167 / 231
第165話 朝と地獄
しおりを挟む
「んー! おはよ……ヨハネ」
マリは自室のふかふかキングベットで目を覚ます。
隣には魔道具の眼鏡を外し、久し振りに髪色が緑になったヨハネが裸のまま幸せそうに寝息を立てている。
昨晩、執務室で重なった2人はマリの自室に帰り其処でも夜が更けるまで長く繋がり幸せな時間を過ごしたのだ。
眠る愛しい男の頬を撫でたマリはベットから起き上がる。
色々と限界まで頑張ったヨハネが起きるのはまだ当分先だろうし、やらなければならない事も沢山ある。 普段の温もりが名残惜しいが、マリはベットから出た。
脱ぎ去っていた服を畳み、メリーが来る前に着替えを済ませる。
流石に昨晩の事はバレているだろうが、親しき仲にも礼儀ありだ。 親友でもあるメリーに気を使わせたくはない。
「よし! ヨハネ、今日も頑張ってくるね」
眠るヨハネの頬にキスをし、マリは自室を出た。
「陛下、お早いですね。 おはようございます」
「おはよーメリーさん。 あれ? 後ろのは……フィフス? 大丈夫? 何かふらふらだけど……」
「へ、陛下……おはようございますっす」
メリーの後ろには何故か目に隈を作ったフィフスが付き従ってマリの部屋の前に来ていた。
「陛下……お耳をすみません」
メリーはマリの耳に小声で何があったかを伝える。 すると、マリの顔は一瞬で真っ赤に染まりフィフスを見るとフィフスも顔を真っ赤にして俯いていた。
「フィフス……本当にごめんね。 今度、絶対に何か埋め合わせするからね!」
「だ、大丈夫っすよ~……でも、今日はすみません休ませて下さいっす~」
「勿論ですフィフス。 ご苦労さまでした。 自室に戻りゆっくりと休んで下さいね」
メリーに許可を貰ったフィフスはお辞儀をした後、ふらふらのまま自室に向かった。
「あはは……ごめんねメリーさん」
「いえ、私こそすみません。 キサラギに言われ、アーサーに会いに行ったのがいけませんでしたから……」
2人は気恥ずかしそうにしながら、執務室へと向かった。
◆◇◆
執務室に入ると、メイドのフォースが待っておりマリが見ているのを確認しながらわざとらしく隠し部屋に入る。
「おはようございます陛下。 私、これから護衛の為に隠し部屋に入りますからね? ずっと居ますからね? 絶対に忘れないで下さいよ?」
「あはは……頑張りまーす」
どうやら、マリの護衛を交代で務めるメイド達の中では既に情報が共有され軽いトラウマになっているようだ。
「さて! 気を取り直して……今日も頑張ろー! 絶対にルーデウスを王にするぞー!」
マリは気合を入れ、昨日の続きを始めた。
「ふふ、普通は自分を支配者にする為に頑張る物だと思いますが……陛下らしくて良いと思いますよ。 では、私は予定通り完成した劇場の面接に行って参ります」
「ありがとう、メリーさん! 配役は大事だから、よろしくね! 後、エイトス達も呼んでおいて~」
「畏まりました」
メリーはマリに頼まれた仕事をする為に退出した。 暫くするとジャックとルキにミケルが飲み物と朝食を持って訪れた。
「おはようございます、マリ様」 「おはようございます! マリ様」 「おはよう……ございます、マリ様~」
「おはよう~! 朝食持って来てくれたの? ありがとう~! ジャック、2人はどう? 執事とメイドの仕事はできそうかな……?」
「はい、2人共弱音を吐かず頑張っていますよ。 メイドの仕事を教えているスィクススも褒めていました」
「そっか~! 凄いね2人共! 偉い偉い」
マリはルキとミケルの頭を撫でる。 ミケルは嬉しそうに頬を弛ませ、ルキは恥ずかしそうに頬を赤くした。
マリは朝食を済ませ、ジャック達に片付けを頼む。
「それではマリ様。 多忙かと思いますが、無理をなさらないで下さいね」 「失礼します、マリ様!」 「またね……マリ様」
「うん、ありがとう~。 お仕事頑張ってね~」
マリに良い所を見せようと張り切ってお辞儀するルキと、可愛らしくお辞儀をするミケルに癒やされたマリは、また地獄に身を投じるべく引き出しからペンと羊皮紙の束を取り出し書き始めた。
暫くすると、執務室の扉を叩き入って来た人物達にマリはニッコリと笑いかける。
「「「失礼しまーす……」」」
「やっと来たね! 地獄にようこそ! 今日もよろしくねぇー!!」
長机に出された山積みの羊皮紙とペンを見てエイトス達の顔は真っ青になった。
「「「ぎゃぁー!」」」
エイトス達の悲鳴が廊下まで木霊するのであった。
マリは自室のふかふかキングベットで目を覚ます。
隣には魔道具の眼鏡を外し、久し振りに髪色が緑になったヨハネが裸のまま幸せそうに寝息を立てている。
昨晩、執務室で重なった2人はマリの自室に帰り其処でも夜が更けるまで長く繋がり幸せな時間を過ごしたのだ。
眠る愛しい男の頬を撫でたマリはベットから起き上がる。
色々と限界まで頑張ったヨハネが起きるのはまだ当分先だろうし、やらなければならない事も沢山ある。 普段の温もりが名残惜しいが、マリはベットから出た。
脱ぎ去っていた服を畳み、メリーが来る前に着替えを済ませる。
流石に昨晩の事はバレているだろうが、親しき仲にも礼儀ありだ。 親友でもあるメリーに気を使わせたくはない。
「よし! ヨハネ、今日も頑張ってくるね」
眠るヨハネの頬にキスをし、マリは自室を出た。
「陛下、お早いですね。 おはようございます」
「おはよーメリーさん。 あれ? 後ろのは……フィフス? 大丈夫? 何かふらふらだけど……」
「へ、陛下……おはようございますっす」
メリーの後ろには何故か目に隈を作ったフィフスが付き従ってマリの部屋の前に来ていた。
「陛下……お耳をすみません」
メリーはマリの耳に小声で何があったかを伝える。 すると、マリの顔は一瞬で真っ赤に染まりフィフスを見るとフィフスも顔を真っ赤にして俯いていた。
「フィフス……本当にごめんね。 今度、絶対に何か埋め合わせするからね!」
「だ、大丈夫っすよ~……でも、今日はすみません休ませて下さいっす~」
「勿論ですフィフス。 ご苦労さまでした。 自室に戻りゆっくりと休んで下さいね」
メリーに許可を貰ったフィフスはお辞儀をした後、ふらふらのまま自室に向かった。
「あはは……ごめんねメリーさん」
「いえ、私こそすみません。 キサラギに言われ、アーサーに会いに行ったのがいけませんでしたから……」
2人は気恥ずかしそうにしながら、執務室へと向かった。
◆◇◆
執務室に入ると、メイドのフォースが待っておりマリが見ているのを確認しながらわざとらしく隠し部屋に入る。
「おはようございます陛下。 私、これから護衛の為に隠し部屋に入りますからね? ずっと居ますからね? 絶対に忘れないで下さいよ?」
「あはは……頑張りまーす」
どうやら、マリの護衛を交代で務めるメイド達の中では既に情報が共有され軽いトラウマになっているようだ。
「さて! 気を取り直して……今日も頑張ろー! 絶対にルーデウスを王にするぞー!」
マリは気合を入れ、昨日の続きを始めた。
「ふふ、普通は自分を支配者にする為に頑張る物だと思いますが……陛下らしくて良いと思いますよ。 では、私は予定通り完成した劇場の面接に行って参ります」
「ありがとう、メリーさん! 配役は大事だから、よろしくね! 後、エイトス達も呼んでおいて~」
「畏まりました」
メリーはマリに頼まれた仕事をする為に退出した。 暫くするとジャックとルキにミケルが飲み物と朝食を持って訪れた。
「おはようございます、マリ様」 「おはようございます! マリ様」 「おはよう……ございます、マリ様~」
「おはよう~! 朝食持って来てくれたの? ありがとう~! ジャック、2人はどう? 執事とメイドの仕事はできそうかな……?」
「はい、2人共弱音を吐かず頑張っていますよ。 メイドの仕事を教えているスィクススも褒めていました」
「そっか~! 凄いね2人共! 偉い偉い」
マリはルキとミケルの頭を撫でる。 ミケルは嬉しそうに頬を弛ませ、ルキは恥ずかしそうに頬を赤くした。
マリは朝食を済ませ、ジャック達に片付けを頼む。
「それではマリ様。 多忙かと思いますが、無理をなさらないで下さいね」 「失礼します、マリ様!」 「またね……マリ様」
「うん、ありがとう~。 お仕事頑張ってね~」
マリに良い所を見せようと張り切ってお辞儀するルキと、可愛らしくお辞儀をするミケルに癒やされたマリは、また地獄に身を投じるべく引き出しからペンと羊皮紙の束を取り出し書き始めた。
暫くすると、執務室の扉を叩き入って来た人物達にマリはニッコリと笑いかける。
「「「失礼しまーす……」」」
「やっと来たね! 地獄にようこそ! 今日もよろしくねぇー!!」
長机に出された山積みの羊皮紙とペンを見てエイトス達の顔は真っ青になった。
「「「ぎゃぁー!」」」
エイトス達の悲鳴が廊下まで木霊するのであった。
17
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。
可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?
溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。
妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。
しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。
父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。
レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。
その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。
だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる