《瞑想小説 狩人》

交差

奴隷市場 苦髪楽爪

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模型(もがた)の動きに支配され候
羽根を失くした妖精娘
歯型をつけられ舐められ候
親分子分の先行逃げ切り
桃色突起の右に伏そうか
千鳥のとりつく千・寿・庵

内部転々、其れ故完全
霧中消散、浴びて硝酸
腹腔内部で暴君は熱を帯びる
掻き混ぜ、こじ開け、更に掻き混ぜ
入り・這入り・挿入る其の先に
もう一つの小部屋を見つけ候
奥の奥の・更に奥の・もう少し奥…
小部屋にこつ・こつ・不吉な足音

「………」
「………」

姫入り前の悲鳴に似た声はとうに枯れ
大波・ざぶざぶ揺れ動く深海へ
其の吐息に引き込まれていく娘と
同様・惹き込まれていく群衆の輩
行先は誰も叩いた事の無いドアか
若干開いた蕾の奥に咲く小さな花
産まれ間もない草花の幼性を狙う模型(もがた)

桃色突起は２人の男の唇内に巻き込まれ
「…嗚呼」「嗚呼」「嗚呼」
とても解りやすい感情を表現する
感じているのだろう、観じて見るがいい
もう一人の自分自身に達観してもらへ
もう一人の自分に代弁してもらへ

「私は現在…奴隷市場という場所に連れられ
　両手を高々と挙げ縛られ…正に赤裸々な有り様
　此れを皆々様方にご高覧されながらに
　恥ずかしゅう御座います
　恥ずかしゅうございます
　村に戻りとう御座います…しかしながら
　突起に２人の男性(にんげん)がお戯れを…」

「噛まれ、舐められ、刺激される時間は
　まるで南米産のお茶を最初に飲んだ時のよう
　まるで朝日に混じる黒点が大きくなりすぎて
　陽たる性質を変遷させた太陽の様…
　具体的に申せば…とても…嗚呼…」

「腹腔内に模型(もがた)が侵入しております
　退化した部分との表現を付されました
　久しく歴史の表舞台に出なかった場所
　妖精一族の姫部分に怪しげなる機械が…」

「女王様…私の母上へ質問を投げかけたい
　雌の妖精は、雄を食べて生き残る
　其れを餌にして栄養にして羽根を得る
　ヒトはどうもそうでは無い様子」

「雌には欠けたる部分があり
　雄には余った部分があるようです
　此れを対にして一体となり繁殖・繁栄
　此処までの栄華の礎としてきたのでしょう
　故に其れは生存欲求…
　我々が雄を食す行為と同じ…
　極・極・自然な事のようです」
　
「我々も元々はひょっとして
　其処から派生した、枝分かれものでは
　無いのかと思う次第で御座います
　何故なら…嗚呼…嗚呼…嗚呼…
　腹腔内がとても…熱く…なる…」

「弓になれと、そう言われます
　感覚は夜半の涅槃
　何時かのお茶会で感じた
　あの感覚よりも鋭く且つ
　機敏に動き回る物体が擦れる度
　私は夢見の旅路を独歩させられ
　何度も弓となり峠を越すのです」

「峠は高く険しく酸素が薄い
　私の顔色は如何ですか、お母様
　欠乏症の青紫になってはおりませんか
　貴女の千里眼で私は御覧になれますか？」

「追であり終(つい)…私の羽根は永久機関
　電気を宿す雷神の怒りに灼かれ
　飛べない身体となってしまいました…
　　　　　　　　　　　　　あらかしこ」

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