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第一章

悪事と悪女

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宿屋に寝泊まりし、忘れ物を思い出し
再び宿屋に戻った俺だが天井から
オーナーのおじさんが落ちてきた。

「キャぁぁぁぁ!!ぐふぇ、ゴホッ」


俺は、今までにないくらいびっくりし、
叫んだ。 そして咽せた。

当たり前だが

埃が部屋中に舞う
俺は、叫んだ代償に、埃を吸い、鼻と喉に
ダメージを負う。
立ち込めた埃で視界がはっきりとは
見えないが、おじさんのほうが
ダメージを負っているように見えた。

服は、埃を被りボロボロになっている
顔も誰かに殴られたような痕が腫れていた。

「大丈夫ですか!?」

俺は、おじさんのところに駆け寄り、
しゃがんだ。


おじさんは、俺の顔を見て一瞬目開きながら

「あんた!…良く生きてたな!」

おじさんは、震える手を俺の肩に置いた。
そしておじさん話を続ける。

「忠告だ、お前と一緒にいる女には
今後関わ無い方が身のためだ。」

おじさんは、憎しみが溢れてでる表情で
俺にそう伝えた。

「え?どう言う意味ですか!?」

おじさんの言葉に俺は、戸惑いを隠せ
なかった。
その様子を感じたのか
おじさんは静かに目を閉じゆっくり
語り始めた。

—————————
「そろそろ頃合いかな」

わしは、部屋で眠っている
2人の冒険者の部屋へ向かう。


(ふふっ…2人の冒険者の食べた料理に
こっそりと睡眠薬を飲ませておいたのさ!
あとは、眠っている2人をじっくりと毒で
息の根を止めるだけ)

おじさんは、ニヤついた表情で、2人が
眠っている部屋の扉を音を立てないよう
に慎重に、開ける。

少年が寝ていること、確認する。
だが、もう1人眠っているはずの人間が
いない。

(馬鹿な!、あの女はどこに!?)

おじさんは、左右を見渡す。
しかし、眠っているはずの人間は、
見当たらない。
額に、冷や汗をかく感覚が、全身に
伝わる。

「まさか!?後ろに!?」

おじさんは、長年の勘を頼りに、後ろを
素早く振り向く。

「やはり、料理に、睡眠薬を盛ったのは、あなたなのね、オーナーさん」

わしの後ろに、女の姿があった。
完全に、わしの計画を見抜いている
様子だった。

「何故気づいた!わしの完璧な計画を!」

そう言いわしは女を力付くで抑えようと
試みるが、女は、わしの攻撃を受け流し
わしの背に周り腕を取り押さえて
動きを封じた。

「迂闊だったわ、まさか私と同じ考えの人がいるなんて!」

長年何人程の宿泊者の息の根を止め
金を根こそぎ取ってきたわしだが、
今日出会ったこの女は、只者では無いと
感じた。
今まで勘のいいやつはいたが、わしの
力付くの毒攻撃を避けれる者などいな
かった。

自分の欲求のためなら手段は、選ばない!
それがわしのモットーだ。

「そうだ!女よ、わしと一時的に、手を組まないか!金は山分けだ!」

今まで長年計画が失敗してこなかった分この不利な状況に焦りを感じたのか、わしは、女と協力をし、眠っている冒険者の息の根を止めることを提案した。協力と見せかけて後々この女がスキを晒した後、
仕留めれば問題はなかった。


「残念だけど私、彼方のような不利なことがあれば、力付くで相手を抑えようとするような無能なおじさんと手を組んで計画するって言う趣味はないのよね!」


この一言にわしは、怒りが込み上げ、
力付くで、拘束されている女の手を振り解こうと試みる。

しかし、振り解こうするたびに、わしの
腕をを拘束している女の手の力は、
増していく。

「女!今拘束しているわしの左手には毒塗っている針がある!その針を刺すこと今の状況でも容易く出来るぞ!警告だ!
嫌なら、拘束している手をどきな!」


だが、拘束している女の手にも針のようなものが見えた。

「あら?奇遇ですね!オーナー!私、
あなたが持ってる毒と同じ成分の物を
持っていましたわ」

「ま、まさか!?」

「ふふっ!…
そのまさかですよ!オーナー!
今までたくさんの人を仕留めてきた同じ
毒をあなたも味わってくださいな!」

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

女が持っている毒針は、
わしの体を刺した。
女の手を振り解いた時には、毒は全身に
周っていた。

女は、不敵な笑いでわしを見つめる。
わしの毒で弱るのを楽しんでいるように
見えた。きっとそうだ。

全身の、力が抜ける。
視界は、状況が、認識できないくらい
擦れて行き、わしは、そのまま意識を失った。


そのあとわしは、意識を取り戻したが、
全身は、あざだらけでだった。
毒は、まだ周り続けていて、視界が悪い故に、
気分も少し悪い。
この状態で、生きていることが奇跡だった。

場所の雰囲気、空気の匂い、床の感触、
視界が悪いため、長年の感覚だが頼り
だった。

「屋根裏か、ここは!どうしてここに!」

わしは、場所をすぐ当てることができが、
床の欠陥に気づかず、勢いよく落ちることになった。

まさに、屈辱そのものだった!

---------------

「警告…だ…、今すぐ….…、
逃げろ………。」

「俺を仕留めようとしたあんたが
警告するんか!」

おじさんは、毒の症状が進み、
今さっきより遥かに、会話が出来なく
なっていた。

顔の皮膚が肌色から紫へと変色していた。
顔を見れば分かるくらいには。

それでも俺は、おじさんの警告は、信用できないと感じた。
ソノクが、おじさんに毒を入れた話は、
あまりにも胡散臭い。

‘’きっと似てる人と間違えたんだ!’’

それに、自分を仕留めようとした相手の話なんか素直に聞けるわけがなかった。
ソノクは、仲間思いで、人に物事を教えることも上手い!そして1番俺が憧れてる剣士だ!

でも少し突っかかりがある。

(ソノクから冒険仲間に誘われた時
何か契約書を書かされたような….あれは
一体何だったんだ!?)

俺は、不可解な点を思い出ていたが
この時は、まだソノクを疑いもしな
かった。

話さなくなったおじさんを俺は、ふと見たが、ピクリとも動いていなかった。
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