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第六話
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翌日。
私はララの手掛かりを探して、実家へと帰っていた。
久しぶりの娘の帰省に両親は笑顔で迎え入れてくれた。
「久しぶりだなマーガレット。一年振りか?王太子妃としての生活はどうだ?まだ子供は出来ていないみたいだがそのうち……」
「マーガレット!久しぶりね!会いたかったわ!」
父の長い話を押しのけ、母が私の肩に手を置いた。
父はため息をつき不服そうな顔をしている。
しかしそんな父に構うことなく、母は言葉を続ける。
「今日はどうしたの?」
「お久しぶりですお母様、私の部屋はそのままになっていますか?学園時代の写真を見たいのですが」
もし私とララに既に面識があるなら、それは学園時代の時かもしれない。
そう思って実家へと帰ってきたのだった。
もちろん手掛かりが見つかり次第、直ぐに王宮へと帰るが。
私の言葉に母は笑顔で頷いた。
「ええ、そのままになっているわ。いつあなたが帰ってきてもいいように」
「ありがとう、お母様。あ、あとお父様も」
私は両親にお礼を言うと、自室へと向かった。
自室の引き出しの一番下の段に学園時代の写真は入っていた。
入学当初のものから卒業アルバムまでたくさんあったが、私は時間をかけ、一枚一枚丁寧に見ていった。
どこかにララが映り込んでいるかもしれない。
そう思いながら写真に目を通していく。
「……これで最後か……」
時間が過ぎ、最後の写真の束に目を通す。
しかし結局ララの姿は見つからず、私は途方に暮れた。
と、その時、引き出しの奥に学園の生徒名簿が隠れているのを発見した。
「しまった……こっちから先に確認すればよかった……」
自分の至らなさを反省しつつ名簿に目を通していく。
指でなぞるように名前を確認していき、名簿の終わりが見える頃、私の指はピタリと止まった。
「あった……」
指の先にはララ・アンドルトの文字があった。
私はついに彼女の痕跡を発見したのだ。
さっと彼女のクラスを確認し、そのクラス写真に目を通す。
しかしララの面影がある人物なんてそこには写ってはいなかった。
「え……うそでしょ……」
名簿にも写真にも嘘偽りはない。
ならば考えられる理由は……。
「まさか……ララは顔を変えた……?」
と、その時、扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「マーガレット!さっきからノックしてるんだけど……大丈夫?」
母の声だった。
私は我に帰ると、扉を開けた。
ダメ元で母に問いかけてみる。
「お母様、ララ・アンドルトという方はご存じないですよね?私と同じ学園に通っていた方なのですが……」
「ああ、知ってるわよ。私、ララさんの母親と友達だもの」
「ええ!!??」
私はララの手掛かりを探して、実家へと帰っていた。
久しぶりの娘の帰省に両親は笑顔で迎え入れてくれた。
「久しぶりだなマーガレット。一年振りか?王太子妃としての生活はどうだ?まだ子供は出来ていないみたいだがそのうち……」
「マーガレット!久しぶりね!会いたかったわ!」
父の長い話を押しのけ、母が私の肩に手を置いた。
父はため息をつき不服そうな顔をしている。
しかしそんな父に構うことなく、母は言葉を続ける。
「今日はどうしたの?」
「お久しぶりですお母様、私の部屋はそのままになっていますか?学園時代の写真を見たいのですが」
もし私とララに既に面識があるなら、それは学園時代の時かもしれない。
そう思って実家へと帰ってきたのだった。
もちろん手掛かりが見つかり次第、直ぐに王宮へと帰るが。
私の言葉に母は笑顔で頷いた。
「ええ、そのままになっているわ。いつあなたが帰ってきてもいいように」
「ありがとう、お母様。あ、あとお父様も」
私は両親にお礼を言うと、自室へと向かった。
自室の引き出しの一番下の段に学園時代の写真は入っていた。
入学当初のものから卒業アルバムまでたくさんあったが、私は時間をかけ、一枚一枚丁寧に見ていった。
どこかにララが映り込んでいるかもしれない。
そう思いながら写真に目を通していく。
「……これで最後か……」
時間が過ぎ、最後の写真の束に目を通す。
しかし結局ララの姿は見つからず、私は途方に暮れた。
と、その時、引き出しの奥に学園の生徒名簿が隠れているのを発見した。
「しまった……こっちから先に確認すればよかった……」
自分の至らなさを反省しつつ名簿に目を通していく。
指でなぞるように名前を確認していき、名簿の終わりが見える頃、私の指はピタリと止まった。
「あった……」
指の先にはララ・アンドルトの文字があった。
私はついに彼女の痕跡を発見したのだ。
さっと彼女のクラスを確認し、そのクラス写真に目を通す。
しかしララの面影がある人物なんてそこには写ってはいなかった。
「え……うそでしょ……」
名簿にも写真にも嘘偽りはない。
ならば考えられる理由は……。
「まさか……ララは顔を変えた……?」
と、その時、扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「マーガレット!さっきからノックしてるんだけど……大丈夫?」
母の声だった。
私は我に帰ると、扉を開けた。
ダメ元で母に問いかけてみる。
「お母様、ララ・アンドルトという方はご存じないですよね?私と同じ学園に通っていた方なのですが……」
「ああ、知ってるわよ。私、ララさんの母親と友達だもの」
「ええ!!??」
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