《瞑想小説 狩人》

瞑想

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視姦

ソマチッド

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世界最小の生命体にして
最古の命

溶岩で溶けず
宇宙空間で死なず
炎で焼かれず
絶対零度にも耐えうる

それは全ての生命の源でもあり
意識
思考
感情をも司る

支配領域は広く
この世界の全てといっていい

俺は奇妙なオトコと出会い、
彼と幾つかの会話をしたのを
覚えている

その中の一つが
「ソマチッドについて」
だった

「そう、目に見えるものが
 全てじゃないぜ、
 例えば、炎
 これは現象といわれるな
 最も熱い部分は目に見えないそうだぜ
 興味深いと
 思わんか?」

「不無」

「ところで、夜は?
 どう過ごしている?」

「そうだな…
 雨が凌げ、風が届かないことを確認したら
 体温の低下を防ぐよう
 つとめている
 対流しない空気の層を作り
 必要なら羽毛を調達する」

「その場で?」

「勿論」

「どうやって?
 …野暮な質問か?
 言うなれば《最古の知恵及びその体現》
 といったところ」

「そのしゃべり方…
 くすぐったいな」

「そうか」

「そうさ」

不思議なオトコだ
彼は永久機関が守る村
そこから来たと言っていた

彼はその村に
狩人は居ないと言っていた

酔狂な行為だと

俺が半生を捧げた行為は
その村には必要ないことだと

面白い
興味深いな
否定を否定しまい

何事も学びだ

そういえば…
「貴方はこの村を出る
 最初の狩人になるの
 色々な経験をして…云々」

あの祈り女がそんなことを
話していたっけ
厳密には
話してなどいないのだが

成る程、
俺は、
出会うべくして
こいつに会ったという訳だな
そんな、気がする

「雨、風、温度
 その後は?何を支配する?」

「何も…
 必要があれば矢を作り
 必要があれば短剣を研ぐ
 その他は、ただ座る
 そのくらいしかせんよ」

「…座る」

「…嗚呼、座る
 それだけだ
 …
 ちょっと、待てよ
 ふと思えば…
 …
 頭をいつもより高く
 腰をいつもより低く
 そんなことを考えてはいるかな」

「…エロンゲーション」

「何だ?それは?」

「ちょっとした体操の
 コツみたいなもんさ
 ピラティスっていうヤツだな」

彼と歩調をあわせ
幾つかの谷を抜けた

その中で
意識の話
ヨーガの話
呼吸の話
幾つかの学びを得た

…永久機関…
最も興味深いその部分
此処には触れず
そっとしておこう

彼は言う
もう少しで村に着くと

その言葉から最早、
半日が過ぎようとしているが
これは
気のせいなのか?

太陽の角度が
夕焼けに迫っているのだが
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