《瞑想小説 狩人》

瞑想

文字の大きさ
上 下
463 / 512
美姫の場合

美樹の場合㉔

しおりを挟む

:::::::::::::::::::::

 消えない端末からの入力作業は続きます。桃色突起に噛み付いた男性陣の歯型。勃起を模した淫靡な様態の模型(もがた)。幼体に用対するには未だ早い。絶頂感に酔えと彼等は言います。被支配階級の喜びを探して来いと。ペイル/ブルーの車輪は続けます。脳内という非常に小さな図書館の中で。『本当の氣持ちを連れてこい。金屏風の向こうに何が在る。本当の自分というものの隣には誰が居る。きちんと見てこい。きちんと聞いてこい。まどろみの中は変幻自在にして広大無辺な意識の世界。今/今/今/今感じてこい。今/今/今/今連れてこい。生物由来の喜びを連れてこい。万葉世界に導いてやる。突起に深く噛み付いた男性陣には命じる。もっと/もっと/もっと激しく。もっと/もっと甘く。もっと/もっと強く。一点の刺激しか感じられぬやうに。一点の曇りもない青天霹靂を彼女に。色即是空を彼女に。

 『もう少し右へ。もう少し左へ。もう少し上方へ。何も思慮出来ぬ程に強く。』『…嗚呼…』『虚空蔵菩薩殿の席を準備していないのが氣に入らん。何ぞ貴様らもお前(※美姫)も準備がなっておらん。四聖獣殿の席もないではないか。マンションの入口に地蔵が在った。地への繋がりは強いやうだが向きが違うな。方向が違う。のうぼうあきゃしゃ/ぎゃらばやおんありきゃ/まりぼりそわか。のうぼうあきゃしゃ/ぎゃらばやおんありきゃ/まりぼりそわか。のうぼうあきゃしゃ/ぎゃらばやおんありきゃ/まりぼりそわか。おん/しゅだ/しゅだ。不無。此れで良し。』『…嗚呼…』

 言語空間は螺子(ねじ)曲がりながら真の力を取り戻してゆく。『気』は『氣』となり本来意味を取り戻す。そんな空間。『私』は『和多志』となり業務内容に分別をつける事を嫌う。本当はそうなんです。本当はそうなんです。禅 仏教の授業で教わったことがあります。感じた事はありませんが。肉体感覚が鋭敏になってゆく。深い井戸の底に居るような気持ち。深い潜在意識の中に居るような気持ち。溶ける。溶ける。脳味噌が溶ける。言葉にできればどんなに楽でしょう。

 胸鎖乳突筋が斜角筋と交差点で遊びます。放浪主義の執筆者がバリケードを造っているのを見てください。今の自分を昔の自分が睨んでくる。今の私を未来の自分が見つめてくる。相対性理論なんて高尚なものと交渉できるのは人生で今しかないのね。何となく理解できる自分が居る。E≒MC2という事象。次女の事情と情事。化粧という仮装大賞を法華経の読経習慣に昇華しよう。妖菓子(あやかし)の術はそれで破れる筈。言葉処女の破瓜(はか)は墓場(はかば)が良く似合うでしょ。『計らずも破過(はか)るのは喜びに非ず』とか。そんな不合理な方程式は今の自分には似合わない。狐のコスプレイヤーの方が上等よ。三目の通行権が其処に在るのね。三目じゃなきゃ見えないものも在るの。今は其れが理解できるの。時雨の調べが標(しるべ)の昼寝を邪魔するの。きっと其れは涅槃行司の戯れなのよ。きっと/きっと/きっと。

 『奇譚を綺譚とする言語魔術を召喚してやる。回帰(リターン)する術を教えてやる。結局は一緒だ。何も考えず脳内を空にしろ。その前に感情を整理しろ。感覚に集中力の全部を委ね弓を引け。20メートル先の的を見ていろ。暗闇の道場に同乗するな。同条文は破棄しろ。戦後最大級の罪の咎人(とがびと)となるな。誰にでも理解る神業を此の私が見せてやる。それ。第一射。それ。第弐射。それ。第三射。』

 『磨呂君よ。的を見てこい。此れは人間の技術の限界を越えた真実の手技だ。感嘆符を幾つつけても同瞬間は弐度とない。理解せよ。刮目せよ。実感せよ。』

 『…美姫。…美姫といったか。心理風景の屏風後方をきちんと確認してこい。絶頂感とともに瞬間を永遠にするのだ。言葉を連れてこい。本音の本影を連れてこい。重厚な銃口を閉鎖する術の証人となれ。峠は寒かろう。峠は寒かろう。独りは寒かろう。』

 喉元過ぎぬ氣の塊。宿る覚悟の気配。其の色は丑三時の薄い青色。セイラーブルーの車輪の効果に依り…ひとつ/又ひとつ/又ひとつと蝋燭が消える。美姫の躯体は弓になり前のめり。金屏風の言葉は『快』でも『不快』でもなかったという。

 余談だな。つまらない話だよ。

::::::::::::::::::
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】

青緑
ファンタジー
 聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。 ——————————————— 物語内のノーラとデイジーは同一人物です。 王都の小話は追記予定。 修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話

mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。 クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。 友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。

家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう
ファンタジー
テーブルに置かれた小さな瓶、それにソファーでくつろぐ飼い猫のクロ。それらを前にして俺は頭を抱えていた。 ある日どこからかクロが咥えて持ってきた瓶……その正体がポーションだったのだ。 瓶の処理はさておいて、俺は瓶の出所を探るため出掛けたクロの跡を追うが……ついた先は自宅の庭にある納屋だった。 やったね、自宅のお庭にダンジョン出来たよ!? どういうことなの。 始めはクロと一緒にダラダラとダンジョンに潜っていた俺だが、ある事を切っ掛けに本気でダンジョンの攻略を決意することに……。

自衛官、異世界に墜落する

フレカレディカ
ファンタジー
ある日、航空自衛隊特殊任務部隊所属の元陸上自衛隊特殊作戦部隊所属の『暁神楽(あかつきかぐら)』が、乗っていた輸送機にどこからか飛んできたミサイルが当たり墜落してしまった。だが、墜落した先は異世界だった!暁はそこから新しくできた仲間と共に生活していくこととなった・・・ 現代軍隊×異世界ファンタジー!!! ※この作品は、長年デスクワークの私が現役の頃の記憶をひねり、思い出して趣味で制作しております。至らない点などがございましたら、教えて頂ければ嬉しいです。

お尻を叩かれたあと、○○もお仕置きされちゃう女の子のお話

まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*) 鏡の前でお尻を叩かれながらイかされたあと、ベッドに運ばれた女の子が、イかせて欲しいと泣いちゃうぐらい優しく触られて。それならと、自分でローターに○○を押し付けさせられるお話しです。

転移先は薬師が少ない世界でした

饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。 神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。 職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。 神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。 街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。 薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。

料理人がいく!

八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。 ↓ 神にその腕を認められる。 ↓ なんやかんや異世界に飛ばされた。 ↓ ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。 ↓ ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。 ↓ 主人公の住んでる山が戦場になる。 ↓ 物語が始まった。

処理中です...