《瞑想小説 狩人》

瞑想

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時の篩を愛に添えたなら

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『では…レバーを中に』

『嫌…嫌…』

巨大な毒蜘蛛が生成したハンモックに乗り
淫靡な宴の主演者となる娘の吐息は桃色から赤
其の中間地点で剥ぎ取られた羞恥心の庭
同庭には深い欲望が右巻きの渦を巻いており
紳士が真摯な姿勢で深視力を測定するポーズ

『…嗚呼…駄目…駄目…』

可憐な吐息とともに喘ぎの声が漏れる
横恋慕のアンケートは皆が既知とする
不思議ちゃんの仲介で集会の議題となり
『①一気に鬼畜所業の思いつきを全部』
『②このまま/じわりと少しずつ』
『③誰も見たことの無い責め苦を』
『④紳士にお任せ/何故なら紳士だから』
此のやうなアンケートを実施した結果については
全選択肢が概ね同一の投票率と得票率を得る

『…嫌…逝…逝…』

『はっきりと喋ることだな』

腰が絞られるやうな感覚に襲われ娘は思う
きっと此の腰椎は捩じ切れてしまうだろう
きっと此の胸椎も同様の運命を辿るだらう
きっと付随する筋肉群が先行して伸び切るだらう
でも退屈に付属するものよりも美しいだらう
でも忖度に由来する選択肢よりも美しいだらう
其れ等の美は弥生と卯月の変遷する瞬間に
ボイルドエッグの様に沸騰するだらうと

『最早…最早…嗚呼…』

『逝け』

きっと皆/諸々の事情を忘れているのでしょう
日々の忙しさに忙殺されてしまっているのでしょう
働きアリのやうに忙しさゆへに忘れている
心と書いて無くすと書いて『忙』といふでしょう
きっとこの紳士もそうなのでしょう
私を求める声が真剣であるのならば
同振動数をもってお答へするのが
女の嗜みであり/躰の礼儀であるとか

とはいいつつも最早陰核が保ちませぬ
とはいいましても最早感覚の昂りは
程度の差を上下左右に揺するのです
北の花壇に赤毛の狐を誘うのです
猛る欲望への敗北宣言ならばとっくに

『……!………!』

娘は毒蜘蛛ハンモックの中で身体を弓にする
娘は金融特区の中で暫く痙攣発作を起こし
『中』のレバーに身体と躰を預け絵画となる
同絵画はいずれ奴隷市場の名物の一つになるだらう
絵画には題名が必要なのは言うまでもなからう

『陰の韻を飲するならば』…イマイチ

『奴隷市場の夜』…イマニ

『妖精奴隷は方角を失い』…イマサン

『股座にディストーションとファズ』…イマシ

『差し出された罪状と償う娘』…イマゴ

『刑事罰と民事罰の違いに辟易』…イマロク

『桃色突起と球体の戯れ』…イマシチ/最悪

『賽の河原にて』…イマハチ/WORTH/WORST

『美の巨匠はマーダーMの配下』…もう一声

『生の縮図』…此れだな/今は此れでいい

更地の関東平野に肉欲が集結しており
良くゝ見れば分散される事が必須であるのに
誰も幹線道路の不備に気づいていない
誰も感染経路の迷路の正体に気づいていない
「喉元過ぎれば何とやら」誰かが笑うのを聞く

嘘つきニュースキャスターの口パクに対立する真実
此の強引な偏りも最近は「まあいいか」と思うよ

縦に読んだらどうなるのかといふトリックが
誰にも氣づかれずに過ぎるのも構わない
碁盤の目に文字を連打するのに思考は要らぬ
感覚と錯覚と斜視の真実を付すのが楽しくてな
誰にも氣づかれずに底辺を攫うのが楽しくてな
其れも美といふものだらう/違うかな

『迷いはないのですか』『勿論』
『後悔はないのですか』『勿論』
『回り道と知って進むのですか』『無論』
『では…私を愛して頂けますか』『勿論』

『何故そんなにはっきりと言い切れるのです』

『答えが欲しいかい?随分と昔から俺は君に告げてきた筈だが。…時間とはこのように使うものだよ。時間の篩にかかっていないものを俺は好きになれない。どんな副作用があるのかも解らずに飛びつくのは愚の骨頂というものだよ。ゆっくりと深呼吸をして御覧。ゆっくりと目を閉じて最後の目で見て御覧。此の11年の経過は本当に綺麗で楽しい日々だった。君のお陰だ。愛しているよ。言葉で言うのは簡単かもしれない。しかし。しかしな。此の11年間の何処を切り取っても…此の11年間をどの角度から見ても本物だと思うだろ。愛しているよ。そして俺は知っているんだ。君は質問をして確認したいだけだってことも。』

ところで君の万全なストッキングについてだが
膝下三寸まで下ろしてくれないか
膝下三寸まで自分で下ろしてくれないか
下ろさないのなら俺に破られる事になる

大事なものなんだろう/大事なものならば
膝下三寸まで下ろしてくれないか
膝下三寸まで自分で下ろしてくれないか
下ろさないのなら俺に破られる事になるが

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