《瞑想小説 狩人》

言葉責めの夜

言葉責め 其の７

少し変わった
話を付して
おくこととする　

俺は
あるオンナに

「君の小さな胸に、
　その可愛らしい突起に、
　蜂蜜を塗って舐めたいのだ」

と
夕暮れのカフェで提案した

オンナはしばらく沈黙を守り
数分、思案した後

「…国産の
　…天然のもの
　　なら…」

そう言った
不思議なオンナだった

後日談は奇譚となる

ただ、書き留めておこうと
思っただけだ
何となく

………………

…今までの行為で
　最も刺激的だったのは？

…まさに、今
　で、す…

…何をされている？

…言葉
　言葉の責め…

…興奮、するだろう？

…は、い

…痛みは？

…ありません

…興奮は？

…あり、ます

…言葉責めの次に
　刺激的、だったのは？

…後ろ…で、す

…尻穴、のことかな？

…は、い

…どうされたのだ？

…言うの…
　ですか？

…そうだ

…奇妙なスティックを、
　挿れられました
　嗚呼…

…深くまで？

…は、い

…腸に届く、そんな感じがする？

…は、い

…それは、お前を掻き回した？

…は、い

…絶頂には、達したか？

…は、い

…前と後ろ
　どっちが好きかな？

…

…答えろ

…前は、自然な感覚、
　でも
　擦られるのが辛くなることも…

…後ろは？

…もっと、乱暴なもの
　腸の中に手が伸びてきますと
　もう…

…もう？

…直ぐに限界を
　迎えてしまいます

…達してしまう？

…は、い

…腸壁の快楽を
　カラダが知ってしまった？

…は、い

…気持ちよかった？

…気持ちいい
　と
　気持ち悪い
　の
　丁度中間を、
　行き来します

…前、後ろ
　同時にされたことは？

…ありません

…興味は、あるか？

…いいえ

…想像しろ
　２人のオトコが
　お前を求め
　襲いかかってくる
　彼等は求めている
　お前の、カラダを
…想像、したか？

…は、い

…手を、止めるな
　乳首を、摘んでおけ

…は、い

…２人の逞しいオトコに
　乱暴にベッドに放り投げられ
　裸に剥かれ
　手錠で繋がれる
…身動きままならぬカラダ
　そして
　２本の舌が迫ってくる
　首筋
　肩
　胸元まで
…想像、したか？

…は、い

…どう思う？

…興奮、します

…２人に同時に
　乳首を噛まれ
　お前は程なく達する
　彼等は言うだろう
…美しい
　面白い
　カラダだと
　もっと
　もっと
　遊ばせろと
…想像、したか？

…は、い

…お前は言う
　口ではな
　《嫌です、
　　帰らせてください！》
　彼等は言う
　《どこへ帰る？
　　お前は
　　コミュニティの祈り女、
　　輪番の巫女、
　　帰る場所など
　　ありはしない》
…想像、したか？

…帰る、場所？…

…何だ？

…帰る場所
　人は、人に帰るのだと
　そう思いました
　お話の、中で

…人に、帰る？

…はい
　帰るのは場所じゃない
　人は、人に還る
　そう、思ったのです

…面白い、
　面白いな、
　お前は
…脱がされ、
　言葉責めに喘ぎながら、
　ストリップショーの最中、
　面白いことを言った
…還る場所
　人は、人に
　還ると？

…はい

《小娘よ、
　やはりお前は、
　危険なオンナ
　無双原理の、
　理解よろしく、
　時は砂
　その力、
　削いで落とそう
　言葉の力で》

…暫くショーを
　続けてもらう
　趣向を変えてな
　娘よ
　場所を変えるぞ

…どこ、へ

…ベッドの上だ
　気分を、変える

…ベッド…

…お前はベッドに
　仰向けになれ
　私はお前を
　上から見下ろす
　只、それだけだ
　只、それだけで
　気分は、変わる

…それ、だけ
　です、か？

…言葉
　私が使うのは
　言葉のみ

…

…来い、
　ほら、
　ベッドの上に、
　そうだ、
　そうだ、
　そう、
　そのままにしておれ、
　動くな、
　動くなら
　動けぬようにするまで、
　仰向けになれ、
　対面位に近くする、
　足を広げろ、
　もっと、
　もっと、
　そうだ、
　もっと、
　足を広げろ、
　そこが私の座する場所になる
　こうだ、
　このカタチだ、
　気分も変わるだろう
　おっと、
　交わすのは言葉のみ、
　それは
　もう一度、
　約束しておこう
　もう少し、
　足を開け、
　そう、
　そう、
　そうだ
　夜は、まだ長い