《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

魂の温度

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色服男が導く宴は最高潮
簡素化かれた無限図形の端で
彼女は究極の恥辱に見舞われる

『聴け』色服男が尻穴に挿入された
『聴け』見事な栓を引き抜けば
『聴け』淫靡/淫乱/陰なる韻が響く
『聴け』ぐるりぐるりと回る中空に彼女は
『聴け』居場所たる緯度経度を定められず
『聴け』只/内圧と外圧の平衡を求め
『聴け』赤火よりも赤ひ表情で射出す

『見よ』赤の液体は/彼女の脳髄内を攫う
『見よ』緑の液体は/程度良く上・中・下
『見よ』紫の液体は/体内に強靭な粘りを残す
『見よ』それら全てを床面に垂らす馬がお前だ
『見よ』それら全ては支配領域を喪失した椿
『見よ』それは閲覧者全員が求めた方程式の解

 掃除を生業とするものは此の手の責めには慣れている。流石は同市場で生計を立てている強者といったところだ。右手に持ったモップ状のもの/先端は現在時系列で確認できる解りやすい形。対岸には九本の荊鞭が宗派不明の隠遁者に従い出番を待つ

 同男の傍らには銀色の車輪棚が在る。エレクターのやうな面構えといえば理解に容易いというのが筆者の見解であるが如何。3段重ねのキャスターには最上段に『布団のやうなもの』中段に『あらゆる淫具のやうなもの』下段に『何もない空間』を携えて其処に鈍く光を放つ也

 迷言と世迷言と貰い物と時の足音を嫌う彼は/何でも掃除し片付ける。必要があれば体内に入れ消化する事も厭わない。鍛錬された見事な漢であったと今/邂逅する

『ほれ』開放された襞が射するもの
『ほれ』彼女の腰を45度にする力が加わる
『ほれ』其れは粗相に架かる橋を謝する姿勢
『掘れ』土中へと潜りたい程/深い羞恥は春の陣
『掘れ』穴があったら這入りたいと君は言うが
『掘れ』穴の隙間まで知りつくす追跡者を舐めるな

『これ』身悶えて動こうとする彼女
『これ』振り払いたいのは羞恥と衆知
『これ』但し/此の記録は消える事はない
『これ』妖精村への宣戦布告材料として
『これ』此れ以上過激なものは今のところない
『これ』その村の秘密は月の存在意義と一緒
『これ』暴れ馬を牛にしやう/間もなくだ
『これ』暁には動かなくなるだろう

 月が出た出た月が出た
 水溜り場となった床を憐れみ歌う
 誰かのスロート/ビブラート

 月が出た出た月が出た
 調教歌は朝鏡を割る事を厭わず
 早朝の総長に結果を告げる

『嗚呼…あの娘のことで御座いますね。彼女は奴隷市場の王に攫われたのち。かくかくしかじかで。これこれこのような経緯を辿ったのち。最期にこのようになったと記載されております』

『嗚呼…随分な内容で責められたようです。自慢の2枚羽根を焼かれ失ったのち。斯々然々のやうにされたのち。浣腸嬲りは勿論のこと。あんなこともされたのです。こんなこともされたのです』

『嗚呼…その後に同記録を出汁にして大きな戦争が起こりました。両者の言い分は見事に正義を貫くもので御座いました。今もなお…その善悪定義に決着はついておりません。量子力学の悪戯としか思えませんな』

『嗚呼…妖精の村には禁断の技法が御座いました。最小単位のものをぶつけあい/融合させ/莫大なエネルギーを溜め込み/自由自在に射出する/善でもなく悪でもない/只・巨大な存在と呼べるエネルギーで御座います』

『地下深く地下深くで実験は繰り返されており…これに反対する勢力と此れに賛成する勢力に大きく2分割されたといいます。嗚呼…此処は笑うところで構いませんよ』

『嗚呼…少将殿。長い長い記載も少々/進路変更をするべきかも知れません。彼女の腹腔内が全て空っぽになったのち、何度でも繰り返す事も可能でありますが…それでは品がないでしょう』

『嗚呼…現実とおおひに交差する殺し文句は如何でしょうや。如何でしょうや。如何でしょうや。エンターテインメントとしては三流。ブログ記事としても三流。ノンフィクションとしても三流。時に天空を駆ける竜の存在を語るなら一流ですがそれは過去の事であるので不可能。感覚と忖度に属する奇書に近いものかも知れませぬ。嗚呼…同筆者が求めるのは完全なアドリブで宣言する「究極の心と身体」。其の書物の一助になる為にこのような文脈が日々生まれていくのです。何時しか消える為に書くのです。読まれる希望はなく。如何に消えるかを意識するのです。言ってしまえば只のトレーニングですな』

『嗚呼…彼女についてもう少し申し上げておきましょう。肉体の消去などは問題ではありません。後日譚として問題になった案件は。魂の焼け焦げる温度についてで御座います。ソマチッドは未来永劫なるものではなかったのか。氣の概念は永遠を貫通する最後の微笑みではなかったのか。其の理論に大きなゝ問題を発生させる物語に発展するのです…少将殿/あらあらかしこ』

 月が出た出た月が出た
 見事な月夜にその裏側を覗く放浪者が居る。床面の汚染源を粛清する行為が見える。起承転結なる文字羅列に結われた末端は川面を漂いながら狐の鼻先を小突く。同河川は其の緩やかな/麗らかな流れで彼女を包み目指すのは広大無辺な海

 月が出た出た月が出た
 腹腔内を満たす液体の残香は皆無になる。赤の液体は罪の萌芽を攫ってしまった。緑の液体は春の訪れを拒み巨大な温度計と手を繋ぐ事を決め/紫の液体だけが脳内に留まり思考を支配する

 月が出た出た月が出た
 彼女は唐突に両手の緊縛を解かれたのち/其の両手に同じく淫猥な目的で作られた籠手を嵌め込まれ『…!』言葉すら生成出来ぬ淫靡な扉が開閉を繰り返す音が聴こえてくる

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