《瞑想小説 狩人》

瞑想

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美姫の場合

美姫の場合51⃝

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 直腸内を掻き回す。筆は一旦引き抜かれ獲物を変える。連続的に球体が連なったいかにも淫乱な用途に供されるであろう物体が荷台で運ばれる。狂っている。狂っている。この男達は狂っている。女性を貶めることにしか興味はないらしい。宴は幻の銀貨を対価として彼女の嬌声を強制する。幻覚剤に似た煙をパイプで吹き出す御主人様。この男も狂っている。

 『…葉…葉…葉…』休憩の為に抜いた訳ではないぞ。勘違いはするなよ。次の責めに移行する息継ぎのようなものだよ。毛細管でのガス交換のようなものだよ。狂った球体達は君の穴の奥を目指すだろう。直腸を徘徊して小腸まで踏みしめるだろう。其処で地団駄(じだんだ)を踏むだろう。無邪気な子供のやうなものだよ。

 『…なに…を…ああ…』さあ。さあ。幕開けだ。先までの千鳥足の遊びなど余暇に過ぎんぞ。最初に御挨拶するのは僅か数ミリメートルの球体だ。後穴処女(アナルヴァージン)である彼女には丁度いい大きさだろう。『…ん』『…ん』『…ん』

 宵深く月は天高くまで届き輝く。煌々たる光の粒を東京都内まで到達させる案内番は云う『終わらぬ宴を。彼女の奥まで。』月光の反射は工場地帯を駆けぬけ、ヨハンベルトと呼ばれた栄華道の影を反射する。月までの航行にそんなに時間は掛からないと勘づく者は数名。同拷問部屋の上層階に住んでいるらしい。かぐや姫の伝説記も。月裏の世界も。南極の氷の下も。浮舟の伝記も全て包含(ほうがん)した方眼紙(ほうがんし)が広がっている。

 図書館が3/3/3号室の在るべき位置に在るという。予約制で24時間営業の図書館だ。突如現れたり消えたりする図書館だ。『京』というコンピューター・システムの数京倍(すうけいばい)の処理能力を持つ脳が其処に在り、癌を完全治癒させる音楽の開発を進めている。禅病や魔境に罹患した半身不随車(はんしんふずいしゃ)の治癒を行っているという。FEMALE RESEARCH INSTITUTEとは蜜月関係にあり常に行動を監視しているという。魂の輝きを探知する目安箱を持っているともいう。冒頭。狩人と長老、及び祈り女という長編の物語を記載していた。それは未完(みかん)の蜜柑(みかん)よりも甘い果実として現実の中で揺蕩いながら進行している。

 現実で俺は◎◎◎でベルベットのやうに上質な女と逢瀬を重ねる。水面下/氷面下で続く恋物語の行く末に乞う御期待。彼女の前穴(ヴァギナ)も後穴(アナル)も俺のもの。鍛錬場での出逢いからもう何年になるだろう。無味無臭の女。誰よりも賢く無双原理を体現し包含する女。マジカル・ステッキのような手仕草はどんな男性でも魅了する。着衣下に緊縛を施して歩かせる。恥ずかしいだろ。頬が赤らんでいる。逝くのも随分早くなったな。調教の成果が随分と。

 少し続けるか。たまにはこういうのもいいだろ。断っておくが執筆者は都市伝説テラーなんかじゃあない。誰よりも酷く現実主義だ。不確定な理論や論文ほど嫌いなものはない。何を書いているかよりも誰が書いているかで読書を進めていく。そうだ。読書についても書いておきたいところ。自分の為にも。

 黙読が随分と流行っているが…指読。音読。深読。真読。読み方だって随分と沢山ある。目で学ぶことに慣れ過ぎているだろ。そうじゃあないのか。『音を味わう』ことを正確に実施する彼女。肩口に留まる蝙蝠の羽。何のことか理解出来ないなら瞑想をするべきだ。深く。深く。深く。俯角。

 智慧は実践されなければ意味を成さない。現実生活に実装し表層意識を叩き起こす。反復する。反復する。何度も反復する。フグの毒が自然に抜ける迄。反復し繰り返す。21日が経過する時までは我慢が必要。以降は然程の労力なしに出来る様になる。習慣の力は偉大だ。無意識の力は偉大だ。エフィカシーを向上させる工場を自己脳内に創る。

 千羽鶴が萬羽鶴になるまで只管(ひたすら)。百足が千本脚になるまで只管(ひたすら)。本塁打数が通算記録を塗り替えても只管(ひたすら)。彼女が性的絶頂に至り情死寸前の表情になっても只管(ひたすら)。

 美姫。双児の魂には出会えたか。何もかも溶解する三つ目の妖怪の存在を信じるか。切返し及び繰返しになるが俺は酷く現実主義。幼稚な統治法が限界を迎えているのを悲しみ嘆く。肉体で感じるもの。精神で感じるもの。魂で感じるものしか信じない。レノンの『GOD』もそんな歌詞だったろ。確か。

 美姫。数字を巧みに操る獣に囲まれて幸せに暮らすがいいぜ。不具合が在るだろう。不自由だろう。二律背反する同所は完全なサイズの本棚。澤庵宗彭を招聘しやう。一休宗純を招しやう。空海上人も道元上人も同行してくれる領域。誰が一番の蝋燭視者(ろうそくししゃ)か決めようぜ。

『葉……っ』埋まる球体達を尻目に彼等は高揚する。広葉樹と針葉樹の中間に位置するものなどなく「ひとは。ひと。残念ながら。」何時までも。何時までも。「ひとは。ひと。残念ながら。」何時までも。何時までも。『…葉…葉…葉…』朱鷺の喘ぎ声を探す旅は続く。最初の球体が肉壁を貫通する音が鳴り/次の球体が出番を待っている。

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