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夏休み 楓が家に
第十八話
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リビングに行くとテーブルの上に大きな皿とお菓子が置かれていた。キッチンでは二つの2Lペットボトルとコップが二つ置かれていた。ちなみにジュースはなっちゃんのりんご。
「それ持って行って」
キッチンで早くも夕食の支度をしているママがまな板に視線を向けたまま言った。
皿に置かれたお菓子は全て開封済みで直すことはもうできないだろう。袋や箱も今はきっとゴミ箱の中。
楓がお菓子持って来ているからいいとは一言も言わず、わかったと言って二階に上がった。
部屋のドアを開けると楓がスマホを操作しながらテーブルに突っ伏していた。
「持って来たよ」
部屋のドアを閉めてからテーブルにトレーを置いた。テーブルにはジュースとコップと大量のお菓子が置かれた。あきらかに二人分ではない。
「お菓子増えたね」
「うん、ママが準備してしてて」
そうなんだ・・・と呟くとスマホからようやく目を離した楓がお皿の方に手を伸ばす。
「このクッキーおいしい!どこの!」
「そのクッキーは売ってないよ」
私の答えに楓が首を傾げる。
「売ってないって?」
「それ、ママの手作り」
「本当!?」
楓は手に持っている齧り跡かじりあとのあるクッキーをまじまじと見つめる。
「遥華も作ったりするの?」
見つめていたクッキーの残りを頬張ると私に聞いてきた。
「たまには、ね」
私もクッキーを齧りながら答える。
本当にたまにしか作らない。気が向いた時や、無性にクッキーが食べたくなった時だけ。正直作るのが好きな人はいいのだけど、私はそうでもない。誰かのために作ったこともあるけれで、それも中学までの話。バレンタインにチョコクッキーを友達と交換していた。
あの頃はまだ友達多かったな・・・。
懐かしい思い出に浸りながらクッキーを口に運ぶ。
そんな私をよそに楓がスマホを見ながら私を呼んだ。
「遥華これ見て!」
楓は正面にいる私にも画面が見えるようにスマホをテーブルの中央に置いた。
スマホを覗き込むと画面の上には今流行りの遊びと書いてあるページが目に入る。
ページはランキングになっていて3位がコックリさん、2位は肝試しとこの時期ならではの怪談系が昇るなか、ダントツ1位の票を得ていたのは意外なゲーム名だった。
「愛してるゲーム?」
「うん、愛してるゲームだって」
初めて聞くゲーム名に困惑した。名前からゲームを察する事は出来ない。愛してると言うからには恋愛が関係するのだろうか?
私がじっと画面を見つめていると楓が画面を下にスライドさせてゲーム説明を読み始めた。
「えーっと・・・くじを引いて最初に引かれた人が後に引かれた人に向かって「愛してる」と言う。言われた人は「もう一回」と言い返す。これを何度も繰り返し、先に降参と言った人、もしくは継続出来なくなった、つまり照れた人が負けとなる・・・だって」
説明を聞いた限り大勢の人数でするゲームらしい。
「こんなゲームが流行っているんだね」
「ね・・・」
「・・・」
「・・・」
私たちの間に変な沈黙が訪れた。私はずっとスマホの画面を見ている。
もし今、楓と目があったら「これ、やってみない?」と聞かれそうな気がする。嫌と答えればそれでいいのだが、なぜか最近、楓のお願いが断れないことが多くなっている。私の心境の変化?だろうか。
じっとスマホを見ているとスマホに楓の手が伸び、スマホを手に取った。移動するスマホを私は自然と目で追い、顔を上げてしまった。
楓は私にスマホの画面を見せながら、私の予想通りのことを口にした。
「遥華、これやってみない?」
「それ持って行って」
キッチンで早くも夕食の支度をしているママがまな板に視線を向けたまま言った。
皿に置かれたお菓子は全て開封済みで直すことはもうできないだろう。袋や箱も今はきっとゴミ箱の中。
楓がお菓子持って来ているからいいとは一言も言わず、わかったと言って二階に上がった。
部屋のドアを開けると楓がスマホを操作しながらテーブルに突っ伏していた。
「持って来たよ」
部屋のドアを閉めてからテーブルにトレーを置いた。テーブルにはジュースとコップと大量のお菓子が置かれた。あきらかに二人分ではない。
「お菓子増えたね」
「うん、ママが準備してしてて」
そうなんだ・・・と呟くとスマホからようやく目を離した楓がお皿の方に手を伸ばす。
「このクッキーおいしい!どこの!」
「そのクッキーは売ってないよ」
私の答えに楓が首を傾げる。
「売ってないって?」
「それ、ママの手作り」
「本当!?」
楓は手に持っている齧り跡かじりあとのあるクッキーをまじまじと見つめる。
「遥華も作ったりするの?」
見つめていたクッキーの残りを頬張ると私に聞いてきた。
「たまには、ね」
私もクッキーを齧りながら答える。
本当にたまにしか作らない。気が向いた時や、無性にクッキーが食べたくなった時だけ。正直作るのが好きな人はいいのだけど、私はそうでもない。誰かのために作ったこともあるけれで、それも中学までの話。バレンタインにチョコクッキーを友達と交換していた。
あの頃はまだ友達多かったな・・・。
懐かしい思い出に浸りながらクッキーを口に運ぶ。
そんな私をよそに楓がスマホを見ながら私を呼んだ。
「遥華これ見て!」
楓は正面にいる私にも画面が見えるようにスマホをテーブルの中央に置いた。
スマホを覗き込むと画面の上には今流行りの遊びと書いてあるページが目に入る。
ページはランキングになっていて3位がコックリさん、2位は肝試しとこの時期ならではの怪談系が昇るなか、ダントツ1位の票を得ていたのは意外なゲーム名だった。
「愛してるゲーム?」
「うん、愛してるゲームだって」
初めて聞くゲーム名に困惑した。名前からゲームを察する事は出来ない。愛してると言うからには恋愛が関係するのだろうか?
私がじっと画面を見つめていると楓が画面を下にスライドさせてゲーム説明を読み始めた。
「えーっと・・・くじを引いて最初に引かれた人が後に引かれた人に向かって「愛してる」と言う。言われた人は「もう一回」と言い返す。これを何度も繰り返し、先に降参と言った人、もしくは継続出来なくなった、つまり照れた人が負けとなる・・・だって」
説明を聞いた限り大勢の人数でするゲームらしい。
「こんなゲームが流行っているんだね」
「ね・・・」
「・・・」
「・・・」
私たちの間に変な沈黙が訪れた。私はずっとスマホの画面を見ている。
もし今、楓と目があったら「これ、やってみない?」と聞かれそうな気がする。嫌と答えればそれでいいのだが、なぜか最近、楓のお願いが断れないことが多くなっている。私の心境の変化?だろうか。
じっとスマホを見ているとスマホに楓の手が伸び、スマホを手に取った。移動するスマホを私は自然と目で追い、顔を上げてしまった。
楓は私にスマホの画面を見せながら、私の予想通りのことを口にした。
「遥華、これやってみない?」
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