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File.9

師匠と弟子

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 翌日からは、首都へ向かいつつ町や村を訪問して聞き込み、その繰り返しだった。
 そして、お姫様お迎えの期日直前に訪れた村にて、ついにその人物と遭遇することとなる。

「いやー、久しぶりだねーカノン。何年ぶり?」

「ご無沙汰しております、師匠トキ。おそらく五年程前かと……」

 柔和な表情と間延びした喋り方をするのは、青っぽい銀髪テンパ顔面刺青ニキ。このお方が【幻神流・麒麟拳】の使い手、【トキ・ルーフェン】その人である。
 顔の右半分に浮かぶ模様は火を思わせるトライバル柄だった。

 農作業の途中だったらしく鍬を持ち、下駄と作務衣を纏うオッサン臭い装いとは裏腹に、見た目は20代後半程度にしか見えない。実年齢は40手前ということだったけどwww

「顔にお絵描きしてる」

「イヴっち失礼だぞwww」

「あぁーこれねー。昔ちょっと呪われちゃった的なねー」

 顔の刺青の事情を知ってる風なカノンたんは、複雑な表情を浮かべながら話題を切り替えた。

「あの、師匠。今回お訪ねしたのは……」

「わかってるよー。いつか来ると思ってたからー。修業付けてくれって言うんでしょー?」

「ええ、そうです……お願い出来ないでしょうか?」

 カノンたんが頭を下げると、トキさんは顎に手を当てて悩んだ。見極めるかのように、カノンたんの目を見つめ返す。

「やらないとは言わないよー。けど、今すぐには無理だねー」

「では、いつなら……」

「そうだなー、夏かなー。その時期になったら見てあげるよ」

「やった……!ありがとうございます!!」

 しかし、再び頭を下げるカノンたんの喜びを遮るように、厳しめの口調で言葉が返ってきた。

「ただしそれまでにー、君には心の整理を付けてもらわないとー」

「心の……整理を?」

「君……ゲイルの一番弟子くん……ギースくんだっけー?のこと、まだ憎んでるよねー?僕は、復讐の片棒を担ぐ気はないよー」

「それは……っ」

 カノンたんにとって、それは難しい事じゃないかと思う。復讐と言うと聞こえは悪いが、大切な人の仇を許せと言っているのだ。

 俺なら無理wwwwwwギースのケツに爆竹しこたまぶち込んでホモの群れに投げ捨てるわwwwwwwエンドレスエクスプロージョンレイプされる様を見てゲラゲラ笑いたいwwwwww

「夏になったら僕の方から君の所に行くからー。エルダーに居るんでしょー?その時までに覚悟を決めておいてねー」

「わ、わかり……ました」

 ヘラヘラ師匠は無邪気な笑みを浮かべると、カノンたんの肩をポン、と叩いた。

「君の気持ちが分からないわけじゃないんだけどねー。でも、これは物凄く大事なコト。
 もう修業は始まってるのだー、って感じだからさー」

「はい……っ!なんとか、して……みます」

「ん、よかよかー。それじゃーねー」

 そう言って、トキさんはその辺に置いてあった鍬を担いで畑のある方へ消えていった。それにしても下駄で農作業とかナメすぎだろwwwていうかなんで農民になってんだwwwwww

 目的の人物に会えたは良いものの、一筋縄ではいきませんでした。ともあれ、カノンたんには期間内に何とかしてもらいたい所だ。
 陰ながら応援しておりますwww

 明日のお迎えまでは丸一日あるが、ようやくレイランド聖教国の首都【アイディスリール】に到着しました。

「カノン、元気ない?」

「えっ?いやいや、大丈夫よイヴちゃん。ありがとうね」

「まぁここで立ち話もアレですしwwwwホ、ホテルにwwwブヒィwww行きましょうねwwww回転するベッドとかあるのかしらwwwジェットコースター浴槽とかwww照明はピンクだったりするのかしらwwwwフィニッシュの前後でパレードがあったりするのかなww媚薬はwww置いてないのかなwwwwww」

「妙な言い回しはやめなさいッ」

 ──バキッ!

 行ったことがないラブホのイメージを羅列していたら殴られたでござるwwww自分で言っといてアレだけどテーマパークやんけwwwwww

「アウチwwwwwwイヴっちwww見ての通りにカノンたんは元気だぞwwww」

「よかった」

 いつもよりツッコミのキレが落ちている……!これは一大事……!!とは言わないでおく。彼女なりに考えたい事も沢山あるだろうし、落ち着ける場所にいて欲しいと思った。

 今日のところはカノンたんを一人にしておいて、俺とイヴっちは観光に繰り出す事に。
 何かお土産でも買ってく予定www

「カルラ、あっちからいい匂いする」

「マジやんwww行くしかねぇwwww」

 そんな感じで観光しながら、俺達は首都の観光名所と言われる神殿に来ていた。
 白い石材で建てられたそれは、各所に複雑な飾り彫りを施してあり、街に圧倒的な存在感を放っている。

「おー、きれい」

「イヴっちと同じくらい真っ白ですなwwww」

 暫く見惚れるくらいに立派な神殿だった。観光客がいたり、近くにある噴水広場のベンチでは画家らしき人がモチーフにしてたり、大人気スポットらしい。

 まぁカルラくんは無宗教なんでねwwwwww良くわからないんですけどねwwwwww

「なんかすげぇ建物があったという事しか思い出に残らないだろうけどwww綺麗っすねwww」

「カノンにご飯買って、帰る」

「そうだな。ありがとう神殿www」

 イヴっちもすぐに興味を無くしてしまったので、その後は途中で寝てしまったイヴっちを背負って適当に歩き回りホテルに帰還した。太ももがプニプニスベスベで気持ちよかったです。

 部屋に辿り着くと、ゆったりした部屋着を纏って窓辺の椅子に腰掛けるカノンたんがいました。

「カノンたんwwwただいま帰還致しましたwwww」

「おかえり。あら、イヴちゃんは寝ちゃったのね」

 湯上がりなのか、上気した頬とうなじに張り付いた髪がビックバンエロスwwwwww夕日に照らされた燃えるような赤髪がいとうつくしゅうていたりwwwwwwwwwそのカットでSSR艦船にしてくれたら課金するのにwwwwww

「まぁ初めて見るものが多かったからか、割とはしゃいでたんでwww」

「そうなんだ」

 心なしか元気が無いように見える彼女を横目にイヴっちをベッドに運ぶと、そっちに向き直ってみた。

「……トキさんに言われたこと、悩んでんの?」

「そう、ね。やっぱり……私はアイツを許せる気がしなくて」

「難しい事だよなぁ。俺はカノンたんじゃないからどんな気持ちをギースに持ってるかは理解出来ないけど……やっぱ俺もその境遇で許すってのは簡単にはねぇwww普通に報いを受けろって思うわwwww」

 カノンたんが力なく笑うと、向かいの椅子に座って俺も夕日を眺めた。

「今まで、ゲイルさんの仇を討つために強くなろうとしてた。それが出来ないなら、なんで強くなろうとするのかも分からなくなってきちゃうわ」

「んー、そうっすね。これはあくまで外野の意見というかそんなんで聞き流して欲しいんですけどねwwwwww

 俺なら、死んじゃった人が何を望んでたのか……それを考えちゃうかな。確かめようもないけど、あの人ならこうするかな?って思って動くかも。勿論個人的にはぶちのめして墓前に引き摺り出して地面にめり込むまで土下座させてやりたいんですけどwwww

まぁ要は、復讐ソレをしてその人が、悲しまないならいいかなってwww」

 頭が悪いから言葉が無駄に増えてしまった。まぁ何かのきっかけに少しでもなれたらいいなと思いました。ただのニートの言葉に心動くとも思えないけどもwww

 俺の言葉に、カノンたんは返さなかった。やっぱニートの言葉にはねwwwwww

「……ギースをどうしたら、ゲイルさんは安心できるかな」

「そうっすねぇ、昔みたいに戻ったら……じゃないですかねwww」

「そうね、あの人なら……そうするかも知れないわ」

 当事者でない俺には分からない。
 けれど、弟子同士で殺し合う事を望むような人物にも思えない。

「ふぅ……ごめんね、こんな話に付き合わせて。すぐには答えは出ないけど、カルラと話して少し楽になったわ」

「お役に立てて何よりですwwwフロイラインwwww」

 ぎこちなくはあるが、笑顔がほんの少し戻ったカノンたんでした。

「はぁ……、なんかお腹空いちゃった!ご飯食べない?」

「それなら買ってきたやつあるんでそれをwww極太ウインナー頬張ってもらっていいかなwwww」

「バカ!」

 ──バコッ!

 カルラを殴る元気が戻って何よりですwwwwww

 その後、起きてきたイヴっちと3人で夕食を済ませ、翌日。
 俺達はレイランドの姫様を護衛しながらエルダー王国の城へ帰還した。

 そして現在、別荘にてソファに寝転がって全身で喜びを表現しておりますwwwwww陸に上がった魚のモノマネwww

「これで明日は祭りですなwwwていうかこの国祭り好き過ぎだろwwww」

「あはは!変なお兄ちゃん面白~い!」

「人間は群れるのが好きですね。ていうかバタバタ気持ち悪い動きすんなです!」

「祭りか。サキュバス、この前の決着をつけてやるぞ」

「決着?シャルの勝ちじゃなかったっけ~♡」

「この……戯言をっ!」

 祭り楽しみガールズがキャッキャしている。そこへタカトがやってきて、俺をソファから落としてきた。

「占領すんな。ここは俺の寝床だ」

「占領してんのはお前だろwwww」

 言い合いをしていると、カノンたんが入ってきた。イヴっちと風呂に入ってきたらしい。俺も行こうとしたら滅多打ちにされたんだよなwwwwww

「タカト、リアナちゃんと祭り回るんでしょ?楽しんできてね」

「はぁっ?!どこでそれを……!」

「カノン、名推理」

「ははッ!カマかけられてんなァ、タカト」

 ロリコン勇者殿流石に段取りが早くてウケますねwwwwwwデートの約束してやがるwwwwww

「見つけたら全力でイジるわwwwwww」

「マジやめろ、ていうか俺が誘ったんじゃねぇ!」

 ギャーギャーやっていると、簡単なティーセットが乗ったトレーを持ったターニャさんが話しかけてきた。

「カルラ様、リンドウ様がお呼びです。あとこれ持ってってください」

「それは『お願いしますご主人さまぁ♡』くらいのテンションじゃないと嫌ですwww」

「さっさと行け。あ、間違えました。よろしくお願い致します、ゴシュジンサマー」

「この感じも嫌いじゃないwwwwww」

 最近のターニャさんは、気を抜くと俺に対して敬語が外れるようになっている。蔑むような視線で射抜かれた時なんかは思わずアヘ顔しそうになる程の冷酷な表情をしておられる事も多々ある。素敵なメイドさんだwwwwww

「リンドウ、開けてwwwwww早くwww」

「ご苦労だね、さぁ入りたまえ」

 適当なデスクにトレーを置くと、リンドウは手術台へ拳程の大きさの箱を置いた。
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