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第十七話

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「二人とも今すぐ逃げなさい。ここは私が……」

早口にタリアはそう言ったが、私は素直にそれに従うことはなかった。
校長室での公爵の言葉が頭に蘇る。

『噂では本当にそれを必要とする者だけに古代魔法は扱えるというがな』

私はタリアの横に立った。
そして小声で彼女に言う。

「タリアさん。なぜか分かりませんが……先ほどから頭の中に呪文が浮かんできているんです。直感ですが、これは魔法を数倍の威力にして跳ね返せる魔法じゃないかなと……」

「……は?何言ってるの?」

「つまり、下がるのはタリアさんだということです」

私は微かに笑みを浮かべながらそう言うと、タリアの前に立った。

「ほう、ほう!ハンナ!恋敵を守るために前に立つか!やはりお前は面白い奴だぁ!!!」

公爵の手に魔力が集まる。
タリアが焦ったようにリチャードに顔を向ける。

「リチャード!ハンナが……」

「はい」

リチャードは額に汗を浮かばせながらも、諦めたように口を開いた。

「危険だということは分かっています。しかし……こういう時のハンナを止める術はありません。僕がそれを一番よく分かっています。ハンナを信じましょう」

「ありがとう、リチャード!」

私は後ろを見ないままに言った。
タリアがぼそぼそと何か呟いていたが、私はそれを無視して公爵から放たれるであろう魔法に意識を集中させる。

「ハンナ……罪を償う時が来たぁ!!!私のものになれぇ!!!」

公爵が獣のように雄たけびを上げると、こちらに向けた手の平から、大きな光の玉が発射された。
高密度に魔力が練りこまれたそれは乱回転をしながら突進してくる。
私はバッと両手の平を前に出す。

「罪を償うのはあなたよ!!!」

瞬間、光の玉が私の手の平に衝突し、辺りが光に包まれた……
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