《瞑想小説 狩人》

交差

奴隷市場 青息吐息

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「…嗚」「…嗚呼」「…嗚呼」
妖精の羽根は灼ける
焦げ茶を通り越し
黒に変化した色…
禁色（きんじき）・死路・苦路
それらが混じりあい
肩甲骨の根までも焼いた

「…くる・しい…」
それはそうだろう
お前を規定する
妖精を妖精たらしめる
２枚の背羽根が灼けたのだ

「…もう、駄目…」
その通りだ
もう駄目だ
後戻り出来るなどと
無為な希望は捨てておけ

大雨はお前の絶頂を
苦悶の表情も平に付す
股座より侵入した
球体の大暴れに
弓なりになっていろ

奴隷には似合いの姿だ
奴隷市場の王は
過去と対峙しながら
呼吸を整えつつ
「にやり」と笑う
灼けた匂いが市場を包む

責めを担当する諸氏のうち
最も才知に優れたる者が詠う
ハイライト…奴隷市場の主人の
過去に割って入る様に

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①詠み人知らず

仁・王・門
金剛力士が
鎮座する
二人一組
呼吸は阿吽

阿形には
万物開始の
意味持たせ

吽形には
物事(ぶつじ)終わりを
任せよう

ヒトガタよ
自ら求むる
事を成せ
例えば性癖
生きる目的

ヒトガタよ
迷わぬ様に
与えやう
壊れぬ陶器を
高まる動悸を

ヒトガタよ
肉悦楽は
道標(みちしるべ)也
其のまま進め
其のまま進めよ

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聴こえているか
妖精奴隷よ
おいおいどうした
ぐったりしておる

もう少し
電気を上げろ
まだ焼ける
娘を起こせ
此れではつまらん

「……！」
「……！」
永久機関を宿した箱は
右手の人差し指と親指に触れられ
右回し・右回し・螺旋回し
ねじ込み・捩じ込み・ネジ混まれ
其の賽河原、右辺の頂点まで取り憑いた

「……！」
「……っ！」
焼ける妖精…
羽根の先端、一撃目の
電撃跡が痛々しい
現在は羽根の御元
肩甲骨との接続部から
上方に約３センチメートル
左右に約３センチメートル
其の位置取りで焼く天使羽根

痛みは錠剤の成分で
相殺するとしよう
後の禍根を大いに残す
依存性の有る成分で誤魔化せばいい

痛みは快楽物質で
相殺するとしよう
腹の中に埋まった
振動球体の数を増やせばいい
内壁をかき混ぜ
内的に抉じ開け
快適な住処を更に燃やせ…
振動球体の数を倍すれば

涅槃寂静
此処に極まる
燃えよ其の羽根
応えよ身体
飲めよ錠剤
謳え・球体

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②詠み人知らず

色・即・是・空
空・即・是・色
滅私の先に
空(くう)を知る也

蓮ノ花
美しヶ池に
咲くを見る
其の色・紫
肉闇・魔法

舞い踊れ
長命長寿の
者共よ

舞い戻れ
賽の河原は
水・美味し

辞世の句
自由闊達
涅槃の句
中庸・中道
禅は花道

ブラフマン
全てを統べる
者のみが
奴隷身分の
先行きを知る

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踊れ踊れよ
舞い踊れ
鯛も平目も
連れてこい

平目といへば
聞こへはいいが
そうは問屋が
卸さぬ折も

娘に突起が
３つも在るぞ
さてさて御覧な
良く見て御覧な

桃色の突起二粒
隙・あらば
其処に歯型を
付けるもおかし

右乳首…がぶり咥えて
ヒトガタは跳ねる妖精
見ては喜ぶ

左には…黒い鋏を模す玩具
ぱち・ぱち・ぱちん
これまた淫靡

「……っ！」
痛みと快氣の
入り混じる
羽根焼き奴隷を
食すと・しよう

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