《瞑想小説 狩人》

瞑想

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祈り女と狩人

祈り女の日

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彼女は
宴の次の日も

変わらずに
朝の礼拝を行い

他49人の祈り女とともに
ナッツを中心とした
朝食を食べ

昼は学び舎に向かい、
子供達に幾つかのことを
教えていた。

学び舎にはいくつもの授業がある。

「心と身体」
「フロー理論」
「薬草学」
「ヨガ」
「瞑想学」
「体育」
その他もろもろ

祈り女はそれぞれの分野において
教師として、
人生の先輩として、
14になるまでの子供らに得意な分野を
教えることも生業の一つとしていた。

彼女の体育は人気が高かった

みんな、彼女の美しい姿かたちに
憧れていたし、
無意識的に彼女に快を感じていた。

彼女は不思議な力
扁桃体に訴える力を持っている。

それは天性のものが66パーセント
後天のものがそれ以外を占めていた。

(…今日は何をしようかしら)

彼女はいつも内容を決めず
子供らに裁量権を持たせていた。

多数決よりも普段、
あまり発言しない
おとなしめの子供の希望を
可能な限り優先していた。

「外で遊びたい!」

「…いいわ」

授業、というよりも
一緒になって遊んでいた
というのが正しい。

「…木の実の効用について
 そんな時間にしましょうか」

子供達と触れ合いながら
一緒に散歩しながら
ニコニコと楽しそうだ

「何か!教えて!」

「…そうね…
 木々には、それぞれの波動があるのよ
 私達には聞こえないけれど、
 …でもね、たまに、
 本当にたまに、だけど
 何かが聞こえるときも、あるわ」

彼女が言う。

美しく、整った顔立ち、
細く
無駄のない身体
しなやかで
何処までも細いウェストライン

その笑顔は
何時までのものかな

それは、
今夜、
輪番に饗される供物

今はまだ、
昼、
太陽が支配し、
交感神経が支配する、
陽の時間

~~

祈り女達は午後の採集を終え
デーツが沢山手に入ったことを
喜んでいた。

スープに火をかけ
一旦煮込んだものを冷まし
もう一度火にくべる

それは酸化を防ぐためだ
と誰かが言っていた。

君は採集を許され、
長老の館へ、
向かう

大きな屋敷だ

市立博物館をイメージすれば
わかりやすいか
自然と一体となり
調和を計った
見事な佇まいと言わざるを得ない。

その屋敷には
春の間、
夏の間、
秋の間、
冬の間、
があり

春の間には長老と従者が
夏の間には祈り女達が住み

秋の間は客人のために
冬の間はいつも空っぽだった

仮面をつけた従者が
広間の入口で待っている。
君は一礼するも
従者は答えず、追従を促すだけ

君は
春の間に通される

長い長い回廊
向かって右は
広い大きな窓と庭
向かって左にそれぞれの部屋がある

いくつもの部屋を抜け
君は一番奥へと通された

ドアは重厚なもので
内からのみならず、
外からも錠がかけられる特殊な作り

「…長老様が来られるまで
 好きにしているといい」

「…は、い。」

部屋には…
ソファが一つ、
その奥に暖炉が、
その右手には大きなクローゼットがある

ベッドは見たことがないほどに
大きな大きなクイーンサイズプラス
テーブルの上には
ピンク色のキャミソールが
丁寧に畳まれた状態で置かれていた。

君はそれを見ないように心がけ
おずおずと
ソファに腰を下ろす

…重力が働いていないのか
 君は
普段なら「ギシ」と音をたてるのが
通例であるのに
無音であることに
ソファ自体がびっくりしていたぞ。

君は何をしていてよいかわからず、
とりあえず猫のように背骨を伸ばし
ストレッチをした。
そして、何時も持ち歩いている
「薬草学」を指読した。

音読、指読、黙読
君は何時も指読をしていたっけ。

今はいい、
今はいい、

薬草学の幾つかの頁が
抜け落ちていること

それが君の身体を苦しめることに
なることは
知らなくて良い

…今は、そうしておれ

長老が目安箱を見て
笑っていた
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