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第192話 夕食会での訴え
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魔王城の食堂では、マリ達による夕食会の準備が進んでいた。
「マリ様は座ってお待ちいただいたら良いのですよ?」
「やだ! 手伝いたいの! わぁ~、美味しそう~!」
「いや、マリ様……お酒を運びたいだけなのですね」
セカンドとマリは酒瓶を並べ、ファーストは他の魔族のメイド達と料理を運んでいる。 フォースとフィフスはこの場には居らず、大臣レーヨンに頼みサードの恋人の下へと向かった。
「ふむ、魔族のメイド達の動き素晴らしいですね」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄です。 貴方も、人間の執事にしては卓越した動きをされるのですね」
テーブルでは、ジャックと魔王の専属メイドであるマイが互いの技術を褒め合いながら食器の準備を進めている。
「あはは……私達は待機かな? 姉上」
「仕方なかろう。 我等は亜人じゃ……警戒されるのも無理はなかろう」
ヨハネ達は隅の席で待機中だ。
食堂で準備を進めている魔族のメイドや執事達が時折、ヨハネ達を監視する様に見てくる事を考えれば下手に動かない方が得策だろう。
「すみません……戻ったっす」
暫くすると、フィフスとフォースが戻って来た。
「フィフス! どうだった……?」
表情が暗いフィフスとフォースの下に、マリが駆け寄る。
「遺体を取り返せていない事を……責められたっす」
「仕方ねぇよ。 アイツのせいで、回収も出来なかったからな……」
どうやら、サードの恋人には会えた様だが酷く責められたらしい。
マリは2人を抱きしめる。 その様子を、準備をしている魔族のメイドや執事達が目を見開いて見ていた。
「ごめんね、2人共……」
「マリ様のせいじゃないっす! 悪いのはルミニスっす!」
「そうだよ! それに、アイツをぶっ倒した後に取り返すから問題は無い。 私達が落ち込むのを……サードは喜ばねぇからな」
「そうっす! さぁ、夕食会の準備自分達も手伝うっす!」
「おう! その前に、隊長の所に行くぞ」
フィフスとフォースは笑顔で厨房へと入って行った。
「マリ……大丈夫かい?」
見ていたヨハネがマリの下へと近寄って来た。
「うん……大丈夫。 ヨハネこそ、平気?」
「もし、機会が貰えるなら……会って謝罪したい気持ちはあるよ」
「その時は、2人で行こうね」
マリとヨハネが手を取り合い、約束を交わしていると厨房からメリーがフィフス達を連れて出て来る。
「マリ様、全ての料理が完成しました。 もうすぐ完了でございます」
「メリーさん、ありがとう」
「くぅ~! 私の厨房がこんなに賑やかなのは何十年ぶりか! しかも、この未知の食材を使った料理の数々! さぁ、早く夕食会をしましょうぞ!」
メリーの後ろでは、この魔王城で唯一のシェフである料理長が感涙の涙を流しながら料理を運んでいた。 この厨房に到着したばかりの時は、幾ら王女と云えど料理は自分の領域だと喧嘩腰だったが直ぐに打ち解けれた様だ。
「あはは、そうですね。 さぁ、後少し! 皆、頑張ろ~!」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
◆◇◆
食堂には大臣レーヨンとメイド長マイが待機し、席には重役らしき魔族達とマリ達が座って魔王ダイの到着を待っていた。
「おほんっ! 魔王陛下が入られます! お客人の皆様はそのままで」
大臣レーヨンの号令で、座っていた魔族達は立ち上がり跪く。 食堂の壁にずらりと並んでいた執事やメイド達も跪く。 直後に魔王ダイが食堂に足を踏み入れ、テーブルに並ぶ料理に目を見張った。
「……確かに美味そうだ。 料理長……良かったな」
久し振りに使用される食堂を見た料理長はずっと泣いている。 料理長の肩に手を置いたダイはそのまま上座の玉座へと向かった。
直ぐ隣にはマリが緊張した面持ちで座っている。
「皆、楽にしてくれ。 さて、最初に……マリよ。 教えてくれ」
「はい! 先ず、この料理に使用される食材は全て荒れた荒野でも育てれる野菜を使用しています」
マリの言葉に魔族達は驚きの声を上げる。
「トウモロコシ、じゃがいも、さつもいも、かぼちゃという名前の野菜です。 果物はブルーベリーという果実で、小さいですがとても美味しいんですよ? 他にも幾つか持ってきましたが、実際にこの北の大地で育てれるかはまだ分かりません」
「ほぉ……マリよ。 それは何故だ?」
「それは、メリーさんに聞いていた状況よりも悪化している事が見てとれるからです。 今の環境であればかなり厳しいでしょう」
ダイは頬杖を付き、隣に座るマリに問いかけた。
「ならば尚更の筈だ」
表情の変わらないダイとの会話は、かなり難易度が高い。 マリはダイに返答を促されている事を必死に汲み取った。
「えっと……何故、私が其処までするのかという事ですか?」
頷くダイを確認してから、マリは説明を続ける。
「理由は……色々あります。 とりあえず、何故こんなに野菜や果物も運んで来たかと云うと、魔族が亜人の国に定期的に攻め入るのは食糧難だと思ったからです。 シンプルに、荒野で育てられる野菜が有れば亜人の森から家畜になる動物等を取り引きし、育てる飼料にもなりますから」
「「「「おぉ……」」」」
魔族達から喜びの声が上がり、聞いているメリーは確かな手応えを感じ微笑む。
「だが……我等魔族と亜人達は戦争する関係だ。 取り引き等に応じるのか? そういえば……マリは、亜人総族長と名乗っていなかったか?」
「はい! 私は、亜人全ての族長として任命されています。 前族長のルルさんや、族長代理をしていたアテス達にも許可は貰っています。 全亜人族が、魔族との平和を望んでいるんです」
マリは真剣な瞳でダイを真っすぐに見つめる。 ダイは少し考えた後に呟いた。
「なるほどな。 お前は……本当に我等を救いたいのだな」
「そうです。 魔王陛下、今こそ……私達と手を取り合い互いに幸せになれる道を探しませんか?」
マリは最後に畳み掛けた。 手応えは充分のはずであり、食堂に来ている魔族達の反応も好感触だ。
ダイは暫く目を閉じ、それから何かの覚悟を決め、口を開いた。
「……その話、受け「お待ち下さい!!」
「マリ様は座ってお待ちいただいたら良いのですよ?」
「やだ! 手伝いたいの! わぁ~、美味しそう~!」
「いや、マリ様……お酒を運びたいだけなのですね」
セカンドとマリは酒瓶を並べ、ファーストは他の魔族のメイド達と料理を運んでいる。 フォースとフィフスはこの場には居らず、大臣レーヨンに頼みサードの恋人の下へと向かった。
「ふむ、魔族のメイド達の動き素晴らしいですね」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄です。 貴方も、人間の執事にしては卓越した動きをされるのですね」
テーブルでは、ジャックと魔王の専属メイドであるマイが互いの技術を褒め合いながら食器の準備を進めている。
「あはは……私達は待機かな? 姉上」
「仕方なかろう。 我等は亜人じゃ……警戒されるのも無理はなかろう」
ヨハネ達は隅の席で待機中だ。
食堂で準備を進めている魔族のメイドや執事達が時折、ヨハネ達を監視する様に見てくる事を考えれば下手に動かない方が得策だろう。
「すみません……戻ったっす」
暫くすると、フィフスとフォースが戻って来た。
「フィフス! どうだった……?」
表情が暗いフィフスとフォースの下に、マリが駆け寄る。
「遺体を取り返せていない事を……責められたっす」
「仕方ねぇよ。 アイツのせいで、回収も出来なかったからな……」
どうやら、サードの恋人には会えた様だが酷く責められたらしい。
マリは2人を抱きしめる。 その様子を、準備をしている魔族のメイドや執事達が目を見開いて見ていた。
「ごめんね、2人共……」
「マリ様のせいじゃないっす! 悪いのはルミニスっす!」
「そうだよ! それに、アイツをぶっ倒した後に取り返すから問題は無い。 私達が落ち込むのを……サードは喜ばねぇからな」
「そうっす! さぁ、夕食会の準備自分達も手伝うっす!」
「おう! その前に、隊長の所に行くぞ」
フィフスとフォースは笑顔で厨房へと入って行った。
「マリ……大丈夫かい?」
見ていたヨハネがマリの下へと近寄って来た。
「うん……大丈夫。 ヨハネこそ、平気?」
「もし、機会が貰えるなら……会って謝罪したい気持ちはあるよ」
「その時は、2人で行こうね」
マリとヨハネが手を取り合い、約束を交わしていると厨房からメリーがフィフス達を連れて出て来る。
「マリ様、全ての料理が完成しました。 もうすぐ完了でございます」
「メリーさん、ありがとう」
「くぅ~! 私の厨房がこんなに賑やかなのは何十年ぶりか! しかも、この未知の食材を使った料理の数々! さぁ、早く夕食会をしましょうぞ!」
メリーの後ろでは、この魔王城で唯一のシェフである料理長が感涙の涙を流しながら料理を運んでいた。 この厨房に到着したばかりの時は、幾ら王女と云えど料理は自分の領域だと喧嘩腰だったが直ぐに打ち解けれた様だ。
「あはは、そうですね。 さぁ、後少し! 皆、頑張ろ~!」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
◆◇◆
食堂には大臣レーヨンとメイド長マイが待機し、席には重役らしき魔族達とマリ達が座って魔王ダイの到着を待っていた。
「おほんっ! 魔王陛下が入られます! お客人の皆様はそのままで」
大臣レーヨンの号令で、座っていた魔族達は立ち上がり跪く。 食堂の壁にずらりと並んでいた執事やメイド達も跪く。 直後に魔王ダイが食堂に足を踏み入れ、テーブルに並ぶ料理に目を見張った。
「……確かに美味そうだ。 料理長……良かったな」
久し振りに使用される食堂を見た料理長はずっと泣いている。 料理長の肩に手を置いたダイはそのまま上座の玉座へと向かった。
直ぐ隣にはマリが緊張した面持ちで座っている。
「皆、楽にしてくれ。 さて、最初に……マリよ。 教えてくれ」
「はい! 先ず、この料理に使用される食材は全て荒れた荒野でも育てれる野菜を使用しています」
マリの言葉に魔族達は驚きの声を上げる。
「トウモロコシ、じゃがいも、さつもいも、かぼちゃという名前の野菜です。 果物はブルーベリーという果実で、小さいですがとても美味しいんですよ? 他にも幾つか持ってきましたが、実際にこの北の大地で育てれるかはまだ分かりません」
「ほぉ……マリよ。 それは何故だ?」
「それは、メリーさんに聞いていた状況よりも悪化している事が見てとれるからです。 今の環境であればかなり厳しいでしょう」
ダイは頬杖を付き、隣に座るマリに問いかけた。
「ならば尚更の筈だ」
表情の変わらないダイとの会話は、かなり難易度が高い。 マリはダイに返答を促されている事を必死に汲み取った。
「えっと……何故、私が其処までするのかという事ですか?」
頷くダイを確認してから、マリは説明を続ける。
「理由は……色々あります。 とりあえず、何故こんなに野菜や果物も運んで来たかと云うと、魔族が亜人の国に定期的に攻め入るのは食糧難だと思ったからです。 シンプルに、荒野で育てられる野菜が有れば亜人の森から家畜になる動物等を取り引きし、育てる飼料にもなりますから」
「「「「おぉ……」」」」
魔族達から喜びの声が上がり、聞いているメリーは確かな手応えを感じ微笑む。
「だが……我等魔族と亜人達は戦争する関係だ。 取り引き等に応じるのか? そういえば……マリは、亜人総族長と名乗っていなかったか?」
「はい! 私は、亜人全ての族長として任命されています。 前族長のルルさんや、族長代理をしていたアテス達にも許可は貰っています。 全亜人族が、魔族との平和を望んでいるんです」
マリは真剣な瞳でダイを真っすぐに見つめる。 ダイは少し考えた後に呟いた。
「なるほどな。 お前は……本当に我等を救いたいのだな」
「そうです。 魔王陛下、今こそ……私達と手を取り合い互いに幸せになれる道を探しませんか?」
マリは最後に畳み掛けた。 手応えは充分のはずであり、食堂に来ている魔族達の反応も好感触だ。
ダイは暫く目を閉じ、それから何かの覚悟を決め、口を開いた。
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