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視姦
深夜の訪問者
しおりを挟む何度目の夜なのか
君は春の間の
奥から2番目の部屋で
眠りについていた
その部屋は比較的
大きな作り
背丈と同等か
又はそれ以上の高さの燭台があり
オレンジ色の光を発する
ロウソクが部屋を照らす
空間は
輪番の余韻を完全に吸収し
今は穏やか
かの高僧は言う
「集中力を極限まで高めるため
ロウソクを掲げよ
目線と同じ高さにし
約1メートルの距離
そこから只、ひたすら
凝視するのみ」
その高僧は
鍛錬の最終形態として
ニュウジョウと呼ばれる
生きながらにして菩薩になる
そんな道を歩んだという
私もそう、ありたいものだ
一切の迷いなく
一切の恐怖なく
一切の望みもなく
只、そこにあることに
恐ろしいまでに集中する
君は、眠りについている
…眠りの中
…誰かが
君に囁く
…×…×
耳元で…
嫌、違う
この感覚は…
過去に経験したことのあるものだ
…×
…××
…××…×ございます
…おはよう、ございます
…
…だ、れ?
…おはようございます
が、適切なのですかな
…お、はよう、ございます
でいいのかしら
…私は…かの狩人ではありませんぞ
あの方とは違います
私は世界を旅し、
時間と空間を越えるもの
…だれ、なの
…不思議な乗り物に乗って
時間と空間を越えて
この世の旅を続けるもの
誰かが私をこう、呼んだのですな
「才児」と
…さい、じ
不思議なビジョンを見る
目を閉じているにも関わらず
瞼の奥
2つの目のちょうど中間
耳と耳を結んだ線のちょうど中間に
誰か、居る
…私は、かのダヴィンチ村の
レオナルドと人体の神秘を探求し
世界のルールを
崩壊させかねない力を持った
テスラ氏とねじ巻きコイルを作った
そんなものですな
私は求めている、渇望している
清廉なる魂を
…たま、しい
…そう、魂
あの狩人も、そう
あなたも、そう
雑多な欲はなく、
人生に渇望があり
立ち姿だけで2度見
3度見してしまうような
他と違う、雰囲気…
その雰囲気が
私は好きですな
…
…ところで、あの脱走兵
狩人のことですが…
彼は今、魂の橋を抜け、
幾つかの出会い、
幾つかの死線、
幾つかの瞑想を抜け
ある村に落ち着きました
彼は…
そこで2択を迫られることになるでしょう
演説をすることにもなるかも
何にせよ
振るいが用意されており
そこをくぐり抜けられるかどうか
境目、ですな
…狩人、様…
君は胸が熱くなり
少量の涙を流す
ツインレイ
双子の、魂
…彼は…
彼は、強い
余りにも、強い
そしてこれからも強くなる
後に語られることとなる
《三連符との戦い》
この結末を申しましょう
※何のことだかわからなくて結構です
力自慢の大柄を、力でねじ伏せ
言葉巧みな中柄を、言葉で制覇し
小回りの利く、小柄より巧みに
その指を動かした
…?
君は少し、首をかしげる
チャーミングな仕草だな
可愛い
…彼は
どんな時も、貴女と一緒
魂の形が一緒だから
割れたせんべい
ボルトとナット
凹と凸
全く同じものであったのが
2つに割れた
完全であったのにも関わらず
あなた達は2つに
割れた
自らの意志で
何故?
その、答えは?
…成、長?
…さすが
流石
流石、ですよ
同じことを
彼も後に語りますよ
そう、成長が答えだと
もっと強くなり
数多の経験をし
また、一つになるためだと
そのために瞑想するのだと
そのために旅をするのだと
そのためにコミュニティを出たのだと
…
ご安心なさい
彼は、健在です
今夜は寒い、
もうお休みなさい
また、会うこともあるでしょう
私は、才児、
時にブラフマンとも呼ばれ
時間と空間を越えるもの
…もう少し
聞かせて…
…フム
ならば
申しておきましょうや
この物語は…
狩人が後に記し
後世に示す名著
「究極の心と身体」の一部
…
これは、何世代にも渡り
引き継がれ
電子上の幻のデータとなる
そこには
・瞑想について
・その効果について
・感覚について
・意識について
・7大欲求について
・集中について
・丹光について
・仙道について
・クンダリニーについて
・アーサナについて
その他もろもろのことが
はっきりとした文字で
記されております
ここで一つ抜け落ちているものが
ありましてな
…
それを補完するのが
貴女の存在だったと、
彼は後に語るわけです
…
…今夜は、ここまで
近況は、必要あらば
届けに参りましょう
月光の巫女よ
輪番の巫女よ
君の状況を
かの狩人が知ったとき
彼は激高するでしょうや
そのとき
彼はどのように
自分を支配し、統制していくか
楽しみが、増えました
おっと…
喋り過ぎましたな
悪い癖ですな
では、また
…
彼は消えた
唐突に現れ
唐突に消えた
不思議な夜だった
深夜の訪問者
君は
再び
眠りに落ちる
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