19 / 40
お祭り編 1
しおりを挟む
あれから毎晩電話をするようになった。時間的にはお互いが落ち着いた9時過ぎが多い。俺は用がないときはほとんど家にこもっていた。時々大智などから誘いがあれば一緒に遊んだりをする毎日だった。
それは鬼条さんも同じでクラスの子とどこどこ行った、とかそういう話を多く聞いた。もちろん俺たち二人で出かけることもした。水族館みたいに遠いところには行ったりしなかったが、学校近くや俺の住んでいる町、彼女の住んでいる町もまわってみたりした。
そんな日々を送っているとあっとゆう間に夏休みも残すところあと一週間になっていた。宿題は彼女と通話で話しながら進めた。時々テレビ電話でお互いの顔を見ながら話したりもした。
「あと一週間か」
「そうだね、早いよね」
「もう一か月欲しい」
「それは無理だよ。それにもう一か月休んだらまたもう一か月休みが欲しくなるよ」
「それもそうだな」
彼女の言うことは一理あった。確かにもう一か月もらったらまた一か月休みが欲しくなるに決まっている。期限があるから夏休みは貴重なんだろうから。
「宮岡くん、夏の最後にもう一つ思い出作らない?」
「何かあるの?」
「うん、私の町のお祭り。一緒に回らない?」
「お祭りか~」
確かに今年は祭りにはいっていない。去年までは俺の町にもあったんだが、開催に伴うお金が足りないと今年はやらないことになった。もしかしたら来年もその先もなくなるかもしれないが。
「花火も上げるからどうかな」
「花火か、いいね行こうよ。いつやるの?」
「夏休み最終日なんだけど空いてる?」
「大丈夫、用事もないし、鬼条さんのおかげで宿題は全部終わっているから」
「そっか。宿題を教えてよかった」
「集合時間とかはどうする?」
「それは前日に決めよう。毎日こうして電話しているんだし」
「そうだな」
彼女に返事を伝えると電話の向こうで聞き覚えのある声が聞こえた。
「純恋、風呂空いたぞ」
低い男の人の声。たった一度しか会っていないけど今でも思い出せる怖い顔だち。彼女のお父さんのこえだった。
「うん、今行く・・・ごめんね、今からお風呂入って来る」
「まだ入っていなかったんだ」
「今日は家族で外出してたから帰りが遅くなっちゃって」
「そっか、それはいいね。こっちは家族でどこかってこと少ないから」
「そうなんだ。あ!また呼んでる。そろそろ切るね」
「うん、温まっておいで」
「そうする。じゃあまた明日」
「また明日」
彼女との電話を切ると手に持っていた漫画を読むことに集中した。かの借りおもしろいじゃん。大智に返した後自分で買うかな、まだ13巻だし。
それは鬼条さんも同じでクラスの子とどこどこ行った、とかそういう話を多く聞いた。もちろん俺たち二人で出かけることもした。水族館みたいに遠いところには行ったりしなかったが、学校近くや俺の住んでいる町、彼女の住んでいる町もまわってみたりした。
そんな日々を送っているとあっとゆう間に夏休みも残すところあと一週間になっていた。宿題は彼女と通話で話しながら進めた。時々テレビ電話でお互いの顔を見ながら話したりもした。
「あと一週間か」
「そうだね、早いよね」
「もう一か月欲しい」
「それは無理だよ。それにもう一か月休んだらまたもう一か月休みが欲しくなるよ」
「それもそうだな」
彼女の言うことは一理あった。確かにもう一か月もらったらまた一か月休みが欲しくなるに決まっている。期限があるから夏休みは貴重なんだろうから。
「宮岡くん、夏の最後にもう一つ思い出作らない?」
「何かあるの?」
「うん、私の町のお祭り。一緒に回らない?」
「お祭りか~」
確かに今年は祭りにはいっていない。去年までは俺の町にもあったんだが、開催に伴うお金が足りないと今年はやらないことになった。もしかしたら来年もその先もなくなるかもしれないが。
「花火も上げるからどうかな」
「花火か、いいね行こうよ。いつやるの?」
「夏休み最終日なんだけど空いてる?」
「大丈夫、用事もないし、鬼条さんのおかげで宿題は全部終わっているから」
「そっか。宿題を教えてよかった」
「集合時間とかはどうする?」
「それは前日に決めよう。毎日こうして電話しているんだし」
「そうだな」
彼女に返事を伝えると電話の向こうで聞き覚えのある声が聞こえた。
「純恋、風呂空いたぞ」
低い男の人の声。たった一度しか会っていないけど今でも思い出せる怖い顔だち。彼女のお父さんのこえだった。
「うん、今行く・・・ごめんね、今からお風呂入って来る」
「まだ入っていなかったんだ」
「今日は家族で外出してたから帰りが遅くなっちゃって」
「そっか、それはいいね。こっちは家族でどこかってこと少ないから」
「そうなんだ。あ!また呼んでる。そろそろ切るね」
「うん、温まっておいで」
「そうする。じゃあまた明日」
「また明日」
彼女との電話を切ると手に持っていた漫画を読むことに集中した。かの借りおもしろいじゃん。大智に返した後自分で買うかな、まだ13巻だし。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
腹黒優等生の一軍男子に溺愛されるまでの青春ラブストーリー【高嶺の君とキズナを紡ぐ】
Alanhart
恋愛
いじめられたことが切っ掛けで不登校中の少女、成海は男性同士の恋愛に熱中するオタク腐女子。一方、突然転校してきた転校生は、学校中をにぎわせるほど美しい容姿を持ち、成績は学年トップ。抜群の運動神経を備えた完璧な優等生として注目を集めていた。
ある日、少年は、担任の先生に頼まれクラスメイトの成海の元へ学校の配布プリントを届ける係を請け負うことに。しかし、人間不信を拗らせた成海にとって、突然やってきた見知らぬ少年は恐怖の存在でしかない。
きっと、嫌がらせに来たに違いないと、頑なに心を閉ざす成海だったが。結局、一緒に勉強することになってーー。
『何があっても、俺がきみをまもるから』
自分の容姿に自信がないぽっちゃりが美少年と紡ぐ、友情から恋へと続くスクール青春ラブストーリー‼︎
※主人公は痩せません。
※暴力表現や、いじめ表現があります。
※中学生時代(友情)→高校時代(恋愛)→成人(溺愛)へと進んでいきます。
※しっかりとストーリーやキャラクターを楽しみたい方向けです。中学生時代の様々な過程を経て、美少年が主人公に恋をしていきます。
※サクッと恋愛のみを楽しみたい方には向きません。
※舞台は現代日本ですが、ICT教育が普及した後の中学校を想定しています。連絡物やテストは電子化されてる設定ですが、紙の教科書やノートの使用がまだされている描写があります。また、作者自身がICT教育への解像度が低いため、多分に想像も含まれます。その点を合わせて、フィクションとしてお楽しみください。
※【カクヨム先行公開中】その他、各小説サイトにも連載しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
それでも、精いっぱい恋をした。
花泳
恋愛
はるき、工業高校
バイクとメシが大好きな
鉄くさい作業着女子
あかね、付属高校
最近楽しいことは何もない
進路に迷える優等生
「明日も、がんばろうな」
交わるはずないと思っていた2本の線は、ひょんなことから寄りかかるように揃いはじめた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる