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第四章 再建準備編

第五十六話 大工ゲットだぜ!

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 ――
 ――――

 ワタクシ達は城で移動のための準備を整えた後。大工の村へとやって参りましたわ。
 約五日間の移動でしたが、道中はこれと言って何もなかったので割合ですわよ。

 ワタクシ達が村に着くと、丁度村長がおりましたのでワタクシ達は挨拶をします、村長の方もちゃんとワタクシ達を覚えていらしたのでついでに交渉を試みますわ。

「いつぞやはお世話になりました」
「いえいえ、困った時はお互い様ですわ」

 ワタクシはいけしゃーしゃーと村長に挨拶をしますのよ。
 マウナ、ベティ、アルティア三名は目を逸らしておりますけどね。

「それで、本日はどのような件でお越しに?」
「少し時間がかかる話なのですがよろしくて?」

 村長は用事の途中だったようで、困ったような顔をした後に口を開きますわ。

「少し用事がありましてな、その後でも問題ないですかな?」
「問題ありませんわよ」
「では二時間後に私の家に来てください、この村の北の方にある赤い屋根の家です。赤い屋根は私の家だけなのですぐ分るでしょう」
「ええ、では後でお伺いしますわね」

 ワタクシ達はそこで村長と別れることになりました。空いた時間はバッソさんの所の宿で食事でも取ることにいたしましたわ。

「さっしゃい!」

 やはり挨拶はそれなんですのね……
 バッソさんがワタクシ達の姿を確認すると、驚いた顔で

「お? なんかぞろぞろと増えてるけどよく来てくれた」
「バッソさんもお変わりなく」

 ワタクシも挨拶を返しますわよ。

「嬢ちゃん達が来るってことは、前に言ってた大工の入用だな?」
「ええ、そうですわよ」
「私の国で大工が必要になりましたので、皆さんの力を借りようと思ってる所です」
「大仕事って事か腕が鳴るな」

 バッソさんは笑いながら力拳を造っております。そしてナルリアちゃんがそれを真似しておりますがこぶは出来ておりません。
 そしてバッソさんこの宿放置で来るつもりかしら?

「あらー、貴方が来たらこの宿はどうするのよ?」

 ベティさんがワタクシも思った疑問を口にします。

「はっはっは。心配しないでくれ、この宿殆ど客がこねーからな、かかあ一人でも十分に回るさ。俺の本業は大工だぜ」
「わ、わりと適当なんですね」
「はっはっは、こんな田舎の村じゃ仕方ねぇ」

 田舎なら仕方ないですわね! ……知らないですけど。

「それで何時から仕事だ? 明日からでも大丈夫だぜ」
「それは後で村長と話し合うつもりですわ、長期の仕事になりますわよ」
「かまわねぇよ、城造る時とかは普通に半年から1年の仕事になる時もあったからな」
「それは心強いですわね。しかし今はお食事ですわね」
「ああ、任せておきな」
「――ご飯!」

 ワタクシ達はバッソさんの料理をいただいてから村長の所に向かいましたわ。
 赤い屋根の家は言葉通り一軒しかなかったのですぐに見つける事が出来ましたわ。
 そしてワタクシ達は村長に案内され村の主要メンバーが揃った部屋に案内されましたわ、バッソさんもおりますわよ。

「さて、仕事の話という事でよろしいですかな?」
「はい、そうです」

 村長がワタクシとマウナさんに尋ねるので、マウナさんが答えます。

「えー、まずは私の事を知ってもらう所から始めます」

 マウナさんがそう言うと村長たちは首をかしげている。それはそうですよねぇ、仕事の話と言いながらまず私の事を知ってもらうですものね。
 マウナさんは村長たちを見回すと少し咳払いをして話し出します。

「私の名前はマウナ・ファーレと申します」

 村人の一人がファーレと聞いて顔を青ざめておりますわね。ファーレが魔王の名だと知っている反応ですわね。

「ま、まさか。あの魔王領のファーレか……少し前にチヨルカンが討伐部隊を出したという」

 マウナさんは今発言した男の方を向き

「はい、私は魔王マウナ・ファーレです」

 村人がざわつきます。まあ、魔王なんて来たらそうなりますわよねぇ。
 ベティさん達は笑いをこらえております、その気持ちわかりますが失礼な人達ですわね。
 村長が恐る恐るマウナさんに話しかけます

「魔王だったのですか……我々を騙していたのですか?」

 村長の言葉にワタクシが答えますわ。

「騙してはおりませんわよ、聞かれなかったので答えなかったのです」
「マナカ殿……それは屁理屈ではありませんか」
「屁理屈も立派な理屈ですわ」

 中尉が屁理屈だと言っておりますが無視しますわ、しかし村長たちは少し怯えてしまったようですわね。

「と、言うことはですな。仕事を断った場合はこの村はどうなってしまうのでしょうか?」
「別にどうもしませんよ」
「当然ですわ、ワタクシ達はアナタ方を雇いに来たのですから」

 雇う? 魔王が? などと騒いでおりますわね。

「ワタクシ、労働には対価をモットーにしておりますの、ですので大工の方お一人様につき、半年で二〇万リシェの報酬で雇いたいと思っておりますわ」

 大工の一人の相場は月二五〇〇〇リシェが相場だそうですので相場より少し高めで雇いたいと思っておりますの。
 ワタクシの言葉にさらに皆様ざわつきますわね。
 村長が代表でワタクシに問いかけますわ。

「値段は悪くは無いと思いますが、何を造ればよいのでしょう?」

 それにはマウナさんが答えます。

「建物を造ることもやっていただきますが、どちらかと言うと我が領の中から適正のあるものに、大工の教育をしてほしいのです」
「大工仕事を教えろと?」
「そうです。場合によっては追加の報酬を出しても良いと思っています」

 しかし魔王領だしなぁ。なる声が上がっておりますわね。想定内ではありますがやはり反発の声もでますわよね。
 まあ、先ほども申しましたように想定内ですのでワタクシが説得の続きをしますわ。

「ご安心くださいな、我々は人間との友好関係を結べればとも考えております、そしてすでにムーロさんのプラム商会との友好関係も築いておりますわ」

 ワタクシはそう言ってムーロさんのサインとなる名前が刻印された印鑑の押された書を見せますわ。
 村長が書をまじまじと見ておりますがやがて。

「本物の書じゃ……ムーロ氏が信用するならば信用しても良いかもしれませんな」

 ふっふーん。こないだの会談の時に書いてもらっておいたのですわよねー。
 商人の信用はこういう場所では効果大ですわねぇ。

「わかりました、村を救ってくれたことには変わりはありません、それに報酬も頂けるなら断る理由はありませんな。その仕事受けさせていただきます」

 村長が信用しても良いかもと発言してくれたおかげでこの先の話し合いもスムーズに行きましたわー。

 ――
 ――――

 この語は大工の中で誰が来るか? 追加の報酬の話などで時間が過ぎていきましたわ。
 話し合いの結果、村の大工は計三十名来ることになりましたわ。
 村の馬車にワタクシ達が用意した三台の馬車で移動することになりました、出発は明日の午後となりましたわ
 大工たちは準備があると大急ぎで家に戻り準備を開始しております。

 ワタクシ達も帰りの打ち合わせをしつつ次の日を迎えることになりましたわ。
 そして三十名の大工を連れての魔王城へ帰還する旅の開始ですわよ。

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