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本編
閑話 素直に伝えて
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書くだけ書いて公開していない話があったので公開します。
恋愛小説をたくさん読むようになってとある悩みができた、そんなアステのお話です。誰かと恋の話をする機会があまりないアステなので、ひとりで色々と悩んでいるようです。
――
その日のアステは、いつもと少し様子が違って、そわそわと落ち着きがなかった。
「どうしたの?アステ」
「べ、別に?いつも通りよ?」
明らかに動揺しているのが分かる。それで本当に誤魔化せると思っているのだろうか。
「いつも通り……ね」
「そ、そうよ?いつも通りよ?普段と、何も変わらないわ」
そう言うアステの指は、落ち着きなく動き続けている。
(怪しすぎる……何なんだ一体)
何か良くない事でもあったのかと不安になる。だが、アステは顔を赤くして、瞳を潤ませ、こちらを見つめると、意外な一言を発した。
「……フォールス、私、あなたのこと、大好きよ」
僕はアステをしばらくまじまじと見る。それから、彼女の額に手を当てた。
「熱は……ないな」
「も、もう!熱に浮かされて変な事を口走ったわけじゃないのよ?」
「じゃあ、酔ってるとか?」
そう言うと僕は、彼女の額から頬に手を移動させて、軽く彼女に口付けた。
「……酒の匂いはしない」
「ひとりでお酒なんて飲んだりしないわ……」
「じゃあ、何で急に好きだなんて言い出したんだよ。いつもなら、僕が言ってってねだった時か、ベッドの上でしか言わないじゃないか」
「だ……だって……」
「だって、何?」
「この間読んだ恋愛小説が、言わなくても分かるって思って、気持ちを口にしないせいで、うまく行かなくて、そのまま破局してしまうって内容だったの。それを読んで私、あなたに今までみたいに素直に気持ちを伝えなかったら、いつか私達もそうなってしまったらって怖くなったの。だから、そうならないよう、これからは少しずつ努力しようって……そう思って」
そんな事を言われて、僕はたまらない気持ちになる。僕とうまく行かなくなる事を恐れて、素直な気持ちを言葉で伝えようとしてくれているアステ。そして、その素直な気持ちとして真っ先に出たのが、僕の事が好きという言葉。会う前からずっと、僕にそれを伝えようと、落ち着かずそわそわしていたのだと思うと、可愛くて仕方なくなる。
「そうなんだ……じゃあ、僕と別れたくなくて、頑張ってくれたの?」
僕が聞くと、アステはこくんと頷く。その動きさえ、いつもより可愛く見えて仕方ない。
「でも、好きって言われすぎて、鬱陶しくなって浮気するっていう小説もあったから……あまり何度も言わないようにはするわ」
「いやいや……鬱陶しくなんかならないし、いくら言われても聞き飽きない。もっと聞かせてくれて構わない」
「そ……そう?す、好きよ……フォールス」
恥ずかしいのか、僕から少し視線を外しながら言うアステ。僕は、彼女の指にはまっている、彼女が僕だけのものだという証である指輪をそっと撫で、それから彼女の顔を覗き込む。
「次は、ちゃんと僕の目を見て言って」
「ちょっと待って、一度深呼吸してから……はー……すー……うん、フォールスの事……好きよ」
「はは、よくできました」
恋愛小説をたくさん読むようになってとある悩みができた、そんなアステのお話です。誰かと恋の話をする機会があまりないアステなので、ひとりで色々と悩んでいるようです。
――
その日のアステは、いつもと少し様子が違って、そわそわと落ち着きがなかった。
「どうしたの?アステ」
「べ、別に?いつも通りよ?」
明らかに動揺しているのが分かる。それで本当に誤魔化せると思っているのだろうか。
「いつも通り……ね」
「そ、そうよ?いつも通りよ?普段と、何も変わらないわ」
そう言うアステの指は、落ち着きなく動き続けている。
(怪しすぎる……何なんだ一体)
何か良くない事でもあったのかと不安になる。だが、アステは顔を赤くして、瞳を潤ませ、こちらを見つめると、意外な一言を発した。
「……フォールス、私、あなたのこと、大好きよ」
僕はアステをしばらくまじまじと見る。それから、彼女の額に手を当てた。
「熱は……ないな」
「も、もう!熱に浮かされて変な事を口走ったわけじゃないのよ?」
「じゃあ、酔ってるとか?」
そう言うと僕は、彼女の額から頬に手を移動させて、軽く彼女に口付けた。
「……酒の匂いはしない」
「ひとりでお酒なんて飲んだりしないわ……」
「じゃあ、何で急に好きだなんて言い出したんだよ。いつもなら、僕が言ってってねだった時か、ベッドの上でしか言わないじゃないか」
「だ……だって……」
「だって、何?」
「この間読んだ恋愛小説が、言わなくても分かるって思って、気持ちを口にしないせいで、うまく行かなくて、そのまま破局してしまうって内容だったの。それを読んで私、あなたに今までみたいに素直に気持ちを伝えなかったら、いつか私達もそうなってしまったらって怖くなったの。だから、そうならないよう、これからは少しずつ努力しようって……そう思って」
そんな事を言われて、僕はたまらない気持ちになる。僕とうまく行かなくなる事を恐れて、素直な気持ちを言葉で伝えようとしてくれているアステ。そして、その素直な気持ちとして真っ先に出たのが、僕の事が好きという言葉。会う前からずっと、僕にそれを伝えようと、落ち着かずそわそわしていたのだと思うと、可愛くて仕方なくなる。
「そうなんだ……じゃあ、僕と別れたくなくて、頑張ってくれたの?」
僕が聞くと、アステはこくんと頷く。その動きさえ、いつもより可愛く見えて仕方ない。
「でも、好きって言われすぎて、鬱陶しくなって浮気するっていう小説もあったから……あまり何度も言わないようにはするわ」
「いやいや……鬱陶しくなんかならないし、いくら言われても聞き飽きない。もっと聞かせてくれて構わない」
「そ……そう?す、好きよ……フォールス」
恥ずかしいのか、僕から少し視線を外しながら言うアステ。僕は、彼女の指にはまっている、彼女が僕だけのものだという証である指輪をそっと撫で、それから彼女の顔を覗き込む。
「次は、ちゃんと僕の目を見て言って」
「ちょっと待って、一度深呼吸してから……はー……すー……うん、フォールスの事……好きよ」
「はは、よくできました」
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