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本編
第13話 陰口
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フォールスには、こちらで起きた事を手紙で伝えた。そして、これからは会うのを控えた方がいいと思う事や、こちらに手紙をくれる時は念のため偽名を使ってほしいという事も合わせて書いた。
それというのも、こちらに届く手紙は、この建物に住んでいる全員のものがまとめて届き、そこからこの建物の管理者が仕分けをして、玄関にある個人用の棚に置いてもらえるようになっている。だから、私宛の手紙の送り主がフォールスであるというのが、途中誰の目に入ってもおかしくないのだ。
……いや、すでにそれも、ここに住む誰かから、グユイさんに伝わっている可能性だってある。
フォールスからはすぐに返事が来た。
でも、封筒に書かれていたのは私の叔父の名前と住所で、私は中を見るまで叔父からの手紙だと思っていた。だから、中からフォールスの手紙が出てきて、本当にびっくりしてしまった。
叔父からの手紙はこれまでもよく来ていたので、誰が見ても不審に思う事はない。急に手紙を送ってきた事のない名前の手紙の方が怪しがられる可能性がある。それよりは、叔父からの手紙を装う方が安全だとフォールスが考えたのかもしれない。
封筒の中には、フォールスからの手紙の他に、叔父からのメモも入っていた。『手紙を仲介するくらい大した手間ではないから、どうか気にしないように。返事も私宛に送ってくれれば、すぐに彼に渡すよ』とだけ書いてあった。
(叔父様……ありがとう)
そうやって届いたフォールスからの手紙には、こんな事が書かれていた。
『しばらく会えないなんて死にそうなくらい辛いけれど、魔王城で働いていて矢面に立たされているのは君だから我慢する。でも、会えない分、手紙は今まで以上に書くから、君もまめに手紙を書いてほしい。
あと、兄が戻ってくるまであと少しだと連絡が来たから、それに合わせて結婚の話を進めよう』
結婚、という言葉に、私の心が跳ねる。本当にフォールスは、私と結婚をするつもりなのだ。彼と結婚の約束をしたのは事実だ。でもいまだに私の中では、彼と結婚するという事がふわふわとしていて、つかみどころのない……まるで雲のような存在になっている。
(本当に……?一生を共にするのが私なんかで……いいの?)
気を抜くとそうやってすぐに迷いが生まれる。私は慌てて両手で頬を叩く。
(……だめよアステ、しっかりしなさい。フォールスの言葉を信じるって決めたじゃない……彼は私と結婚をすると言ってくれた……そう……指輪だって……)
私は、薬指にある指輪を見つめる。
『これを見るたびに、君は僕だけのものなんだって思い出してほしい』
私は、自分の頬を強くつねる。今ここには、夢ではないと言って、私の頬をつねってくれる存在はいないのだ。こうして、自分でどうにかするしかない。
「痛いわ……」
頬の痛みとともに、なぜだか無性に寂しさが込み上げてくる。目が熱く潤む。痛みのせいなのか、寂しさのせいなのか分からない。
(誰かと関わっていくって、こんなに大変なのね……)
こぼれそうな涙を拭う。寂しくなって、無意識にフォールスの書いた字をなぞるけれど、余計に泣いてしまいそうになる自分に気づいて、慌てて便箋を封筒にしまった。
――
職場では、フォールスとの事に関して、直接何かを言われるような事はなかったけれど、パイラさんからの接し方は目に見えて悪くなっていた。
必要な書類の処理が私のものだけ遅かったり、致命的ではないにしろ微妙に困るような事が続くようになっていた。
(確かに……思いを寄せていた男性が、私みたいな女と付き合っていたら、がっかりしたり悲しかったりするのも仕方がないと思う……)
だが、仕事とプライベートは別だ。私は、仕事のように絶対的なルールが決まっている事には、はっきり物を言える。
今日も、何か言いたげで不満そうなパイラさんに、不足していたり間違っている部分を漏れなく指摘して、決まった期間以内に仕上げてもらえるようお願いした。
彼女は頬を膨らませ、渋々といった様子で小さく「はーい」と返事をする。次こそはきっときちんとしてくれる、そう信じるしかない。
「お願いします」
それだけ言うと、私は自分の仕事に戻った。
午後になって私は、仕事で必要な資料を探しに、研究所が管理する書庫へ来ていた。
でも私は、見つけたばかりの資料を抱え、棚の影に座り込んで、見つからないよう体を縮めていた。
その理由は、近くで会話している女性たちにあった。
「ねえグユイ、アステさんってちょっと怖くない?」
「怖い?」
「だってえ、プライベートのこと聞いたらオドオドするのに、仕事のことだとシュッ!パッ!みたいに返してくるじゃない?もうあれが怖くて怖くて」
そんな会話を繰り広げているところに、私が姿をあらわせるわけがない。ふたりは私に気づかないまま、会話を続けていく。
「ふふ……きっと、仕事に関しては絶対的な自信があるんでしょうね。なにせ、お勉強だけは得意だったって話だもの」
「あ、上級学校でずっとトップだったんでしょ?もー、女がそんなとこ通うってだけでも信じらんないのに、トップって!ほんと笑っちゃう!女が勉強したって、なーんの意味もないのに。ね?グユイ」
そのパイラさんの言葉に、何故かグユイさんはすぐに言葉を返さず、少し沈黙が続いた。
「ん?どうしたのグユイ、顔が怖くなってる」
「そ……そう、ね。女が賢くなる必要なんてないわよね」
珍しく言い淀むグユイさん。穏やかなのに常に芯が通っているような印象の彼女が、そうやって言葉に詰まるのが、妙に引っかかる。
でも、パイラさんは気にならなかったようで、話を続ける。
「でしょでしょ!?あーあ、よりによってなんであんな堅物女を選んじゃったんだろフォールスくん。あんなにかっこよくて地位もあるのに女の趣味最悪なんてちょっとショック……」
堅物女。確かに仕事では真面目で融通がきかないという自覚はあるが……いざ言われると少し胸にグサッと来るものがある。もしかしてフォールスも内心、そんな私に手を焼いているのだろうか。
「きっとああいう、男慣れしてなさそうなところが新鮮なんじゃないかしら?でもそういうのって、慣れると物足りなくなるものよ」
グユイさんの言葉に、私も思わず頷いてしまう。
(確かに、私が不慣れな様子を見るたびに嬉しそうにしてるもの……)
「たしかに」
「そうしたらすぐにまた、パイラみたいな恋愛上手で女性らしい子に目が行くようになるわよ」
「そう?だったらまだチャンスあるじゃない!ふふ、なんとかアピールしないと!」
「そうそう、その前向きさが大切よ。ふふ、パイラはやっぱり可愛いわ。素直で明るくて」
「ありがとグユイ。パイラ、まだがんばれそう」
「ええ、頑張って。今までは、たまたま出会いがよくなかっただけ。きっとすぐにあなたの魅力に気づく男が現れるわよ」
そして次第にふたりの会話の声が遠ざかっていく。どうやらふたりは書庫から出ていったようだ。張り詰めていた体から力が抜け、私は大きく息を吐く。
(面と向かって言われたわけじゃないもの……仕事さえきちんとしてもらえればそれでいいじゃない……お友達を作りに来ているわけじゃないのよ……)
でも、私の心の中のもやもやは晴れないまま……私は重い足取りで書庫を後にした。
それというのも、こちらに届く手紙は、この建物に住んでいる全員のものがまとめて届き、そこからこの建物の管理者が仕分けをして、玄関にある個人用の棚に置いてもらえるようになっている。だから、私宛の手紙の送り主がフォールスであるというのが、途中誰の目に入ってもおかしくないのだ。
……いや、すでにそれも、ここに住む誰かから、グユイさんに伝わっている可能性だってある。
フォールスからはすぐに返事が来た。
でも、封筒に書かれていたのは私の叔父の名前と住所で、私は中を見るまで叔父からの手紙だと思っていた。だから、中からフォールスの手紙が出てきて、本当にびっくりしてしまった。
叔父からの手紙はこれまでもよく来ていたので、誰が見ても不審に思う事はない。急に手紙を送ってきた事のない名前の手紙の方が怪しがられる可能性がある。それよりは、叔父からの手紙を装う方が安全だとフォールスが考えたのかもしれない。
封筒の中には、フォールスからの手紙の他に、叔父からのメモも入っていた。『手紙を仲介するくらい大した手間ではないから、どうか気にしないように。返事も私宛に送ってくれれば、すぐに彼に渡すよ』とだけ書いてあった。
(叔父様……ありがとう)
そうやって届いたフォールスからの手紙には、こんな事が書かれていた。
『しばらく会えないなんて死にそうなくらい辛いけれど、魔王城で働いていて矢面に立たされているのは君だから我慢する。でも、会えない分、手紙は今まで以上に書くから、君もまめに手紙を書いてほしい。
あと、兄が戻ってくるまであと少しだと連絡が来たから、それに合わせて結婚の話を進めよう』
結婚、という言葉に、私の心が跳ねる。本当にフォールスは、私と結婚をするつもりなのだ。彼と結婚の約束をしたのは事実だ。でもいまだに私の中では、彼と結婚するという事がふわふわとしていて、つかみどころのない……まるで雲のような存在になっている。
(本当に……?一生を共にするのが私なんかで……いいの?)
気を抜くとそうやってすぐに迷いが生まれる。私は慌てて両手で頬を叩く。
(……だめよアステ、しっかりしなさい。フォールスの言葉を信じるって決めたじゃない……彼は私と結婚をすると言ってくれた……そう……指輪だって……)
私は、薬指にある指輪を見つめる。
『これを見るたびに、君は僕だけのものなんだって思い出してほしい』
私は、自分の頬を強くつねる。今ここには、夢ではないと言って、私の頬をつねってくれる存在はいないのだ。こうして、自分でどうにかするしかない。
「痛いわ……」
頬の痛みとともに、なぜだか無性に寂しさが込み上げてくる。目が熱く潤む。痛みのせいなのか、寂しさのせいなのか分からない。
(誰かと関わっていくって、こんなに大変なのね……)
こぼれそうな涙を拭う。寂しくなって、無意識にフォールスの書いた字をなぞるけれど、余計に泣いてしまいそうになる自分に気づいて、慌てて便箋を封筒にしまった。
――
職場では、フォールスとの事に関して、直接何かを言われるような事はなかったけれど、パイラさんからの接し方は目に見えて悪くなっていた。
必要な書類の処理が私のものだけ遅かったり、致命的ではないにしろ微妙に困るような事が続くようになっていた。
(確かに……思いを寄せていた男性が、私みたいな女と付き合っていたら、がっかりしたり悲しかったりするのも仕方がないと思う……)
だが、仕事とプライベートは別だ。私は、仕事のように絶対的なルールが決まっている事には、はっきり物を言える。
今日も、何か言いたげで不満そうなパイラさんに、不足していたり間違っている部分を漏れなく指摘して、決まった期間以内に仕上げてもらえるようお願いした。
彼女は頬を膨らませ、渋々といった様子で小さく「はーい」と返事をする。次こそはきっときちんとしてくれる、そう信じるしかない。
「お願いします」
それだけ言うと、私は自分の仕事に戻った。
午後になって私は、仕事で必要な資料を探しに、研究所が管理する書庫へ来ていた。
でも私は、見つけたばかりの資料を抱え、棚の影に座り込んで、見つからないよう体を縮めていた。
その理由は、近くで会話している女性たちにあった。
「ねえグユイ、アステさんってちょっと怖くない?」
「怖い?」
「だってえ、プライベートのこと聞いたらオドオドするのに、仕事のことだとシュッ!パッ!みたいに返してくるじゃない?もうあれが怖くて怖くて」
そんな会話を繰り広げているところに、私が姿をあらわせるわけがない。ふたりは私に気づかないまま、会話を続けていく。
「ふふ……きっと、仕事に関しては絶対的な自信があるんでしょうね。なにせ、お勉強だけは得意だったって話だもの」
「あ、上級学校でずっとトップだったんでしょ?もー、女がそんなとこ通うってだけでも信じらんないのに、トップって!ほんと笑っちゃう!女が勉強したって、なーんの意味もないのに。ね?グユイ」
そのパイラさんの言葉に、何故かグユイさんはすぐに言葉を返さず、少し沈黙が続いた。
「ん?どうしたのグユイ、顔が怖くなってる」
「そ……そう、ね。女が賢くなる必要なんてないわよね」
珍しく言い淀むグユイさん。穏やかなのに常に芯が通っているような印象の彼女が、そうやって言葉に詰まるのが、妙に引っかかる。
でも、パイラさんは気にならなかったようで、話を続ける。
「でしょでしょ!?あーあ、よりによってなんであんな堅物女を選んじゃったんだろフォールスくん。あんなにかっこよくて地位もあるのに女の趣味最悪なんてちょっとショック……」
堅物女。確かに仕事では真面目で融通がきかないという自覚はあるが……いざ言われると少し胸にグサッと来るものがある。もしかしてフォールスも内心、そんな私に手を焼いているのだろうか。
「きっとああいう、男慣れしてなさそうなところが新鮮なんじゃないかしら?でもそういうのって、慣れると物足りなくなるものよ」
グユイさんの言葉に、私も思わず頷いてしまう。
(確かに、私が不慣れな様子を見るたびに嬉しそうにしてるもの……)
「たしかに」
「そうしたらすぐにまた、パイラみたいな恋愛上手で女性らしい子に目が行くようになるわよ」
「そう?だったらまだチャンスあるじゃない!ふふ、なんとかアピールしないと!」
「そうそう、その前向きさが大切よ。ふふ、パイラはやっぱり可愛いわ。素直で明るくて」
「ありがとグユイ。パイラ、まだがんばれそう」
「ええ、頑張って。今までは、たまたま出会いがよくなかっただけ。きっとすぐにあなたの魅力に気づく男が現れるわよ」
そして次第にふたりの会話の声が遠ざかっていく。どうやらふたりは書庫から出ていったようだ。張り詰めていた体から力が抜け、私は大きく息を吐く。
(面と向かって言われたわけじゃないもの……仕事さえきちんとしてもらえればそれでいいじゃない……お友達を作りに来ているわけじゃないのよ……)
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