彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

文字の大きさ
上 下
78 / 105

カエルとヘビは相容れない……

しおりを挟む
と、言う訳で。

第2試合!智成✕蘭VS八重音✕宮戸

「あはは、ちょっと女の子ばっかりでやりづらいなぁ。」

困ったように頭を掻く智成。

全く、そんな仕草まで絵になるなんてやっぱり智君は智君である。

「よっしゃ!行くで!」

対して気合い充分な蘭ちゃん。

「まぁ……ぼちぼちやります……か?」

宮戸がそう言ってめんどくさそうにコートに入った途端、その横スレスレをボールが掠める。

「あ、ごめんな!力加減間違えたわ!」

「ピッピー!蘭さん、まだ開始の合図を出していませんよぉ!」

ホイッスル無いからって口で言っちゃう千鶴さんかわい、ゲフンゲフン。

「あちゃー、そうなん?

ウチ気合い入り過ぎて全然気にしとらんかったわ!」

「おーっと蘭ちゃん!試合開始前から気合い充分です!

解説のアナさん!これは期待が高まりますね!」

「良いぞ蘭ちゃん!俺のお尻にも一発頼むわ!」

「あ、あはは……。」

もはや解説じゃなくてただの私利私欲で草。

いや……最初からマトモに解説してなかったわ……。

「絵美、アナさんはアナさんだから……。

絵美は絵美で良いんや……。」

「えぇ……。」

フォローしたつもりだが微妙な反応をされてしまった、、いやフォローなのか?これ……。

「ちょ、ま、ビーチバレーのボールって柔らかいんだよな!?

普通に頬に傷出来たんだが!?」

頬の傷を抑えて狼狽える宮戸。

「え?うわ!マジじゃん!」

言われて見た八重音もビックリ!

そう言えば蘭ちゃんって現世では生徒会の書記なんかやってるけど、前世の世界ではジムとかで走り込みとかもしてる体育会系スポーツ少女だったな……。

「最近仕事でいそがしゅーて運動不足やねん。

久しぶりに存分に体動かさせてもらうわ!」

「「ひっ……!」」

この後八重音、宮戸組の悲鳴が続く訳だが……。

まぁそれで勝負の結果はお察しの通りである……。

「んー!良い汗かいたわ!

またやろうな!」

「「え、遠慮しときます!」」

さて。

「うぅ、悠太が対戦相手だなんて……。

私はいつも悠太の味方なのに!」

戦う前からやる気無さそうな志麻。

「勝負は勝負じゃし。

決まったからにはやるしかないじゃん。」

それにうんざりしたような顔でそう返す美江。

「でもぉ!」

「お前、その手大丈夫なのかよ?」

「はは、まさかお前に心配される日が来るなんてな。」

実際、今ある記憶のほとんどが傷つけられた記憶しかないような相手だ。

そんな相手からの心配なんてボクサーが散々殴っておいてサンドバッグを心配するような物だし、魚を捌く料理人が魚の心配をするようなものである。

「そんなんじゃねぇよ。

ただ組んでる相手が怪我人だと不利になるだろうが。」

「あぁ、そうだろうな。」

こいつにそんな粋な根性があるとは思えないしやっぱそうだよなぁ。

「こ、これはまさかの……ツンデレ……!?

お前を傷つけて良いのは俺だけだ……的な!?」

最推しは智✕悠だけど悠✕直も全然推せるわ……。」

随分と不名誉な独り言が聞こえた気がするがハッチーだしいつもの事か……。

「それではスタートです!」

千鶴さんの声かけのもと、試合開始!

まずは俺から!

勢い良く放ったボールは志麻の方に向かうが……。

志麻はと言うと。

「あれー?今の私カエルだからボールが取れないケロー!」

全然やる気なかった。

「真面目にやってよ……。」

一応真面目にやろうとはしてるものの、相方がこんな状況だからモチベーションだだ下がりな美江。

「あぁ悠太……あなたはどうして悠太なの...?」

なんか聞いた事あるセリフまで言い出した……。

「カエルとヘビは相容れない運命だと言うの……!」

「いや、これただのお遊び……。」

呆れる美江。

ってか俺は蛇なのか……。

いや、干支で言うなら蛇だけども……。

うーん……これ全然勝負にならない気がする……。

「なーんだかあたし達がやり合ってる間に面白そうな事やってんじゃん……。」

ん……?瑞穂とハルたん会長の勝負は終わったのか……ってうわ、ズタボロだな……。

せっかく泳ぐように纏めたのだろう会長のポニーテールも荒れに荒れまくってる……。

瑞穂も瑞穂で普段の緩くパーマがかかった黒髪が爆発して目も当てられない。

それは二人の心模様を表すかのよう、、

いや……どうせならもっと良い意味での心模様を映し出して欲しかった……。

どっちが勝ったのか……いや、これは考えない方が良さそうだ。

やぶ蛇だろう……。

だって俺蛇らしいし……。

「申し訳ないけどウチは一度髪を直してくるわ……。」

そう言って早々にその場を離れ、更衣室の方にフラフラと歩いていくハルたん会長。

一方で全く今の自分の状態を気にも止めない瑞穂は、志麻に目を向ける。

「金澤さんさぁ、ならこう言うのはどう?」

「え?」

「もし勝ったら悠太を好きに出来るって権利を与え……「やる!」」

即答である。

さっきまでの悲劇のヒロインっぷりが嘘のように消えて今はやる気に満ち溢れ……。

「うおっ!?」

さっきの蘭ちゃんを思わせる勢いの弾速のボールが俺の真横を掠める。

「随分な手のひら返しだこと……。」

俺が呟くと志麻はニヤリと微笑む。

「戦いは時に非情なんだよ、悠太。」

うん、ガチな手のひら返しだわ……。

「相手もやる気になったみたいだな。

ならこっちもやるか。」

直也もやる気を出したところで、改めて試合再開。

あれ……?なんか美江もさっきよりやる気出てない?

「えいっ!」

いや、さっきまでも一応真面目にやってた美江だがさっきよりも動きが良くなってる。

志麻の覚醒に当てられでもしたのかしらん……。

「あはは、面白い事になったねー。」

満足そうな瑞穂。

と言うか俺を好きに出来る権利ってなんだ?

言われた本人完全に寝耳に水なんだが?

そう思って瑞穂を睨むと瑞穂はニタァと言う擬音が聞こえてきそうな悪い笑みを浮かべた。

今は清楚瑞穂じゃないから仕方ないか~……ってならんわボケ。

「おい、そっち行ったぞ!」

「っと、おう。」

こちらに飛んできたボールを受ける為に片手を構え……あ、そう言えば。

ボールは確かに俺の手に当たり、相手側に弾かれる。

だがしかし、ボールが当たったのはさっき怪我をした利き腕だと言うのにボールを弾いた直後に気付く。

「って……!」

その痛みから、また返ってくるボールへの反応が遅れ……そしてボールは地面に落ちる。

「おいおい、やっぱ無理なんじゃねぇの。 」

「いや……これくらい……。」

「お兄ちゃん……。」

申し訳なさそうに日奈美が俯く。

「悠君、無理しない方が良いんじゃないの……?」

これには相手側である美江も気遣いの様子を見せる。

「無理は禁物ですよぉ?

手当てをして来た方が良いのではぁ?」

「わ、本当だ。

酷い怪我ですね。」

「あれ、ロリ天使。」

いつの間にか戻って来ていたらしい。

「そう言う事なら私、手当てしますよ。

別荘に戻りましょ。」

「じゃ、あたし悠太の代わりにピンチヒッターやるわ!」

「うぅ、悠太から直接権利を勝ち取れないのは残念だけど背に腹はかえられない、、」

残念そうな志麻。

「私は別にそれは良い。

でも絶対負けん……。」

対してなんか美江は美江で執念みたいなのを見せてるし……。

「さ~て、あたしが勝ったら何してもらおっかなぁ。」

また悪い笑みを浮かべる瑞穂。

最初からそのつもりだ……!コイツ!

「さ、行きましょうか。」

そう言ってリオが俺の腕を引く。

それを羨ましそうに見つめる志麻の視線を背中に感じながら、俺はリオに続く。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

タカラジェンヌへの軌跡

赤井ちひろ
青春
私立桜城下高校に通う高校一年生、南條さくら 夢はでっかく宝塚! 中学時代は演劇コンクールで助演女優賞もとるほどの力を持っている。 でも彼女には決定的な欠陥が 受験期間高校三年までの残ります三年。必死にレッスンに励むさくらに運命の女神は微笑むのか。 限られた時間の中で夢を追う少女たちを書いた青春小説。 脇を囲む教師たちと高校生の物語。

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。 兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。 リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。 三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、 「なんだ。帰ってきたんだ」 と、嫌悪な様子で接するのだった。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣の家の幼馴染は学園一の美少女だが、ぼっちの僕が好きらしい

四乃森ゆいな
ライト文芸
『この感情は、幼馴染としての感情か。それとも……親友以上の感情だろうか──。』  孤独な読書家《凪宮晴斗》には、いわゆる『幼馴染』という者が存在する。それが、クラスは愚か学校中からも注目を集める才色兼備の美少女《一之瀬渚》である。  しかし、学校での直接的な接触は無く、あってもメッセージのやり取りのみ。せいぜい、誰もいなくなった教室で一緒に勉強するか読書をするぐらいだった。  ところが今年の春休み──晴斗は渚から……、 「──私、ハル君のことが好きなの!」と、告白をされてしまう。  この告白を機に、二人の関係性に変化が起き始めることとなる。  他愛のないメッセージのやり取り、部室でのお昼、放課後の教室。そして、お泊まり。今までにも送ってきた『いつもの日常』が、少しずつ〝特別〟なものへと変わっていく。  だが幼馴染からの僅かな関係の変化に、晴斗達は戸惑うばかり……。  更には過去のトラウマが引っかかり、相手には迷惑をかけまいと中々本音を言い出せず、悩みが生まれてしまい──。  親友以上恋人未満。  これはそんな曖昧な関係性の幼馴染たちが、本当の恋人となるまでの“一年間”を描く青春ラブコメである。

処理中です...