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予告編
予告編④ 『夏のとある日』⑤
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「ふふっ。美味しいですね、ジェノさん」
水着を購入してからというもの、しばらくの間メルエーナはぼんやりしていたが、本屋や調理器具の専門店を覗きに行っているうちに、いつもの彼女に戻ってくれた。
そして、ジェノはこうして、メルエーナが予約してくれた最近評判のレストランで夕食を食べ、評判の料理に二人で舌鼓を打つ。
「そうだな」
ジェノはいつもと変わらない仏頂面で、一番人気のパスタを口に運ぶ。
「トマトピューレですか?」
けれど、そんなジェノの態度にもメルエーナは笑みを崩すことなく、少し声を落として話しかけてくる。
「ああ。ついつい裏ごしをしっかりしてペースト状にしてしまいがちだが、こうして固形のトマトと合わせているのが面白いな。食感が一定ではなくなる分、トマトだけで食感の変化を楽しめるのは良い工夫だと思う」
ジェノも声を少し落として応えた。
「そうですね。ただ、その分味の調整が難しそうですね。このクオリティに仕上げるまでに、かなりの試行錯誤があったのでしょうね」
「確かにな。その苦労が目に浮かぶようだ」
メルエーナはそう言い、もう一口パスタを口に運んだので、ジェノもそれに倣い、フォークを動かす。
「敢えて均一ではなく偏りを作ることで、主となる味も際立ちますね。ただ単に味を足しているのではなく、その、表現が難しいですけれど、立体的な味と言えば伝わりますかね?」
「変わった表現をするな。だが、言い得て妙だ。味に対するこのアプローチの仕方は非常に面白いし勉強になる。メルエーナ。この店に誘ってくれて感謝する」
ジェノが礼の言葉を口にすると、メルエーナは溢れんばかりの笑顔を浮かべる。
「いえ、そんな。私の方こそ、今日はありがとうございました。その、夢のような一日でした」
「そうか」
メルエーナは本当に嬉しそうだ。自分などがどれほどの役に立ったのかは分からないが、この笑顔を見る限り、不快な思いはさせないで済んだようだ。
あとは二人で残ったパスタを食べ終え、少し休んだあとに家路に就くだけだ。
きっと帰りは、このパスタの話題で話に花が咲くだろう。こういう時に、同じ趣味を持っている人間とは話があうのが嬉しい。
そんな事をジェノは思っていたが、ここで楽しい時間を台無しにする事態に遭遇してしまう。
「もう、気が利かないわね! 私は昨日の晩もパスタを食べたって言ったでしょう! それなのに、また同じものを勧めてくるなんて、貴方って本当に薄っぺらい人間ね!」
女のヒステリックな耳をつんざく声が、静かだった店内に響き渡った。
ジェノが声のした方に視線を移すと、二十代半ばくらいの金髪でウエーブのかかった女が、喚き散らしていた。どうやら、自分の連れに腹を立てているようだ。
メルエーナが不安そうな顔をするのを確認し、ジェノは彼女に声をかける。
「メルエーナ。少し残っているが、この店を出るとしよう。これでは旨い料理が台無しだ」
「はい。そうですね」
メルエーナが頷いて立ち上がると、ジェノは騒いでいる女とメルエーナの間に自分の体を置き、彼女を騒動から遠ざける。
騒いでいる女は、連れの男に向かって喚き散らす。
何がそんなに腹立たしいのか分からないが、文句があるのであれば黙って店を出ていけばいいだけだろうとジェノは思う。
店の店員が二人、女を宥めるために悪戦苦闘しているようだ。
まったく、いい迷惑だ。
「申し訳ございません、お客様」
会計の男性が、ジェノ達に頭を下げてきた。
だが、メルエーナが「いいえ、とても美味しいお料理でした」と笑顔で言ってくれたのが良かったのか、笑顔で「ありがとうございました」と言い、割引券をサービスしてくれた。
「また、寄らせてもらいます」
ジェノもそう言い、店を後にする。
だがその際に、先程の女の、ひときわ大きな声がジェノたちの耳に入ってきた。
『ああっ、もう! もうあんたとはこれで終わりよ! あんた程度の男、代わりはいくらでもいるんだから!』
その何気ない一言を、ジェノは聞いてしまった。
もう、平気だと思っていた。
傷は癒えたと思っていた。
だが、ジェノの胸に、その一言が突き刺さる。
「……ジェノさん?」
歩みを止めてしまったことを怪訝に思ったのだろう。メルエーナが声をかけてくる。
「すまない。行こう」
顔には出していないつもりだ。
ジェノは何でもないことを装い、歩き始めるのだった。
◇
ランプを片手に、ジェノがメルエーナに少しだけ先行して歩く。
帰りはあのパスタの話題を、と思っていたが、あの不快な客のことを思い出したくないし、メルエーナにも思い出させたくない。
家につくまでの間、何の話題を振ろうかとジェノは考えて歩く。
「……酷い女性でしたね」
だが、メルエーナが触れずにいようとした話題をジェノに振ってきた。
そのため、ジェノは速度を少し落とし、彼女と並んで歩く。
「ああ、そうだな。店もいい迷惑だな」
ジェノが同意をすると、しかしメルエーナは「お店のこともそうなんですが」と言い、話を続ける。
「あの女性と男の人の関係は分かりません。ですが、どんな関係にしろ、あんな言葉をかけるのは失礼にも程があります!」
メルエーナは珍しく怒りを顕にする。
「あんな言葉?」
「あの男の人に、『代わりはいくらでもいる』と言ったことです! 人に対して、そんな言葉は決して言ってはいけないと思います。言われた方はもちろん、比較される方に対しても、あまりにも失礼です」
メルエーナのその言葉に、ジェノは言葉を失う。
「もちろん、年齢や性別等の括りで人を判断することもあります。ですが、皆さん誰もが一人一人、意思をもった人間です。それなのに、あんな言い方……。私はすごく腹が立ちました!」
憤懣遣る方無いといったメルエーナの姿に、ジェノは呆然としていたが、すぐに我に返り、微笑む。
「いつも思うことだが。お前は本当に優しいな、メルエーナ」
ジェノはそう言って、ついメルエーナの頭に手をポンポンと置いてしまう。
「あっ……」
メルエーナは驚いた様子で固まり、足を止めてこちらを見つめてくる。
「すまない。不躾だったな」
ジェノが謝ると、メルエーナは顔を真っ赤にして「いえ、その、そんな事は……」と言って顔を俯ける。
「そうか。……ありがとう、メルエーナ」
ジェノは不作法を許してくれた礼のように言ったが、その真意は感謝だった。
間違いなく、メルエーナにその真意は伝わらない。
でも、それでいい。
(俺は……最低の男だ……)
ジェノは心からそう思う。
どんな事情があったにせよ、自分は取り返しのつかない過ちを犯した。
そして、その責任から逃れるために、この国に、この街に逃げてきた。
後処理もせずに、兄さんに全てを任せて。
だから、これはただの逃げだ。
こんな自分のことを、メルエーナならば分かってくれるのではないかと思うのは、虫が良すぎる。
そんな資格など、自分にはない。
「ジェノさん……。その、一つだけ我儘を言ってもいいですか?」
「何だ?」
不意にメルエーナが頼んできたのは、とても他愛のない願いだった。それくらい、確認するまでもないほどの。
「ああ、それくらいどうということはない。それに、日が長いとは言え、やはり暗いからな」
「はい。ありがとうございます」
ジェノが快諾すると、メルエーナは顔赤くしながら、ジェノ左手を右手で握る。
「……行こうか」
「はい!」
ジェノはメルエーナの手を取り、帰路を歩く。
特段、それ以降は家につくまで会話はなかったが、それを気まずいとは思わなかった。
そして、しばらく歩いて<パニヨン>までたどり着くと、メルエーナはそっと手を離し、悪戯っぽい笑顔を向けて、ジェノの前に立つ。
「ジェノさん。今日はとても素敵な一日でした。その上、最後に我儘まできいて貰えて、すごく嬉しかったです」
「そうか。だが、あの程度の事は我儘とは言わないぞ」
「いいえ。あれは私の我儘です。ですから、たまにはジェノさんも私に我儘を言ってくれると嬉しいです。私ばかりがしてもらうのではなく、私も何かジェノさんにお返しがしたいです」
メルエーナのその言葉に、ジェノはまた言葉を失う。
「私は大したことはできません。でも……」
「……メルエーナ……」
メルエーナは困ったように微笑んでいる。
その目が、その笑顔が、言っているような気がする。
『私に、話してくれませんか?』と。
「……家に入ろう。バルネアさんも心配している」
けれど、ジェノはそのメルエーナの無言の訴えから目をそらす。
メルエーナの事を信じられなかったからではない。
まだ、ジェノの心の傷が癒えていなかっただけ。まだ、それを他人に晒すのは早かったのだ。
「……だが、メルエーナ。もしも、俺が我儘を言いたくなったら……」
最低だと思う。拒絶したくせに、こんな事を言うなんて。
けれど、ジェノは口に出さずにはいられなかったのだ。
「……はい。私、待っていますから」
けれど、メルエーナはやはり優しく微笑んでくれた。
それは、夏のとある日の出来事。
けれど、ジェノとメルエーナにとって、この日は特別な一日となったのだった。
水着を購入してからというもの、しばらくの間メルエーナはぼんやりしていたが、本屋や調理器具の専門店を覗きに行っているうちに、いつもの彼女に戻ってくれた。
そして、ジェノはこうして、メルエーナが予約してくれた最近評判のレストランで夕食を食べ、評判の料理に二人で舌鼓を打つ。
「そうだな」
ジェノはいつもと変わらない仏頂面で、一番人気のパスタを口に運ぶ。
「トマトピューレですか?」
けれど、そんなジェノの態度にもメルエーナは笑みを崩すことなく、少し声を落として話しかけてくる。
「ああ。ついつい裏ごしをしっかりしてペースト状にしてしまいがちだが、こうして固形のトマトと合わせているのが面白いな。食感が一定ではなくなる分、トマトだけで食感の変化を楽しめるのは良い工夫だと思う」
ジェノも声を少し落として応えた。
「そうですね。ただ、その分味の調整が難しそうですね。このクオリティに仕上げるまでに、かなりの試行錯誤があったのでしょうね」
「確かにな。その苦労が目に浮かぶようだ」
メルエーナはそう言い、もう一口パスタを口に運んだので、ジェノもそれに倣い、フォークを動かす。
「敢えて均一ではなく偏りを作ることで、主となる味も際立ちますね。ただ単に味を足しているのではなく、その、表現が難しいですけれど、立体的な味と言えば伝わりますかね?」
「変わった表現をするな。だが、言い得て妙だ。味に対するこのアプローチの仕方は非常に面白いし勉強になる。メルエーナ。この店に誘ってくれて感謝する」
ジェノが礼の言葉を口にすると、メルエーナは溢れんばかりの笑顔を浮かべる。
「いえ、そんな。私の方こそ、今日はありがとうございました。その、夢のような一日でした」
「そうか」
メルエーナは本当に嬉しそうだ。自分などがどれほどの役に立ったのかは分からないが、この笑顔を見る限り、不快な思いはさせないで済んだようだ。
あとは二人で残ったパスタを食べ終え、少し休んだあとに家路に就くだけだ。
きっと帰りは、このパスタの話題で話に花が咲くだろう。こういう時に、同じ趣味を持っている人間とは話があうのが嬉しい。
そんな事をジェノは思っていたが、ここで楽しい時間を台無しにする事態に遭遇してしまう。
「もう、気が利かないわね! 私は昨日の晩もパスタを食べたって言ったでしょう! それなのに、また同じものを勧めてくるなんて、貴方って本当に薄っぺらい人間ね!」
女のヒステリックな耳をつんざく声が、静かだった店内に響き渡った。
ジェノが声のした方に視線を移すと、二十代半ばくらいの金髪でウエーブのかかった女が、喚き散らしていた。どうやら、自分の連れに腹を立てているようだ。
メルエーナが不安そうな顔をするのを確認し、ジェノは彼女に声をかける。
「メルエーナ。少し残っているが、この店を出るとしよう。これでは旨い料理が台無しだ」
「はい。そうですね」
メルエーナが頷いて立ち上がると、ジェノは騒いでいる女とメルエーナの間に自分の体を置き、彼女を騒動から遠ざける。
騒いでいる女は、連れの男に向かって喚き散らす。
何がそんなに腹立たしいのか分からないが、文句があるのであれば黙って店を出ていけばいいだけだろうとジェノは思う。
店の店員が二人、女を宥めるために悪戦苦闘しているようだ。
まったく、いい迷惑だ。
「申し訳ございません、お客様」
会計の男性が、ジェノ達に頭を下げてきた。
だが、メルエーナが「いいえ、とても美味しいお料理でした」と笑顔で言ってくれたのが良かったのか、笑顔で「ありがとうございました」と言い、割引券をサービスしてくれた。
「また、寄らせてもらいます」
ジェノもそう言い、店を後にする。
だがその際に、先程の女の、ひときわ大きな声がジェノたちの耳に入ってきた。
『ああっ、もう! もうあんたとはこれで終わりよ! あんた程度の男、代わりはいくらでもいるんだから!』
その何気ない一言を、ジェノは聞いてしまった。
もう、平気だと思っていた。
傷は癒えたと思っていた。
だが、ジェノの胸に、その一言が突き刺さる。
「……ジェノさん?」
歩みを止めてしまったことを怪訝に思ったのだろう。メルエーナが声をかけてくる。
「すまない。行こう」
顔には出していないつもりだ。
ジェノは何でもないことを装い、歩き始めるのだった。
◇
ランプを片手に、ジェノがメルエーナに少しだけ先行して歩く。
帰りはあのパスタの話題を、と思っていたが、あの不快な客のことを思い出したくないし、メルエーナにも思い出させたくない。
家につくまでの間、何の話題を振ろうかとジェノは考えて歩く。
「……酷い女性でしたね」
だが、メルエーナが触れずにいようとした話題をジェノに振ってきた。
そのため、ジェノは速度を少し落とし、彼女と並んで歩く。
「ああ、そうだな。店もいい迷惑だな」
ジェノが同意をすると、しかしメルエーナは「お店のこともそうなんですが」と言い、話を続ける。
「あの女性と男の人の関係は分かりません。ですが、どんな関係にしろ、あんな言葉をかけるのは失礼にも程があります!」
メルエーナは珍しく怒りを顕にする。
「あんな言葉?」
「あの男の人に、『代わりはいくらでもいる』と言ったことです! 人に対して、そんな言葉は決して言ってはいけないと思います。言われた方はもちろん、比較される方に対しても、あまりにも失礼です」
メルエーナのその言葉に、ジェノは言葉を失う。
「もちろん、年齢や性別等の括りで人を判断することもあります。ですが、皆さん誰もが一人一人、意思をもった人間です。それなのに、あんな言い方……。私はすごく腹が立ちました!」
憤懣遣る方無いといったメルエーナの姿に、ジェノは呆然としていたが、すぐに我に返り、微笑む。
「いつも思うことだが。お前は本当に優しいな、メルエーナ」
ジェノはそう言って、ついメルエーナの頭に手をポンポンと置いてしまう。
「あっ……」
メルエーナは驚いた様子で固まり、足を止めてこちらを見つめてくる。
「すまない。不躾だったな」
ジェノが謝ると、メルエーナは顔を真っ赤にして「いえ、その、そんな事は……」と言って顔を俯ける。
「そうか。……ありがとう、メルエーナ」
ジェノは不作法を許してくれた礼のように言ったが、その真意は感謝だった。
間違いなく、メルエーナにその真意は伝わらない。
でも、それでいい。
(俺は……最低の男だ……)
ジェノは心からそう思う。
どんな事情があったにせよ、自分は取り返しのつかない過ちを犯した。
そして、その責任から逃れるために、この国に、この街に逃げてきた。
後処理もせずに、兄さんに全てを任せて。
だから、これはただの逃げだ。
こんな自分のことを、メルエーナならば分かってくれるのではないかと思うのは、虫が良すぎる。
そんな資格など、自分にはない。
「ジェノさん……。その、一つだけ我儘を言ってもいいですか?」
「何だ?」
不意にメルエーナが頼んできたのは、とても他愛のない願いだった。それくらい、確認するまでもないほどの。
「ああ、それくらいどうということはない。それに、日が長いとは言え、やはり暗いからな」
「はい。ありがとうございます」
ジェノが快諾すると、メルエーナは顔赤くしながら、ジェノ左手を右手で握る。
「……行こうか」
「はい!」
ジェノはメルエーナの手を取り、帰路を歩く。
特段、それ以降は家につくまで会話はなかったが、それを気まずいとは思わなかった。
そして、しばらく歩いて<パニヨン>までたどり着くと、メルエーナはそっと手を離し、悪戯っぽい笑顔を向けて、ジェノの前に立つ。
「ジェノさん。今日はとても素敵な一日でした。その上、最後に我儘まできいて貰えて、すごく嬉しかったです」
「そうか。だが、あの程度の事は我儘とは言わないぞ」
「いいえ。あれは私の我儘です。ですから、たまにはジェノさんも私に我儘を言ってくれると嬉しいです。私ばかりがしてもらうのではなく、私も何かジェノさんにお返しがしたいです」
メルエーナのその言葉に、ジェノはまた言葉を失う。
「私は大したことはできません。でも……」
「……メルエーナ……」
メルエーナは困ったように微笑んでいる。
その目が、その笑顔が、言っているような気がする。
『私に、話してくれませんか?』と。
「……家に入ろう。バルネアさんも心配している」
けれど、ジェノはそのメルエーナの無言の訴えから目をそらす。
メルエーナの事を信じられなかったからではない。
まだ、ジェノの心の傷が癒えていなかっただけ。まだ、それを他人に晒すのは早かったのだ。
「……だが、メルエーナ。もしも、俺が我儘を言いたくなったら……」
最低だと思う。拒絶したくせに、こんな事を言うなんて。
けれど、ジェノは口に出さずにはいられなかったのだ。
「……はい。私、待っていますから」
けれど、メルエーナはやはり優しく微笑んでくれた。
それは、夏のとある日の出来事。
けれど、ジェノとメルエーナにとって、この日は特別な一日となったのだった。
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