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113 PM8時20分 戦闘が開始されるもそれはやがて喧嘩の様になってしまう
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ゴキッと鈍い音がし僕の投げた鉄球がサニーディに剣を振りかぶっていたエルフ兵の頭を直撃。兜はベッコリとへこんで兵士はその場に崩れ落ちた。
「ガキがっ、不意打ちなんぞ舐めた真似しやがってっ!」
「なにが舐めた真似だよクソッタレエルフがっ、不意打ちもナニもアンタらが勝手に僕とそっちの騎士との戦いのなかにしゃしゃり込んできて流れ弾喰らっただけじゃないかっ!?」
「テメェッ、ふざけた口利きやがってっ」
「敵にふざけた口利いたからってなんなんだよっ!? もしかして丁寧に応えたら帰ってくれるんですかぁ~? あのう、申し訳ないんですけれどもあなた達侵略者サンたちの存在が迷惑極まりないんですけれど、よろしければ後ろ向け後ろしてそのまま進んで海渡って帰っていただけませんか? あなた達のおっしゃるコウテーヘーカノゴイコーってのはこっちの土地まで届かないんですよ~」
「もう無事で帰れるなんざ考えるなよっガキがぁぁーーーッッ!!」
「そりゃこっちのセリフじゃぁぁーーーッ、ファッキン侵略者どもがっっ!!」
「なんだとッ!?」
「なんじゃぁいッ!?」
「キュッ! キュキューーッ!!」
僕もアオちゃんもひどく腹を立てていた。エルフの兵隊たちも仲間を僕みたいな子どもに倒されいきり立っていた。
「ま、待てっお前たちっ、まだミナカワナツとアタシの一騎討ちは終わっていないっ。ミナカワナツ、貴公も兵にに向けた神器を降ろすんだっ、貴公の相手は兵たちではないっ、このアタシだろう? なぁ!?」
「「うるさいっ!!」」「キューッ!!」
外野からゴチャゴチャと口をはさもうとするサニーディに対して僕とアオちゃん、さらには部下であるはずのエルフ兵からも一喝が跳ぶ。
このヒト生真面目な善人なんだろうけれども人望無いな。あ、ダークエルフとか呼ばれていたから帝国でも差別対象なのか? 元の隊長が倒れて代理で隊長やっているとか言ってたしね。どっちかって言うと先頭に立って指示するよりも優秀なヒトに率いられてそのヒトの命令で戦うほうが向いているのかも知れないね。
まぁそんなこと今の僕らにはどうでもいいコトだけれどもね。
まぁともあれサニーディは仲裁しようとしてエルフ兵に邪険に押しこくられ脚をもつれさせ草原に尻餅をついた。
僕たちとエルフ兵はそれにも頓着せず互いの武器を手に走り出したんだ。
「やぁぁぁーーーッ!!」
「ガァァァーーーッ!!」
「キュュューーーッ!!」
森じゅうに蛮声が響く。僕の鉄球が力任せに振られ迎え撃ったエルフ兵の剣をへし折る。僕の傍らから飛び立ったアオちゃんの放つ魔法のミサイルとエルフ兵の魔法が宙で衝突し爆発を起こす。「やめろっ、オマエたちっ、武器を納めるんだぁぁーーーッ!!」サニーディの誰も聴かない叫びが空しく剣と魔法の爆音に欠き消される。
もうさっきまでの正々堂々とした一騎討ちの面影はどこにもなかった。ただ怒りに任せた力づくの戦いがそこでは繰り広げられていた。
「死ねッ! クソガキッ!!」
「うるせっ、さっきから息クセーんだっハエルフッ、ゴキエルフッ、ヘドエルフッ! 腐れた口閉じて戦えっ!!」
「ぶわっ!? べっべっべっ、ヤロウ土なんぞ投げやがってっ、口に入っちまったろうがっ」
「はっ、大口開けて腐った言葉がなってるからだよっ。これに懲りたら薄汚いノド人様にさらすなっ!」
「このっ、クチの減らねぇ… アタマにくるガキだぜっ、ホントにようッ」
「アタマにくるのはお互い様だっ!」
「なっ、コイツッ!」
「オイッ、アンタレス後ろにまわってコイツ押さえとけっ」
「出来たらとっくにやってらぁ。コイツチョコマカとすばしっこいうえに神器まで振り回しているんだぜっ!?」
「じゃぁイースン…」
「無理だっつーのっ、イースンのヤツはテメエがさっき避けた神器の一撃喰らってソコで伸びてんだろうがっ」
「畜生ッ! 使えねぇっ」
「あっは、使えねぇのはアンタも一緒だろうがっハエルフッ、もし万が一アンタの足の先からアタマの天辺までで使える場所がひとつでもあったらびっくりだよっ、僕びっくりしてきっと負けちゃうかもなぁっ~、まぁありえないけれど…」
「ッッッとーーーにこのっガキャァようっ!!」
ハエルフとアンタレス改めゴキエルフ、イースン改めヘドエルフこと汚物エルフ(←僕命名)の三人を僕は神器片手にあしらう。もちろんこれは神器の加護、神器が僕の身体を戦うに適した動きに補佐してくれているからだ。それでなければ怒りに駆られて冷静な判断も出来なくなっているとは言えども一介の兵士三人を相手に子どもひとりで対等になんて渡り合える訳が無いんだ。
エルフ兵どもに腹を立てているのは本当だけれども怒りに任せてちゃ勝てやしない。僕は必死にエルフ兵たちを煽って連携なんてさせないようにし、石や土なんかを投げるセコい戦い方でいきりたたせ頭を使った戦いをさせないように苦心していた。
案外ギリギリな戦いをしているんだよ?
対してアオちゃんの方はというと、僕が相手の汚物エルフの倍するエルフ兵を相手に大立回りを演じていた。
エルフ兵たちの手の届かない空中から魔法のミサイルを次々と繰り出している。
大抵はエルフ兵の放つ火や氷なんかの魔法と空中で衝突して相殺されているけれども威力は圧倒的にアオちゃんの魔法のミサイルが勝っている。時には敵の放った魔法を巻き込む様に消し飛ばし地面へと着弾する。
直撃じゃなくったって効果は大きい。なんてったってアオちゃんのミサイルは現代兵器のそれを模したモノなんだから。
この戦闘では僕と違ってアオちゃんは圧倒的な強者だ。ドラゴンと言うネームバリューもそうだけれども唯一騎空から地面に向けて攻撃できる有利さ、そしてエルフでも敵わない魔素の扱いの巧みさ、そこにもってきてのこちらの世界には存在しない兵器であるミサイルの能力だ。それらの能力が勝っているからアオちゃんはヴェアテ帝国の兵隊を前にしても優勢に戦えているんだ。
たとえアオちゃんがエルフ兵たちと同じくらいに怒り狂っていて周りが見えてなくってもね。
そう、アオちゃんは今戦いに夢中でそれしか見えていない。冷静さを喪っていてもしかしたら僕の存在すらも忘れているかもしれない。
だってアオちゃんは魔法のミサイルしか使っていない。複数人と戦うのならば竜牙兵を出して一掃したほうがはやく片付くのにだ。
多分だけれどアオちゃんは使いなれた魔法のミサイルに執着して竜牙兵の存在を忘れているのだろう。
けれどそれでもいいと僕は判断してあえてアオちゃんをそのままにしているんだ。
たとえひとつだけの魔法しか使っていなくてもそれだけで有利に戦えているし、指示など出して今乗りに乗っているアオちゃんの集中力を削ぎたくない。
そしてなによりアオちゃんに指示を出すのは僕自身の集中力がきれてしまう危険もあるからだった。
ともかく何度も言うようだけれども《爆発》といった概念を魔法に取り入れていないこちらの世界にはアオちゃんの魔法のミサイルは非常に効果的なんだ。だったら夢中になっているアオちゃんにそちらは任せて僕は僕の相手に集中しようと結論を出したのだった。
けれどもさ、それって結局先の見えない戦いだったんだよね。
たとえ今は優勢でもやっぱり数の暴力って大きい要素なんだ。
綻びはすぐさまやって来たんだ。
「ガキがっ、不意打ちなんぞ舐めた真似しやがってっ!」
「なにが舐めた真似だよクソッタレエルフがっ、不意打ちもナニもアンタらが勝手に僕とそっちの騎士との戦いのなかにしゃしゃり込んできて流れ弾喰らっただけじゃないかっ!?」
「テメェッ、ふざけた口利きやがってっ」
「敵にふざけた口利いたからってなんなんだよっ!? もしかして丁寧に応えたら帰ってくれるんですかぁ~? あのう、申し訳ないんですけれどもあなた達侵略者サンたちの存在が迷惑極まりないんですけれど、よろしければ後ろ向け後ろしてそのまま進んで海渡って帰っていただけませんか? あなた達のおっしゃるコウテーヘーカノゴイコーってのはこっちの土地まで届かないんですよ~」
「もう無事で帰れるなんざ考えるなよっガキがぁぁーーーッッ!!」
「そりゃこっちのセリフじゃぁぁーーーッ、ファッキン侵略者どもがっっ!!」
「なんだとッ!?」
「なんじゃぁいッ!?」
「キュッ! キュキューーッ!!」
僕もアオちゃんもひどく腹を立てていた。エルフの兵隊たちも仲間を僕みたいな子どもに倒されいきり立っていた。
「ま、待てっお前たちっ、まだミナカワナツとアタシの一騎討ちは終わっていないっ。ミナカワナツ、貴公も兵にに向けた神器を降ろすんだっ、貴公の相手は兵たちではないっ、このアタシだろう? なぁ!?」
「「うるさいっ!!」」「キューッ!!」
外野からゴチャゴチャと口をはさもうとするサニーディに対して僕とアオちゃん、さらには部下であるはずのエルフ兵からも一喝が跳ぶ。
このヒト生真面目な善人なんだろうけれども人望無いな。あ、ダークエルフとか呼ばれていたから帝国でも差別対象なのか? 元の隊長が倒れて代理で隊長やっているとか言ってたしね。どっちかって言うと先頭に立って指示するよりも優秀なヒトに率いられてそのヒトの命令で戦うほうが向いているのかも知れないね。
まぁそんなこと今の僕らにはどうでもいいコトだけれどもね。
まぁともあれサニーディは仲裁しようとしてエルフ兵に邪険に押しこくられ脚をもつれさせ草原に尻餅をついた。
僕たちとエルフ兵はそれにも頓着せず互いの武器を手に走り出したんだ。
「やぁぁぁーーーッ!!」
「ガァァァーーーッ!!」
「キュュューーーッ!!」
森じゅうに蛮声が響く。僕の鉄球が力任せに振られ迎え撃ったエルフ兵の剣をへし折る。僕の傍らから飛び立ったアオちゃんの放つ魔法のミサイルとエルフ兵の魔法が宙で衝突し爆発を起こす。「やめろっ、オマエたちっ、武器を納めるんだぁぁーーーッ!!」サニーディの誰も聴かない叫びが空しく剣と魔法の爆音に欠き消される。
もうさっきまでの正々堂々とした一騎討ちの面影はどこにもなかった。ただ怒りに任せた力づくの戦いがそこでは繰り広げられていた。
「死ねッ! クソガキッ!!」
「うるせっ、さっきから息クセーんだっハエルフッ、ゴキエルフッ、ヘドエルフッ! 腐れた口閉じて戦えっ!!」
「ぶわっ!? べっべっべっ、ヤロウ土なんぞ投げやがってっ、口に入っちまったろうがっ」
「はっ、大口開けて腐った言葉がなってるからだよっ。これに懲りたら薄汚いノド人様にさらすなっ!」
「このっ、クチの減らねぇ… アタマにくるガキだぜっ、ホントにようッ」
「アタマにくるのはお互い様だっ!」
「なっ、コイツッ!」
「オイッ、アンタレス後ろにまわってコイツ押さえとけっ」
「出来たらとっくにやってらぁ。コイツチョコマカとすばしっこいうえに神器まで振り回しているんだぜっ!?」
「じゃぁイースン…」
「無理だっつーのっ、イースンのヤツはテメエがさっき避けた神器の一撃喰らってソコで伸びてんだろうがっ」
「畜生ッ! 使えねぇっ」
「あっは、使えねぇのはアンタも一緒だろうがっハエルフッ、もし万が一アンタの足の先からアタマの天辺までで使える場所がひとつでもあったらびっくりだよっ、僕びっくりしてきっと負けちゃうかもなぁっ~、まぁありえないけれど…」
「ッッッとーーーにこのっガキャァようっ!!」
ハエルフとアンタレス改めゴキエルフ、イースン改めヘドエルフこと汚物エルフ(←僕命名)の三人を僕は神器片手にあしらう。もちろんこれは神器の加護、神器が僕の身体を戦うに適した動きに補佐してくれているからだ。それでなければ怒りに駆られて冷静な判断も出来なくなっているとは言えども一介の兵士三人を相手に子どもひとりで対等になんて渡り合える訳が無いんだ。
エルフ兵どもに腹を立てているのは本当だけれども怒りに任せてちゃ勝てやしない。僕は必死にエルフ兵たちを煽って連携なんてさせないようにし、石や土なんかを投げるセコい戦い方でいきりたたせ頭を使った戦いをさせないように苦心していた。
案外ギリギリな戦いをしているんだよ?
対してアオちゃんの方はというと、僕が相手の汚物エルフの倍するエルフ兵を相手に大立回りを演じていた。
エルフ兵たちの手の届かない空中から魔法のミサイルを次々と繰り出している。
大抵はエルフ兵の放つ火や氷なんかの魔法と空中で衝突して相殺されているけれども威力は圧倒的にアオちゃんの魔法のミサイルが勝っている。時には敵の放った魔法を巻き込む様に消し飛ばし地面へと着弾する。
直撃じゃなくったって効果は大きい。なんてったってアオちゃんのミサイルは現代兵器のそれを模したモノなんだから。
この戦闘では僕と違ってアオちゃんは圧倒的な強者だ。ドラゴンと言うネームバリューもそうだけれども唯一騎空から地面に向けて攻撃できる有利さ、そしてエルフでも敵わない魔素の扱いの巧みさ、そこにもってきてのこちらの世界には存在しない兵器であるミサイルの能力だ。それらの能力が勝っているからアオちゃんはヴェアテ帝国の兵隊を前にしても優勢に戦えているんだ。
たとえアオちゃんがエルフ兵たちと同じくらいに怒り狂っていて周りが見えてなくってもね。
そう、アオちゃんは今戦いに夢中でそれしか見えていない。冷静さを喪っていてもしかしたら僕の存在すらも忘れているかもしれない。
だってアオちゃんは魔法のミサイルしか使っていない。複数人と戦うのならば竜牙兵を出して一掃したほうがはやく片付くのにだ。
多分だけれどアオちゃんは使いなれた魔法のミサイルに執着して竜牙兵の存在を忘れているのだろう。
けれどそれでもいいと僕は判断してあえてアオちゃんをそのままにしているんだ。
たとえひとつだけの魔法しか使っていなくてもそれだけで有利に戦えているし、指示など出して今乗りに乗っているアオちゃんの集中力を削ぎたくない。
そしてなによりアオちゃんに指示を出すのは僕自身の集中力がきれてしまう危険もあるからだった。
ともかく何度も言うようだけれども《爆発》といった概念を魔法に取り入れていないこちらの世界にはアオちゃんの魔法のミサイルは非常に効果的なんだ。だったら夢中になっているアオちゃんにそちらは任せて僕は僕の相手に集中しようと結論を出したのだった。
けれどもさ、それって結局先の見えない戦いだったんだよね。
たとえ今は優勢でもやっぱり数の暴力って大きい要素なんだ。
綻びはすぐさまやって来たんだ。
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