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第十三話
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「やあ、ハンナ。また会ったね」
校長からの突然の呼び出し。
悪い予感はしていたが、まさかガラン公爵がいるなんて。
校長室に入った私は、思わず一歩後ずさってしまう。
「あの……校長先生、なぜガラン公爵がここに……?」
私の問いに校長は額に汗を浮かべながら答える。
「実は、公爵が君に話をしたいとおっしゃっているんだ」
「え?公爵が?」
公爵は小さく頷くと、こちらへ手招きする。
「そんな所で突っ立ってないでこちらで話そう。さあ」
恐る恐る公爵の近くまで歩を進める。
途端に彼の威圧感に襲われ、体が震えてきた。
校長も緊張しているのか、椅子に座らずに立ち上がっていた。
「……そう、その辺でいいよ。では、話を始めようか」
公爵は軽く息を吐くと、暗闇のような暗い瞳で私を見下ろす。
「先日、君を見た時、私はある違和感に襲われた。実は私の両目には見た者が魔法を使っているかどうか分かる魔法が宿っているのだが……君をよく見てみると、どうやら魔法を使っているみたいだったのだ」
「え……で、でも私魔法なんて使ってません……」
身の覚えのない公爵の言葉に私はたじろぐ。
「それに放課後の魔法使用は禁止されていますよね?どうして公爵は魔法を使えたんですか?」
私の問いに公爵が微かに笑みを浮かべた。
「私の魔法はこの学校に掛けられている魔法より魔力が強いのだ。だから使える。二つの魔法がぶつかれば魔力が強い方が勝つことは君も知っているだろう……?」
「……はい」
小さく頷くと、公爵が話を続ける。
「ハンナ。自分で自覚がないようだが、君は今この瞬間も魔法を使っているのだよ。とてつもない魔力だ……私にも匹敵するかもな……ふふっ」
彼はどこか嬉しそうだ。
「失礼。話を戻すが……先日君を観察してもその魔法の正体は分からなかった。分身魔法や洗脳の類かとも思ったが、そんな小細工に私が引っかかる訳がない。結局その場では分からなかった私は、家に帰り書物を漁った。そして発見したのだ……」
公爵は手に持った本を机の上に置いた。
そのままパラパラとめくると、時間転移魔法のページで手を止める。
「ハンナ。お前が使っていたのはこれだろ?時間転移魔法……古代魔法の一種で今はタイムスリップとも呼ばれている……」
瞬間全身に鳥肌が走る。
タイムスリップのことは誰にも言っていない。
信じてくれないからという理由もあるが、実はもう一つ理由がある。
古代魔法の使用は禁止されており、使用が確認された場合、最悪死刑になってしまうのだ。
公爵は嬉しそうに言った。
「罰を受けるのはお前の方だったようだな」
校長からの突然の呼び出し。
悪い予感はしていたが、まさかガラン公爵がいるなんて。
校長室に入った私は、思わず一歩後ずさってしまう。
「あの……校長先生、なぜガラン公爵がここに……?」
私の問いに校長は額に汗を浮かべながら答える。
「実は、公爵が君に話をしたいとおっしゃっているんだ」
「え?公爵が?」
公爵は小さく頷くと、こちらへ手招きする。
「そんな所で突っ立ってないでこちらで話そう。さあ」
恐る恐る公爵の近くまで歩を進める。
途端に彼の威圧感に襲われ、体が震えてきた。
校長も緊張しているのか、椅子に座らずに立ち上がっていた。
「……そう、その辺でいいよ。では、話を始めようか」
公爵は軽く息を吐くと、暗闇のような暗い瞳で私を見下ろす。
「先日、君を見た時、私はある違和感に襲われた。実は私の両目には見た者が魔法を使っているかどうか分かる魔法が宿っているのだが……君をよく見てみると、どうやら魔法を使っているみたいだったのだ」
「え……で、でも私魔法なんて使ってません……」
身の覚えのない公爵の言葉に私はたじろぐ。
「それに放課後の魔法使用は禁止されていますよね?どうして公爵は魔法を使えたんですか?」
私の問いに公爵が微かに笑みを浮かべた。
「私の魔法はこの学校に掛けられている魔法より魔力が強いのだ。だから使える。二つの魔法がぶつかれば魔力が強い方が勝つことは君も知っているだろう……?」
「……はい」
小さく頷くと、公爵が話を続ける。
「ハンナ。自分で自覚がないようだが、君は今この瞬間も魔法を使っているのだよ。とてつもない魔力だ……私にも匹敵するかもな……ふふっ」
彼はどこか嬉しそうだ。
「失礼。話を戻すが……先日君を観察してもその魔法の正体は分からなかった。分身魔法や洗脳の類かとも思ったが、そんな小細工に私が引っかかる訳がない。結局その場では分からなかった私は、家に帰り書物を漁った。そして発見したのだ……」
公爵は手に持った本を机の上に置いた。
そのままパラパラとめくると、時間転移魔法のページで手を止める。
「ハンナ。お前が使っていたのはこれだろ?時間転移魔法……古代魔法の一種で今はタイムスリップとも呼ばれている……」
瞬間全身に鳥肌が走る。
タイムスリップのことは誰にも言っていない。
信じてくれないからという理由もあるが、実はもう一つ理由がある。
古代魔法の使用は禁止されており、使用が確認された場合、最悪死刑になってしまうのだ。
公爵は嬉しそうに言った。
「罰を受けるのはお前の方だったようだな」
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