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剣と魔法
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ヒーラーはいいよなぁ。ただそう感じただけの少女が、何となく忘れられ無くて街を探索する‘ついで’に探して歩く。
そう、あくまでついで、だ。
別に。可愛かったから彼女を護りながらログアウトして、現実でもお近づきに……なんて、考えてないし。
でも、少し気になる事はある。
ここに来て数週間、魔導師を見たのは初めてだった。
だから記憶に残っているのかもしれない。
ヒーラーなんて職があるのもつい先日すれ違った時に知ったぐらいだ。
でも、だから、だからこそ、探しやすいかもな、単純にそう思った。
数少ないヒーラー、どうしても仲良くなりたい。
そうやって色々、理由づけをしていても、やっぱり彼女のなびく青い髪が頭にこびりついて離れないのも事実だった。
ぶんぶんと頭を振り、彼女の姿を消し去ろうとする。
でも簡単には消えなくて、ぼう、っと頭の隅に彼女が居座っていた。
短く息を吐き頭を抱えて歩き出す。
17歳の俺が見た目年齢13歳の少女に恋なんてちょっとやばいだろ。
どっちも責任能力なんてないんだぞ……。
……そこまで考えてはっ、とする。
彼女とどうこうなろうと既に考えてしまっている自分に、嫌でも俺は男だと言うことを思い知り嫌気がさす。
男だって事に違和感を持ったことはないけど、何となく、自然とこういう思考になってしまう事には違和感がある。
違和感というか、嫌悪感……?
何にせよ、どうこうなろうなんて考えている用じゃ同じチームにはなれないか……。
そこで少し落ち込んでしまっている自分に気づき少し笑ってしまう。
は、は。なんだかんだ仲良くはなりたいんじゃん。
先ずは挨拶をしよう。
そうして、そこからどうするかはその時の俺に任せよう。
自分でウンウンと頷き納得し歩き出す。
だって、動かなければなんにも始まらないのだから。
——————————。
—————————。
———————。
———-。
そう決め探し歩いて数時間、誰に聞いても‘知らない’の一点張りで手がかりさえ掴めずにいた。
恐らくこのゲームのプレイヤーだと踏んでいた俺は、掴みどころのなさに溜息を漏らしてしまう。
俺と同じボッチの方だったとは……。
どうしたものかと頭を悩ませ、はっ、とする。
あるダンジョンに魔女が出ると言う噂が立っていたのを何となく思い出したからだ。
深暗なる森。
それは奥に行けば行くほど暗くなる、まるで海の様な森だ。
俺は行くしかないと意気込み歩みを進めた。
そうして奥に進み辿り着いたのは、小屋だった。
少し濃い色をした丸太で建てられたその家は、まるで秘密基地の様な出で立ちだった。
周りの草木は剪定され、小綺麗にされている。
どうやら噂の魔女の家はここらしい。
そんな風に考えながらまじまじと観察しているとおもむろに扉が開いた。
その家の主は俺を驚いた表情で見上げている。
それに釣られる様にキョトンとすれば彼女は慌てて扉を閉めようと動いた。
見つめあっているのに高さの合わない視線。
「ま、じょ?」
そう漏らしながら閉められない様にと近付き扉をこじ開ける。
近づくと香る華のような可憐な匂い。
そうして俺は気付いてしまった。
彼女が探していたヒーラーだと。
「な、なんでしょうか。」
困った風に見上げ困惑の声を漏らす少女。
いざ目の前に現れると、どうしようもない気持ちになってしまう。
初めて聞いた甘やかなその響きに耳を奪われ、夜空のようであり晴天のようでもあるそのなびく長い髪に目を奪われる。
あぁ、これが心を奪われるということかと納得してしまう。
その魔女と言われる所以もわかってしまう気がする。
魅惑の魔女。それが正しい呼び名な気がした。
その淡く消えそうな儚さの中にどことなく強さが輝く。
一緒に戦って守り抜きたい、そう素直に思った
仲良く、どうこうなりたい、そんな想いは頭からすっぽ抜けただそれだけ思った。
「初対面でこんなこと失礼かもしれないけど……」
「ヒーラーだと、攻撃が疎かになってしまうんじゃないかと思って。」
「俺はアタックにしか振れないプレイヤーなんだ。」
「だから、」
「君の剣にしてくれないか。」
色々とうだうだと言い訳のような言葉を繋ぎ、最後の一言でようやく彼女を見据える。
身長差のせいで嫌でも見えてしまう表情はキョトンとしていたが、最後に目が合えば少女は優しく笑った。
「はい!喜んで!ディアブロ様!」
そう、あくまでついで、だ。
別に。可愛かったから彼女を護りながらログアウトして、現実でもお近づきに……なんて、考えてないし。
でも、少し気になる事はある。
ここに来て数週間、魔導師を見たのは初めてだった。
だから記憶に残っているのかもしれない。
ヒーラーなんて職があるのもつい先日すれ違った時に知ったぐらいだ。
でも、だから、だからこそ、探しやすいかもな、単純にそう思った。
数少ないヒーラー、どうしても仲良くなりたい。
そうやって色々、理由づけをしていても、やっぱり彼女のなびく青い髪が頭にこびりついて離れないのも事実だった。
ぶんぶんと頭を振り、彼女の姿を消し去ろうとする。
でも簡単には消えなくて、ぼう、っと頭の隅に彼女が居座っていた。
短く息を吐き頭を抱えて歩き出す。
17歳の俺が見た目年齢13歳の少女に恋なんてちょっとやばいだろ。
どっちも責任能力なんてないんだぞ……。
……そこまで考えてはっ、とする。
彼女とどうこうなろうと既に考えてしまっている自分に、嫌でも俺は男だと言うことを思い知り嫌気がさす。
男だって事に違和感を持ったことはないけど、何となく、自然とこういう思考になってしまう事には違和感がある。
違和感というか、嫌悪感……?
何にせよ、どうこうなろうなんて考えている用じゃ同じチームにはなれないか……。
そこで少し落ち込んでしまっている自分に気づき少し笑ってしまう。
は、は。なんだかんだ仲良くはなりたいんじゃん。
先ずは挨拶をしよう。
そうして、そこからどうするかはその時の俺に任せよう。
自分でウンウンと頷き納得し歩き出す。
だって、動かなければなんにも始まらないのだから。
——————————。
—————————。
———————。
———-。
そう決め探し歩いて数時間、誰に聞いても‘知らない’の一点張りで手がかりさえ掴めずにいた。
恐らくこのゲームのプレイヤーだと踏んでいた俺は、掴みどころのなさに溜息を漏らしてしまう。
俺と同じボッチの方だったとは……。
どうしたものかと頭を悩ませ、はっ、とする。
あるダンジョンに魔女が出ると言う噂が立っていたのを何となく思い出したからだ。
深暗なる森。
それは奥に行けば行くほど暗くなる、まるで海の様な森だ。
俺は行くしかないと意気込み歩みを進めた。
そうして奥に進み辿り着いたのは、小屋だった。
少し濃い色をした丸太で建てられたその家は、まるで秘密基地の様な出で立ちだった。
周りの草木は剪定され、小綺麗にされている。
どうやら噂の魔女の家はここらしい。
そんな風に考えながらまじまじと観察しているとおもむろに扉が開いた。
その家の主は俺を驚いた表情で見上げている。
それに釣られる様にキョトンとすれば彼女は慌てて扉を閉めようと動いた。
見つめあっているのに高さの合わない視線。
「ま、じょ?」
そう漏らしながら閉められない様にと近付き扉をこじ開ける。
近づくと香る華のような可憐な匂い。
そうして俺は気付いてしまった。
彼女が探していたヒーラーだと。
「な、なんでしょうか。」
困った風に見上げ困惑の声を漏らす少女。
いざ目の前に現れると、どうしようもない気持ちになってしまう。
初めて聞いた甘やかなその響きに耳を奪われ、夜空のようであり晴天のようでもあるそのなびく長い髪に目を奪われる。
あぁ、これが心を奪われるということかと納得してしまう。
その魔女と言われる所以もわかってしまう気がする。
魅惑の魔女。それが正しい呼び名な気がした。
その淡く消えそうな儚さの中にどことなく強さが輝く。
一緒に戦って守り抜きたい、そう素直に思った
仲良く、どうこうなりたい、そんな想いは頭からすっぽ抜けただそれだけ思った。
「初対面でこんなこと失礼かもしれないけど……」
「ヒーラーだと、攻撃が疎かになってしまうんじゃないかと思って。」
「俺はアタックにしか振れないプレイヤーなんだ。」
「だから、」
「君の剣にしてくれないか。」
色々とうだうだと言い訳のような言葉を繋ぎ、最後の一言でようやく彼女を見据える。
身長差のせいで嫌でも見えてしまう表情はキョトンとしていたが、最後に目が合えば少女は優しく笑った。
「はい!喜んで!ディアブロ様!」
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