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第1幕
舌王が舌王になるまで
しおりを挟むー確か、夏頃だったと思います。
男は記憶を手繰り寄せながら話し出す。
ー都内のどこに、こんな体育館があるのか感心しましたけど、確かに存在してまして
都市伝説として話は聞いていました、実在するとは思ってませんでしたけど。
男によると、都市伝説では
ある建物にて、秘密の大会が行われており、そこでは己の言葉だけで勝負する大会がある
と。
ーで、僕行ったんですけど、その時は本当に折り畳み机と向い合わせの椅子2つのみで
本当に行われるのか、って思いましたよ。
彼が来るまでは。
彼、とは舌王ですね?
ーそうです、彼です。
最初見たときは驚きましたよ、もっと卑屈そうなオタクみたいな男を想像してました。
洒落たストライプのスーツ
中肉中背
高齢にも、青年にも見える
失礼ですけど、本当にそこら辺にいそう普通のサラリーマンでした。
口喧嘩ななんてした事あるのかって印象でした。
そしてその時に迎え撃ったのは、確かどっかの外資のまぁまぁ重要なポジションに
ついてる人、って噂でした。
あの大会って、相手の肩書きとかプロフィール一切わからないんですよね。
二人が向かい合わせた時に校内放送、って言えばいいのかな?
ピー、みたいな、そんな音と同時に始まりました。
ほとんど一瞬でした。
体感では、あとで調べたら5分だったんですけどね。
外資の男がマシンガンの様に捲し立てたのに、舌王は終了間際の2言、とかでしたよ
たしか
「退屈」
っていって
確かにそういいました、で、外資の男は急に泣き崩れて、終了でした。
そこからです、僕が舌王が気になったのは。
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