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第129話 元奴隷達の処遇
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「おはよう、昨日は何も出来ずにすまなかった」
セムネイルはセリスを連れて、平屋を訪れていた。
昨日助けた、奴隷市場の元奴隷達に会う為である。
「旦那、とんでもねぇよ! 娘に会えた……本当にあんがとよ!」
スキンヘッドの男が訪れたセムネイルに泣きながら礼を述べる。 他の男達も皆家族に再会出来た様だ。
「構わん。 奴隷という存在が嫌いなだけだからな。 一応、人数の把握とこれからどうしたいか聞きたいんだが……良いか?」
「勿論さ。 改めて、俺はジェイソンだ。 こっちのは娘のリアだ」
「助けて下さり、本当にありがとうございました……」
ジェイソンの娘リアは、赤毛で可愛らしい少女だ。
だが、何故か小刻みに震えている。
他にも、リアと同じぐらいの年頃の少女達が上着や布を身体に巻き付けセムネイルの方を震えて見ていた。
「うむ、とりあえず……先に服を買わねばならんな。 セリス、後で一緒に買い出しに付き合ってくれ。 冒険者ギルドにも顔を出そう」
「はい、畏まりました」
「よし、じゃあ……ジェイソン達は全員で何人だ?」
ジェイソンは振り向き、人数を確認する。
「全員で40人だが、俺等の家族は34人で残りの6人の娘達は家族を殺され奴隷にされたらしい」
「ぬ……そうか。 分かった、ありがとう。 因みにだが、この街に戻りたい者は居るか?」
セムネイルは部屋にいる全員に問い掛けたが、誰一人として手を上げる者は居なかった。
特に身寄りのない6人の娘達はガタガタと震え、セリスが落ち着かせに向かった。
「大丈夫ですよ。 セムネイル様は決して貴女方に酷い事はしません。 誓ってここは安全です、大丈夫……大丈夫よ」
元奴隷でもあるセリスは、娘達の恐怖や不安を感じ取り優しく抱きしめた。
「やるせないな……」
「旦那は……優しいんだな。 俺達が言う事じゃ無いが、今のこの国ではこんな事が当たり前になってきてる。 生きにくくなっちまったんだ……」
ジェイソンは娘を愛おしそうに抱きしめ、親子でまた居れる事に感謝していた。
「……そうか。 もし、ジェイソン達さえ良ければだが俺の4次元世界は広い。 この世界なら家族と共に平和に暮らせるぞ? まぁ、冒険者では無く畑仕事をしてもらう事になるが」
「本当か!? っていうか、そもそも此処は何なんだ? 4次元って何か分からんのだが。 まぁ……構わねぇ! 旦那に俺達は付いていくぜ! 畑仕事で良いなら任せてくれ! なぁ、お前達!」
「「「「おうよ! 力仕事なら任せてくれ!」」」」
ジェイソン達は得体のしれない世界だろうが、元の世界には嫌気がさしていたので願ってもない申し出だった。
「くっくっくっ、分かったよ。 なら、エルフのプレーリーの所で畑仕事をするか、鬼人のオルガの所で酪農をするか話して皆で決めてくれ。 ただし、種族の違いから喧嘩するのは止めてくれよな?」
「へっ! あたぼうよ!」
「あ、あの、セムネイル様! 父の事も、皆の事も……本当にありがとうございます! もし、その……誰かを求められるなら、その時は私を選んで下さいませ!」
「……ん?? すまん、何の話だ?」
リアは顔を真っ赤にしてセムネイルの前に立つ。 まるで、後ろの少女達を守る様に。
「こりゃリア! すまねぇ旦那。 昨日の夜からの声を聞いちまったみたいで……。 リア! 昨日、タリアさんが言ってただろ? 旦那は愛してる妻以外は求めたりしねぇんだって!」
「でも……!」
どうやら、昨晩の獣の様な喘ぎ声が外に丸聞こえだった様だ。
「なるほどな。 すまん! 今日、声が漏れないように何とかしとく。 それと、後で皆が別々に住めるように家も準備するから許してくれ」
セムネイルがリアに頭を下げた事に、ジェイソンや他の者達は驚愕した。
命の恩人であり、世界を創造するとんでもない御方が小娘に軽々と頭を下げたのだ。
「旦那、本当にすまねぇ! 頭を上げてくれ!」
ジェイソンが必死にセムネイルへと懇願しているのを、セムネイルの事を良く分かっているセリスは自慢する様に微笑んで見ていた。
セムネイルはセリスを連れて、平屋を訪れていた。
昨日助けた、奴隷市場の元奴隷達に会う為である。
「旦那、とんでもねぇよ! 娘に会えた……本当にあんがとよ!」
スキンヘッドの男が訪れたセムネイルに泣きながら礼を述べる。 他の男達も皆家族に再会出来た様だ。
「構わん。 奴隷という存在が嫌いなだけだからな。 一応、人数の把握とこれからどうしたいか聞きたいんだが……良いか?」
「勿論さ。 改めて、俺はジェイソンだ。 こっちのは娘のリアだ」
「助けて下さり、本当にありがとうございました……」
ジェイソンの娘リアは、赤毛で可愛らしい少女だ。
だが、何故か小刻みに震えている。
他にも、リアと同じぐらいの年頃の少女達が上着や布を身体に巻き付けセムネイルの方を震えて見ていた。
「うむ、とりあえず……先に服を買わねばならんな。 セリス、後で一緒に買い出しに付き合ってくれ。 冒険者ギルドにも顔を出そう」
「はい、畏まりました」
「よし、じゃあ……ジェイソン達は全員で何人だ?」
ジェイソンは振り向き、人数を確認する。
「全員で40人だが、俺等の家族は34人で残りの6人の娘達は家族を殺され奴隷にされたらしい」
「ぬ……そうか。 分かった、ありがとう。 因みにだが、この街に戻りたい者は居るか?」
セムネイルは部屋にいる全員に問い掛けたが、誰一人として手を上げる者は居なかった。
特に身寄りのない6人の娘達はガタガタと震え、セリスが落ち着かせに向かった。
「大丈夫ですよ。 セムネイル様は決して貴女方に酷い事はしません。 誓ってここは安全です、大丈夫……大丈夫よ」
元奴隷でもあるセリスは、娘達の恐怖や不安を感じ取り優しく抱きしめた。
「やるせないな……」
「旦那は……優しいんだな。 俺達が言う事じゃ無いが、今のこの国ではこんな事が当たり前になってきてる。 生きにくくなっちまったんだ……」
ジェイソンは娘を愛おしそうに抱きしめ、親子でまた居れる事に感謝していた。
「……そうか。 もし、ジェイソン達さえ良ければだが俺の4次元世界は広い。 この世界なら家族と共に平和に暮らせるぞ? まぁ、冒険者では無く畑仕事をしてもらう事になるが」
「本当か!? っていうか、そもそも此処は何なんだ? 4次元って何か分からんのだが。 まぁ……構わねぇ! 旦那に俺達は付いていくぜ! 畑仕事で良いなら任せてくれ! なぁ、お前達!」
「「「「おうよ! 力仕事なら任せてくれ!」」」」
ジェイソン達は得体のしれない世界だろうが、元の世界には嫌気がさしていたので願ってもない申し出だった。
「くっくっくっ、分かったよ。 なら、エルフのプレーリーの所で畑仕事をするか、鬼人のオルガの所で酪農をするか話して皆で決めてくれ。 ただし、種族の違いから喧嘩するのは止めてくれよな?」
「へっ! あたぼうよ!」
「あ、あの、セムネイル様! 父の事も、皆の事も……本当にありがとうございます! もし、その……誰かを求められるなら、その時は私を選んで下さいませ!」
「……ん?? すまん、何の話だ?」
リアは顔を真っ赤にしてセムネイルの前に立つ。 まるで、後ろの少女達を守る様に。
「こりゃリア! すまねぇ旦那。 昨日の夜からの声を聞いちまったみたいで……。 リア! 昨日、タリアさんが言ってただろ? 旦那は愛してる妻以外は求めたりしねぇんだって!」
「でも……!」
どうやら、昨晩の獣の様な喘ぎ声が外に丸聞こえだった様だ。
「なるほどな。 すまん! 今日、声が漏れないように何とかしとく。 それと、後で皆が別々に住めるように家も準備するから許してくれ」
セムネイルがリアに頭を下げた事に、ジェイソンや他の者達は驚愕した。
命の恩人であり、世界を創造するとんでもない御方が小娘に軽々と頭を下げたのだ。
「旦那、本当にすまねぇ! 頭を上げてくれ!」
ジェイソンが必死にセムネイルへと懇願しているのを、セムネイルの事を良く分かっているセリスは自慢する様に微笑んで見ていた。
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