[完結]転生したのは死が間近の女王様！？ ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

第161話 責任

　「あわわわわ……な、何も覚えて無いんですけどー……？」

　記憶を辿るが、全く覚えていないマリは戦慄する。

　まさか泥酔した挙げ句に無理矢理ベッドに連れ込んでいた少年を襲う等信じられないが、事実として全裸の男女がベッドを共にしていたのだ。

　しかも、隣には妹分の女の子がスヤスヤと眠っている。

　「いや、待てよ？　前みたいに、裸を堪能しながらお酒を飲んでただけなのも……ワンチャンある？　ねぇ、ルキ。　起きて、ルキ」

　ミケルを起こさないように、静かにルキを起こす。　　

　勿論、脱いであった服を見つけて着た後だ。

　マリは一縷の望みに掛けて、ルキに直接聞こうと画策していた。

　「ん……あ、マ……マリ様。　おはよう……ございます」

　ルキは寝起きにマリの顔を見て、一瞬で耳まで真っ赤にしながら起き上がる。

　「おはよルキ。　その……昨日の夜中にさ。　私……」

　「あ！　その……お身体大丈夫ですか？　痛みませんか……？」

　(はい確定ーー！　そう言われたら確かに何やら股関節が痛い！)

　マリは非情な現実に吐血しそうになる。

　「ごふ……ありがとう、大丈夫。　えっと……ルキ」

　ヨハネやジャックに対する罪悪感に襲われながら、真剣な顔でルキを見つめる。

　「は、はい」

　「責任ちゃんと取るからね」

　「え？　せ、責任ですか？」

　可愛らしく首を傾げるルキの返答にマリは顔を真っ赤にする。

　「つまり……その、私で良かったら。　その……ヨハネやジャックとも一緒になるんだけど。　ルキが嫌じゃ無かったら、婚約という事で……どうかな」

　「そ、それは……つまり、お、俺と結婚して下さるのですか？！」

　凄く嬉しそうに喜ぶルキに、流石のマリも顔を赤くし照れながら頷いた。

　ルキの大きな声にミケルが目覚める。

　「ふゆ……？　お兄ちゃん……どうしたの？」　　

　「ミケル！　マリ様が、俺とも結婚してくれるって！」

　マリは恥ずかしさと己の罪の重さに悶絶しながら顔を覆う。

　「ふえぇ？！　どうして急に？　昨日再開したばっかりだよ……？」

　「俺も良く分かって無いんだ。　昨日の夜中に急に陛下に起こされたと思ったら、腹筋を見ながらお酒飲むから全裸になれって言われたから……かな？」

　(……ん？)

　ルキとミケルの会話にマリの時が止まる。

　「それで……責任を取って結婚して下さるみたいなんだ！」

　「良かったねぇお兄ちゃん。　マリ様の事、ずっと好きなんだって言ってたもんね」

　(……あれ？　お、おかしいな。　え、なら何で股関節が痛いと？)

　「あ！　マリ様、酒瓶を踏んで盛大に転んでいましたけど……本当に大丈夫なのですか？」　

　「え！？　マリ様、大丈夫……？」

　2人に心配されたマリはベッドの外を見る。

　確かに記憶に無い酒瓶がゴロゴロと転がっている。

　「なるほどね……謎は全て解けました！　あれ？　なら、何で私裸だったの？」

　「そ、それは……お酒を沢山飲まれて就寝される前に、熱いから脱ぐと仰ってから全裸に……。　も、勿論何も見てないですから！」　

　赤面しながら話すルキの言葉にマリは吐血する。

　「ごふ……もうダメ。　今日はもう……このまま寝させて」

　この後、ベッドに倒れるマリを心配しミケルがジャックやメリーを呼んだ為、全裸のルキも見られ責任を取るという事も聞かれた。

　こうして、前言撤回をする事も出来ずに鬼人ルキがマリの逆ハーレムに加わったのであった。

　マリは心中でお酒を混ぜるのは二度としないと誓った。

　因みに、事情を聞いたジャックはため息交じりに了承しヨハネは大爆笑しながら受け入れたそうだ。

　この日、マリは本当に1日ベッドから起き上がる事は無かった。