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交差
涅槃図…九尾の鞭
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『ひとつ』鞭が舞い飛ぶ音がする。骸骨のうち最も賢い者が鞭を振る。根本から先端までの長さは人の背丈の2倍から3倍程。黒々とした色は元ゝそのやうな色だったのか加工された後に塗色されたのかは判別不能。後者の方が宴の盛り上がりに寄与するならばそうしておこう。淫靡で洗練された黒。審美眼の篩を抜けた黒。鞭は先端に向かうに従い徐々に細くなり突端は狂い尖っている。
『嗚呼!嗚呼!嗚呼!』叫び声ひとつ
鞭は約半分の位置で厄犯文(やくはんぶん)と契約を交わしており9に股分かれしている。一つゝがそれぞれに解釈意味を持っている。①怠惰の厄除け②浴場の欲避け③祭祀の成功④司祭の精巧な性交⑤母体の介錯と解釈⑥膳食と無食の関わり⑦腐敗からの脱出例⑧生と死⑨性と詩。そんな具合だ。
『ふたつ』蟲が其の打突に痙られて死んでゆく。魂の死は消失の意味。ロストでありローストでありコストの掛からぬダストシュートの中に溶ける魂達の咆哮は円舞曲(ロンド)。緊縛絵図の中央線は複数回の螺旋を描き希少価値を高めていく。何度振るわれるのか理解らないwhippの存在はダイナミックでありサディスティックであり本宴の主役として価値充分。
『嗚呼!駄目!駄目!』叫び声ふたつ
鞭の最先端を見分する旅へと向かおう。音速を超える瞬間に『ひゅん』と音が鳴るのは種も仕掛けもない世の成立要件のひとつ。ソニックブームへ加速する様のシンフォニックをジントニックに混ぜて乾杯しやう。性行為の中で最も過酷な星座に位置する鞭打ち行為すら涅槃図のひとつ/此の世の至極也。
『みっつ』先端は茨の園を模しており非常階段よりも非情で/畳の六条間よりも秘帖な吐息を求める怪物の様相。史上唯一の四冠を得る漢は鞭痕好みの落札者。札束の群れで鞭の回数券を最高値で購入する楽屋裏。
流るる血の海すら飲み干す事を厭わない髑髏の眼差しを見る。意味深な七輪で焚かれた文句は疥癬付着の大いなる嘘。「健康の為ならば何をしても許されるだろ?捕縛した獲物に傷を付ける事すらも」
『葉…葉…葉…嗚呼!』叫び声みっつ
奔放な鞭はウィットに富んだ放物線を描く。何本かは魔窟の天面に向かい激しい衝突音を発す。娘の腰骨あたりに一本。胸部膨らみに一本。背部/脊柱起立筋群に一本。股座一本線の上方部の上等突起に一本。それぞれが禍根を残し怨恨由来の狐が暗闇を睨む。
『よっつ』投擲者は打数毎(だすうごと)に振るい方を変える。古い型は篩にかけられ板金塗装を生業とする下請け業者に売られる運命。鞭の先端達は久久肉(ひさびさにく)の味わいに酔うており様々な箇所を刻み取りたいと興奮を隠せない様子。勿論,責め手としての腕前は免許皆伝だ。
恐怖と悦楽と羞恥を全部足して三で除した脳内麻薬に酔いしれていればいいぜ。後も痕も全て此の宴に興じて泣いておれ。鞭打ち刑罰には泣顔が良く似合う。
泣きっ面の周囲に蜂が舞い飛び数ミリの短針を差し込んだ。見るだけ骸骨達は骨組みの腕組みでその注射器を看取りおおひに遊ぶ。
『嫌…嫌…嫌…嗚呼!』叫び声よっつ
台詞by骸骨⑥『判然とせぬ顔貌をしておるな。娘。緊縛されて惨めな姿を魔窟に巣食う者共に晒された娘よ。鞭痕(べんこん)が痛々しいが何/心配は御無用。此の護謨用(ごむよう)の接着剤を塗布すれば直ぐに治るので問題は無い。さて。娘。知らぬ存ぜぬは通らんぞ。此処に至った奴隷市場での経緯程度で其の罪を償えるとでも思ったか。』
台詞by骸骨⑥『私は万年花に巣食う怠惰に対し鞭を振る。私は数字の魔法に絆され拿捕された罪に鞭を振るう。善と悪の敷居跨ぎなど無駄な事だと思わんかね。それにしても娘。君の身体は汚れ過ぎている。贖罪が必要だ。比喩的に言えば鞭打ち刑は贖罪(しょくざい)であり君は食材(しょくざい)であり宴の色材(しょくざい)といったところだ』
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