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15 グース
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映画では主人公の隣には常に相棒の姿があった。
主人公は戦闘機の操縦をして相棒は後部座席でナビゲーター。
いつでもふたりは一緒で時には相棒の軽率な行いに苦言を呈し公私共に仲のよい間柄だった。
そう、相棒だ。
相棒。
某刑事ドラマでは主人公『雪ノ下刑事』の相棒はコロコロと変わったいったが相棒とは本来唯一無二の存在であり、無償の信頼を捧げる相手だと僕は思うんだ。
そして僕はアオちゃんの相棒を自認する唯一無二の存在でありたい。
だからアオちゃんが空を飛びたいと望むのなら僕は僕に出来うる限りの知恵を絞り協力をしたいと願う。
今アオちゃんは自らの背中に備わった翼を用いて大空を自由に駆けたいと望んでいる。
ならば僕に出来ることは果たしてなんだろうか?
「そうだっ!」
僕が飛べないのなら飛べるひとに教えれもらえばいいじゃないか。
それが僕が出した答え。
アオちゃんが将来の目標を戦闘機になることと思い定めた翌日、僕はばあちゃんに描いてもらった地図を頼りにエミおばさんの家へと向かった。
エミおばさんの家は散歩した日に通った道の途中、草ぼうぼうのわき道を少し入った森の中に建っていた。
わき道の入り口に見覚えのあるオフロード車があったからすぐにわかったんだ。
玄関まで続く庭は草だらけだと思ったけど、よく見るとそれらは全部ハーブで中にはかわいいちっちゃい花を咲かせてるハーブもあった。
「あら? 誰かと思ったらナツとアオちゃんじゃない。どうしたの? 遊びに来てくれたのかしら?」
おばさんはシャノンと一緒に木陰になっているポーチで午前のお茶を楽しんでいた。
細身の白い椅子でくつろぐ姿は優雅で絵になるんだけど、その中身はけっこうおしゃべりでドジだったりするガッカリ美人なんだよね。
「おはよう、エミおばさん。遊びにってか、シャノンにお願いしたいことがあったから」
「シャノンに? 何かしら? まぁ話があるようだしおあがんなさいな」
そのシャノンと言えば僕たちの姿を目にした瞬間、パアッって満面の笑顔になって僕たちの元へ飛んできた。
僕に抱きついた後にアオちゃんに抱きつき二日ぶりの再会を喜んでくれている。
うんうん、仲良きことは美しいね。
ポーチにお邪魔するとエミおばさんはキレイな真っ白いカップを僕の前に置いてくれてポットから紅茶を注いでくれた。
フワッて白い湯気がのぼって辺りに紅茶のいい香りが広がる。
惜しむらくはポットの蓋からちょろりとのぞいてる糸が○東紅茶のティーパックだと物語ってることかな。
まぁ、本格的な紅茶なんて飲んだことないから僕はいっこうにかまわないけどね。
「アオちゃんにはこっちね」
アオちゃんの前にはホットミルクの入ったマグカップ。「お揃いね」って感じでシャノンが自分用の小さなカップを持ち上げた。
「ありがとう、いただきます」
外で飲む紅茶も美味しいな。
「それでシャノンにお願いって何かしら?」
エミおばさんが紅茶を一口飲んでホーッって息をはいた僕に訊いてきた。
シャノンはなんだか張り切っててキラキラと期待に満ちた眼で僕を見てくる。
「うん、あのね、アオちゃんが空を飛びたいみたなんだ。それで昨日ふたりで飛ぶ練習をしたんだけどさ、全然浮きもしなくって。どうしようかって考えたんだ」
「はぁん、なるほどね。ナツのお願いってのは見当がついたわ。シャノンに飛び方を教えて欲しいと」
「そうなんだ、シャノン、アオちゃんに教えてくれないかな?」
僕はシャノンに訊ねる。
するとシャノンはテーブルの上にスックと立ち上がりドンと胸を叩いた。
まーかせて! だいじょーぶ!
そう言ってる気がする。
おおっ! なんて頼もしい。
主人公は戦闘機の操縦をして相棒は後部座席でナビゲーター。
いつでもふたりは一緒で時には相棒の軽率な行いに苦言を呈し公私共に仲のよい間柄だった。
そう、相棒だ。
相棒。
某刑事ドラマでは主人公『雪ノ下刑事』の相棒はコロコロと変わったいったが相棒とは本来唯一無二の存在であり、無償の信頼を捧げる相手だと僕は思うんだ。
そして僕はアオちゃんの相棒を自認する唯一無二の存在でありたい。
だからアオちゃんが空を飛びたいと望むのなら僕は僕に出来うる限りの知恵を絞り協力をしたいと願う。
今アオちゃんは自らの背中に備わった翼を用いて大空を自由に駆けたいと望んでいる。
ならば僕に出来ることは果たしてなんだろうか?
「そうだっ!」
僕が飛べないのなら飛べるひとに教えれもらえばいいじゃないか。
それが僕が出した答え。
アオちゃんが将来の目標を戦闘機になることと思い定めた翌日、僕はばあちゃんに描いてもらった地図を頼りにエミおばさんの家へと向かった。
エミおばさんの家は散歩した日に通った道の途中、草ぼうぼうのわき道を少し入った森の中に建っていた。
わき道の入り口に見覚えのあるオフロード車があったからすぐにわかったんだ。
玄関まで続く庭は草だらけだと思ったけど、よく見るとそれらは全部ハーブで中にはかわいいちっちゃい花を咲かせてるハーブもあった。
「あら? 誰かと思ったらナツとアオちゃんじゃない。どうしたの? 遊びに来てくれたのかしら?」
おばさんはシャノンと一緒に木陰になっているポーチで午前のお茶を楽しんでいた。
細身の白い椅子でくつろぐ姿は優雅で絵になるんだけど、その中身はけっこうおしゃべりでドジだったりするガッカリ美人なんだよね。
「おはよう、エミおばさん。遊びにってか、シャノンにお願いしたいことがあったから」
「シャノンに? 何かしら? まぁ話があるようだしおあがんなさいな」
そのシャノンと言えば僕たちの姿を目にした瞬間、パアッって満面の笑顔になって僕たちの元へ飛んできた。
僕に抱きついた後にアオちゃんに抱きつき二日ぶりの再会を喜んでくれている。
うんうん、仲良きことは美しいね。
ポーチにお邪魔するとエミおばさんはキレイな真っ白いカップを僕の前に置いてくれてポットから紅茶を注いでくれた。
フワッて白い湯気がのぼって辺りに紅茶のいい香りが広がる。
惜しむらくはポットの蓋からちょろりとのぞいてる糸が○東紅茶のティーパックだと物語ってることかな。
まぁ、本格的な紅茶なんて飲んだことないから僕はいっこうにかまわないけどね。
「アオちゃんにはこっちね」
アオちゃんの前にはホットミルクの入ったマグカップ。「お揃いね」って感じでシャノンが自分用の小さなカップを持ち上げた。
「ありがとう、いただきます」
外で飲む紅茶も美味しいな。
「それでシャノンにお願いって何かしら?」
エミおばさんが紅茶を一口飲んでホーッって息をはいた僕に訊いてきた。
シャノンはなんだか張り切っててキラキラと期待に満ちた眼で僕を見てくる。
「うん、あのね、アオちゃんが空を飛びたいみたなんだ。それで昨日ふたりで飛ぶ練習をしたんだけどさ、全然浮きもしなくって。どうしようかって考えたんだ」
「はぁん、なるほどね。ナツのお願いってのは見当がついたわ。シャノンに飛び方を教えて欲しいと」
「そうなんだ、シャノン、アオちゃんに教えてくれないかな?」
僕はシャノンに訊ねる。
するとシャノンはテーブルの上にスックと立ち上がりドンと胸を叩いた。
まーかせて! だいじょーぶ!
そう言ってる気がする。
おおっ! なんて頼もしい。
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