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第四話
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「はい?」
私は老婆の言葉に思わず首を傾げた。
「お嬢ちゃん、あんまり現実を悲観するもんじゃないよ。まだ若いんだからもっと前を向いて生きなきゃ。間違えたのならやり直せばいいのさ」
「はぁ……」
この人は一体何を言っているのかしら?過去?やり直す?
私が困惑した表情をしていると、彼女は言葉を続けた。
「私はただのしがないババアだが、実は魔法が使えてね。人を過去へ飛ばすことが出来るのさ」
「えっと……ふざけているのですか?」
「いやいや本当のことさ。嘘なんかついちゃいない」
「そう言われても……」
正直胡散臭い話である。
この目の前の老婆が魔法使いなんて、そんな話が本当なわけがない。
しかしそもそもこの老婆はどこから入ってきたのか。
魔法使いならバレずに入ってくることも可能かもしれないが……いやしかし……。
考えると頭がパンクしそうになってきたので、私は気持ちを切り替えるようにため息をはいた。
「……では仮にあなたの話が本当だとして、今ここで私を過去に飛ばすことはできますか?」
「ええ、もちろん」
老婆が自信たっぷりに微笑む。
「それならば……お願いします。過去の世界に行かせてください」
私は投げやりに言った。
本当に過去に飛べたらいいのにな……冗談半分にそんなことを思いながら。
「ほっほ、そうこなくっちゃ。じゃあさっそく始めるかね。目をつぶって、深呼吸をしなさい。大丈夫、痛くないから安心おし。すぐに終わる」
言われるがまま私は目を閉じる。
そして数秒後、体がふわりと浮かぶような感覚がした。
「着いたよ」
頭に響くその声にハッとなって目を開けると、私は自室の椅子に座っていた。
時刻はまだ朝方、小鳥が窓の外を飛んでいた。
「ここは……私の部屋よね?」
周りを見渡すと、見慣れた家具や物が目に映る。
間違いなくここは私の部屋だ。
「まさか本当に……?」
とその時、勢いよく扉が開き、端正な顔立ちの男が部屋に入ってきた。
「エマ、おはよう!そういえば、昨日の結婚式だけと本当に最高だったな!」
「え?……」
そこに立つ男性を見て私は驚きを隠せなかった。
「ジェームズ!!??」
なんとそこにいたのは、別れたはずのジェームズだったのだ。
しかもほんの少しだけ髪型も違って、若い気がする。
「ど、どうしてあなたがここにいるの……?」
私がそう問いかけると、彼は笑いながら言った。
「何言ってんだよ。俺たち、昨日結婚したじゃないか」
「……え?」
私は老婆の言葉に思わず首を傾げた。
「お嬢ちゃん、あんまり現実を悲観するもんじゃないよ。まだ若いんだからもっと前を向いて生きなきゃ。間違えたのならやり直せばいいのさ」
「はぁ……」
この人は一体何を言っているのかしら?過去?やり直す?
私が困惑した表情をしていると、彼女は言葉を続けた。
「私はただのしがないババアだが、実は魔法が使えてね。人を過去へ飛ばすことが出来るのさ」
「えっと……ふざけているのですか?」
「いやいや本当のことさ。嘘なんかついちゃいない」
「そう言われても……」
正直胡散臭い話である。
この目の前の老婆が魔法使いなんて、そんな話が本当なわけがない。
しかしそもそもこの老婆はどこから入ってきたのか。
魔法使いならバレずに入ってくることも可能かもしれないが……いやしかし……。
考えると頭がパンクしそうになってきたので、私は気持ちを切り替えるようにため息をはいた。
「……では仮にあなたの話が本当だとして、今ここで私を過去に飛ばすことはできますか?」
「ええ、もちろん」
老婆が自信たっぷりに微笑む。
「それならば……お願いします。過去の世界に行かせてください」
私は投げやりに言った。
本当に過去に飛べたらいいのにな……冗談半分にそんなことを思いながら。
「ほっほ、そうこなくっちゃ。じゃあさっそく始めるかね。目をつぶって、深呼吸をしなさい。大丈夫、痛くないから安心おし。すぐに終わる」
言われるがまま私は目を閉じる。
そして数秒後、体がふわりと浮かぶような感覚がした。
「着いたよ」
頭に響くその声にハッとなって目を開けると、私は自室の椅子に座っていた。
時刻はまだ朝方、小鳥が窓の外を飛んでいた。
「ここは……私の部屋よね?」
周りを見渡すと、見慣れた家具や物が目に映る。
間違いなくここは私の部屋だ。
「まさか本当に……?」
とその時、勢いよく扉が開き、端正な顔立ちの男が部屋に入ってきた。
「エマ、おはよう!そういえば、昨日の結婚式だけと本当に最高だったな!」
「え?……」
そこに立つ男性を見て私は驚きを隠せなかった。
「ジェームズ!!??」
なんとそこにいたのは、別れたはずのジェームズだったのだ。
しかもほんの少しだけ髪型も違って、若い気がする。
「ど、どうしてあなたがここにいるの……?」
私がそう問いかけると、彼は笑いながら言った。
「何言ってんだよ。俺たち、昨日結婚したじゃないか」
「……え?」
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