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1章〜フォレスト王国カイヴの街〜

閑話、強くて可愛い異質な幼女

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 はっきり言って、異質だった。




 クーイはもともと人当たりがよかった。逆に言うとよすぎた。クーイは誰か一人に関心を持つ、ということが無かった。
 
 それなのに幼女を寮に泊めたと事後報告に来た時、驚きのあまり机の角に足をぶつけた。普通はそんなことしないのに。

 何に驚いたかって?全てにだよ。もともとクーイの表情は、完全に作られた物だった。なのに私の元に来たときは作り物の表情なんかではなく、しっかりと本当の表情が現れていた。

 それだけではなく、寮に泊めたという事も驚きだった。人当たりはいいが、クーイは適度な関係しか築かず、誰かに肩入れするなんて事はなかった。な の に、誰かを自分から泊めるなんて!

 ……とにかく、泊めるんだったら一応、明日その子を連れて挨拶に来いと言って、クーイを退出させた。



 次の日、クーイはその幼女を連れて来た。

 その幼女は、本当に異質だったのだ。そんな子の従魔だからだろうか。その子の従魔も異質だった。

 二人?一人と一匹は容姿も神々しいが、それだけじゃない。強さもが異質なのだ。

 だがなんとか声を出し椅子をすすめた。

 その後自己紹介をした。その時、幼女はリティア・パル・アーティと名乗った。ファミリーネームがあることにも、セカンドネームがあることにも驚いた。最近は驚いてばかりだ。

 ファミリーネームがあるのにリティアは貴族ではないと言う。…とりあえず話が進まなくなるから置いとこう。

 そして冒険者ランクは何か聞いたらEランクだと言う。嘘だろう!!!騎士団長である私よりも強いリティアがEランクだなんて!

 ならランクを上げに行かないかと話を持ちかけた。この街のギルマスは私の友人だからな。

 その後敬語もいらないし、呼び捨てでいいと言ったらこれでもかというほど目を見開いていた。なんだか無性に笑えて来て笑いを堪えるのが大変だった。


 リティア、お前は異質だ。だがそれ以上に何故か惹きつけられる。ランクを上げてやって私に利はないのにな。

 リティア、私はお前に興味がある。私よりとても小さいのに私よりも強いリティア。強いのは分かる。だが心は誰にも分からない。



 私はリティアの心を守ろう。

 



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