「は……ああ……フォールス……」
「何て顔するんだ、アステ」
「そんなの……自分じゃ……わからなっ……んんっ!」
強い刺激に、目眩さえする。縋るものを探して彷徨わせたその手をフォールスが捕まえ、ベッドに縫い付けられる。
顔が近づいてきて、鼻の先が触れ合い、そして唇が重ねられる。唇から伝わる優しさに、私の体から力が抜けていく。でも、彼と触れ合う全ての場所だけは、燃え上がるほど熱い。
何度も重ねられた唇が離れ、フォールスがくれた熱が霧散する。
フォールスの顔はまだ私の目の前で、その事に安心をおぼえた私に、彼は何かをねだる時の瞳を見せる。いつもの、逆らえない瞳。
「ごめんアステ。最後だけ少し……激しくする」
ねだるというより、断言だ。でも、私は拒むつもりもなかった。私も結局、激しくされるのが嫌いではないのだ。
「……フォールスの……好きにして」
私は、彼の全てを受け入れようと、目を閉じ、力を抜く。
そして、小さく、呟くように言った。
「ずっと優しくしてくれて、ありがとう」
そこからは、まるで激しい嵐の中に放り込まれたようだった。でもその激しさは、全部愛してやまないフォールスから与えられるものなのだ。ひとつも取りこぼしたくない。全て受け止めたい。
「フォールス……好き……大好き……愛してる……」
私の心が、単純な愛の言葉を口にさせる。
それは、どんなに傷つけられても、心の奥底に残っていたもののような気がする。幼い私が抱いた、フォールスへの愛の気持ち。
「僕も……愛してる……君がいないとだめなんだ……永遠に僕だけのものだ……」
フォールスは、私の愛を受け止め、そしてそれ以上に返してくれる。喜びと快感に体が震え、涙がこぼれる。
「うん……永遠に……離さないで……あっ……!」
膝裏を掴まれ、高く持ち上げられる。今まで以上に深く、強く、彼が私を貫いていく。
「も……だめ……」
息を吐くように言った直後、私の目の前は真っ白に輝く。そして体の奥に、熱いものが満ちていく。それは、フォールスと私を結びつけ、そして、新しい絆を生み出すもの。
快感の余韻が消えず、荒い呼吸だけを繰り返す私の下腹部に、体を離さないままのフォールスが手のひらを置いた。
どうしたのかと見る私と目が合うと、フォールスは少し物悲しそうに笑って、言った。
「出来てると……いいのにな」
「……うん」
私は、フォールスの手に、自分の手を重ねる。フォールスと、そして私の願いが叶いますように、そう思いを込めて……。
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