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第十八話

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「そういえばオルガ、まだあれ飲んでるかい?」

「え?あれって?」

「えっと……アルスなんとかって子から貰った……えっと、なんか水みたいなやつ」

きっとアルスフィーヌがくれた魔法薬の小瓶のことを言っているのだろう。

「あれ飲むとよく眠れるって言ってただろ?」

「ええ、まだ飲んでるわ」

「そっか。もしよかったら一杯だけ分けてくれないかな?」

「別に構わないけれど……どうしたの?」

私が聞くと、ロイは少し困った顔をして答えた。

「実はその……寝不足でね。会社が一応部屋は用意してくれるのだけど、全然眠れなくて。せめて家にいる時だけでも寝ていたいんだ」

はぁ~っとわざとらしいため息をつくロイ。

「わかったわ、じゃあ今持ってくる」

「ありがとう。悪いけど、部屋まで持ってきてもらってもいいかな?」

「ええ」

私は席を立った。
(あれ……?)

キッチンに向かおうとしたその時、私の脳裏にある考えがひらめいた。
動きを止めることなく、思考を続ける。
魔法薬の小瓶とコップを手に取ると、彼の部屋まで行く。

「ああオルガ、悪いね」

「いえ、大丈夫よ」

机に小瓶とコップを置いて、彼の目を見つめる。

「どうかしたオルガ?」

「ねぇ……ロイ」

「ん?」

「あなたは……私のこと好きよね?」

「っ!!」

ロイが驚いたように私を見た。
その表情には焦りが見える。
私は口角を上げて彼に聞いた。

「ロイ……本当のことを言って」

「そんなことか……」

ロイは次の瞬間にはいつもの彼に戻っていた。

「君のことを愛していないわけないじゃないか」

「そう……」

私は小瓶の蓋を開けると、中身をコップに注いだ。
ロイが私のことを本当に愛してくれますように……そう願いながら。



「はい、お待たせ」

私はそう言って、魔法薬の入ったコップをロイに渡した。

「あ、あぁ……ありがとう……」

私はベッドの横に置いてある椅子に座った。

「じゃあ……いただきます」

ロイはゆっくりと口に含んだ。
ごくりと喉が鳴る。

「ど、どうかしら……?」

「う、うん……すごく美味しいよ、これ」

ロイは私を見て笑っている。

「よかった……」

私はほっとして胸をなでおろした。
これで安心ね。

「ありがとう、じゃあ俺はこのまま寝させてもらうよ。昨日徹夜してたからくたくたなんだ……」

ロイはあくびをしながらベッドの中に入っていった。

「うん、ゆっくり休んで」

「あぁ……」

ロイは布団を被って目を閉じた。
それを確認した後、私は椅子から立ち上がる。

「じゃあお休みなさい、ロイ」

「…………」

返事はない。
もう眠ってしまったようだ。

「ふぅ……」

とりあえず、これでよし……。
私はロイの部屋を出て、自分の部屋に戻った……。
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