《瞑想小説 狩人》

瞑想

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車中の友情は至高であり死香

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泥土の中で見る夢を土中夢と定義する
現と夢の狭間の世界を明晰と定義する
陰と陽の中間には固有名詞を付されぬ
風と縁起のない風見鶏が春雷を受け取り
山野の葬儀に導く車中にラブ/ソング

恋が唄になろうとしている

俺と縁の深いものが一笑ひ『ははは/は』
随分と渋い声だったぜ『ははは/は』
俺も下腹部を抱えながら同じように笑う
『貴様にもそのような時が訪れるとはな』
背中越しの友情と物語に嬉々とする二人

とても懐かしい感覚になる
お前の骨は俺が頂くぜ
心配するな/悪いようにはしない

少年時代に思ひを馳せ
随分と病弱だった自分を憐れむ
凍土に導かれながら死ぬ事は美学だった
白い熊と銃口は対峙しながらも身内であり『一つ』
自然に帰属する行為であるのに疑いの余地はない

死なんてそんなもんだ/死なんてそんなもんだ
実家への帰省と感覚は然程変わらんよ
死なんてそんなもんだ/新案を提示してくれるなよ
実家の母を訪ねるよりもっと実家感があるんだぜ

白い狐と銀の銃弾は生と死の狭間を周回しつつ
以下のやうな会話をしているんだ/聴きなよ

『…運命とはこういふものであるしな』

『…最後の敵が君である事に納得ができるしな』

『…哀しい物語だなんて思わないね/一切』

『…君の身体の一部になって生き続ける』

『…未来永劫に最小単位の細胞は死滅しない』

『…寂しさ?…そんなものは無いね/一切』

獲物はそのように死んでいくのが普通であったし
普遍的な光景だった/少なくとも俺の周りでは

…比較するに関東平野は退屈が蔓延している
…比較するに周囲環境は生が呆けている
大いに小馬鹿にしてやるぜ/怠け者をな
紙とペンと快適電話と其の代替品の奴隷めが

集会の議論の中心に居る人物が警鐘を鳴らし
大きめの声で近況報告を実施すること半刻
無駄な時間になると察した俺は回れ右
直ぐに其の場を去る事を目的とする行動にでる

隙間時間を奪われる事すら腹立たしい
快適電話から発生する雲は関東平野を覆い
使っているやうで使われているのに
同集会の参加者全員が気づいていない
『農業主義』といふのが主題であったが
誰も歴史の真実から学ぶ姿勢がないので
俺ははっきりと『無能/無学/浅知恵』と
長殿に後日メールを送信させていただいた

其の送信内容についてが答弁課題になった
事前通告なしの議論と野次の餌食になった

事実は事実であるし仕方がない事
参考人と招致人が代弁した言葉で
俺が不利になることは重々承知

『静粛に願います』弁論まとめ人は
俺が不利になる進行を心がけているやうだ

『ははは/は』背中越しの車中で
上記の二束三文話を聞く友が笑う
『ははは/は』渋い声だ/好きだぜ
もし俺が席次を失っていたら
お前の後方援助が無くなるのだが
その怖さを感じる事はないのか

『……☓☓』そうか/流石だな
『……☓』そうか/流石だな
『……☓☓』そうか/流石だな

俺が答弁中に考えていた事はこうだ
『退屈よりはずっといい
 俺は生を感じていたいだけだ』

貴様ら全員がマネー主義の勝者だと思っている
大きな間違いだぜ/完全な痴呆症集団だよ
事前通告の無い質問に完全で無欠な
アドリブのセリフがシェリフを貫き
間もなく如月が卯月になる/其の胎動を聴け
間もなく春雷が新しい頁を刻む
其の結び目を本結びとし/解けぬよう
決して解けぬようきつく半結びをかけておく

…アクセルを踏むから
 シートベルトは締めてくれ
 『マスクは』なんて
 野暮な事言うなよ/行くぞ

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