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一通り自己紹介が終わり、明日の連絡を受けホームルームが終了した。自己紹介が素晴らしく事故った後で、サワのテンションはどん底まで落ちていた。
「なぁなぁ、お前よくあんなおもしれーこと言えたなぁ。すごいぜ」
そう言って声をかけてきたのは後ろの席にいる緑の髪をオカッパにした男子生徒だ。確か名前は李号ジュンと言ったはずだ。それにしてもあの自己紹介は、男子には評価が高かったらしい。
「俺のことはジュンって呼んでいいぜ。よろしくな、サワ」
「お、おう。よろしく」
「明日の獣決めの行事、楽しみだよな」
「なんだそれ、そんなのあるのかよ。自分で好きな獣を選べるんじゃないのか?」
「何言ってんだよ、1番相性がいい獣を決めてそれを使うのがこの学校の伝統だろ?」
普通の獣使い学校では、自分の選んだ獣を使い、その動かし方やトレーニングに励むものである。しかし、この超名門校である美咲が丘学院では、あらかじめ獣が決められてしまうのだ。
名門、と言ってはいるが何をもって名門というのか、それは毎年二回行われる闘技大会の結果である。獣同士を戦わせ、相手の獣を気絶させた方が勝ちという、なんとも古風な大会なのだ。これは獣使い学校の全生徒が強制的に参加しなければならない大会である。
その闘技大会で8年連続優勝を成し遂げているのがこの美咲が丘学院なのだ。その大会の結果次第で今後の就職、進学に影響を与えるため全ての生徒が全力で取り組んでいる。
そのための獣を明日決めるというのだ。ワクワクしないわけがない。
どんな獣になるのだろうか。ホワイトタイガーとかライオンなんかは強そうだよな。鷹とか鷲もスマートで実にかっこいい。どんな獣になるのか楽しみで夜も眠れそうにないなぁ。。などとサワが考えていると、
「ちょっと、あの自己紹介は何? セクハラじゃないの?」
サワの机の正面に立っているのは、黒髪ストレート、きつい目つきの女子生徒だ。こんなに睨んでいなければ相当な美人だ。いや、睨んでいても美人だ。しかも巨乳。グッジョブ!
「ねぇ、聞いているの? あなたの発言に問題があったのではないかと言っているのよ」
「あ、あぁ。すまない。ちょっと調子に乗りすぎてしまった。でも事実だろ? 男なんてみんなおっぱいと尻しか見てないんだよなぁ」
「な、何を言っているの!?」
目の前の美女、財津リンは顔を赤らめながら自分の胸を抱くような格好をした。そんなことをするともっと巨乳をアピールしているように見えるのだが、本人は胸を隠しているつもりらしい。
「なにって、男子高校生の生態の話だよ。ホラ見てみ、ジュンだってお前の胸ばっか見てるぞ」
「なっ! ばか、俺を変態扱いすんじゃねぇよ!」
ジュンは全力で否定しているがリンの胸から目を離しきれていない。そんな様子を見たリンはますます顔が赤くなる。こいつ、こんなふうにツンツンしてるけど意外と可愛いやつじゃないのか?
「と、とにかく! 人前であんなに堂々と下ネタを言うんじゃないわよ! この遅刻ウサギ!」
遅刻ウサギ。的を射たあだ名だ。今後、そんな不名誉なあだ名で呼ばれ続けるのだろうか。なかなか先が思いやられる学校生活である。
リンはすでに背を向けてドアの方へ歩いている。こう言う人がクラス委員とかに立候補するんだろうなぁ。。なんて思いながら見送っているとジュンが、
「なあ、知ってるか、あの財津リンってやつ、中学校の頃から獣使いの学校に通ってたらしいんだけど、めちゃくちゃ強いらしいぞ。なんでEクラスなんだろうな」
ん? 引っかかるところがあるぞ。
「なんでEクラスなのかって、どーゆー意味だ?」
「どーゆー意味って、クラス分けテストあったじゃん。あれの実技と知識の二種類のテストの結果でクラス分けされてんだよ」
「初耳だぞおい」
そうだ。入学式に遅刻した罰としてサワは成績最低クラスにはいったのだ。と言うことはこのクラスは落ちこぼれの集まりってわけか。。
案外、サワはテストを受けてもEクラスに来ていたのかもしれない。これと言った特技があるわけでもなく、入試テストは最低点ギリギリで通過したのだから。
「おい、ジュン」
「なんだ? テストを受けていればAクラスだったかもしれない、なんて言うなよ。あいつらは化け物だぜ」
「いや、学食の場所を聞こうと思ったんだが、なんだ、Aクラスってそんなにすごいのか?」
「すごいもなにも、実技テストの方は見物客が来ていたくらいだ。ほら、獣の大きさと性格、思考力は獣を使う人の技量によった変わるじゃん? それでみんなにハムスターが与えられたんだけど、Aクラストップのやつ、人間よりでかいハムスターを生み出しやがったんだぜ」
人間より大きなハムスターをハムスターと呼べるのだろうか。その大きさになると、激太りした熊という方が正しいような気もするが、問題点はそこではない。
「そんなヤツと同じ学校にいるってことが怖いな。無礼を働いたら殺されかねない」
「さすがに法律で決められてんだから殺されんだろうが、俺なんか掌サイズのハムスターしか出せなかったぜ」
「それが普通だろ。そもそも、大きい敵に対して小さい者が戦う時に、口から体内に入って内臓を攻撃するという漫画では定番のリスクを考えれば大きくなるだけが戦略ではない気もするんだが」
「そうかもしれねぇけど、とにかく化け物なんだよ。校内大会であいつらと対戦するのは極力避けたいぜ」
確かにその通りだ。サワは高校から獣使い学校に入学したため、自分の獣を使役したことがなく、自分の獣使いの技量や素質については全くの無知であった。
「なぁなぁ、お前よくあんなおもしれーこと言えたなぁ。すごいぜ」
そう言って声をかけてきたのは後ろの席にいる緑の髪をオカッパにした男子生徒だ。確か名前は李号ジュンと言ったはずだ。それにしてもあの自己紹介は、男子には評価が高かったらしい。
「俺のことはジュンって呼んでいいぜ。よろしくな、サワ」
「お、おう。よろしく」
「明日の獣決めの行事、楽しみだよな」
「なんだそれ、そんなのあるのかよ。自分で好きな獣を選べるんじゃないのか?」
「何言ってんだよ、1番相性がいい獣を決めてそれを使うのがこの学校の伝統だろ?」
普通の獣使い学校では、自分の選んだ獣を使い、その動かし方やトレーニングに励むものである。しかし、この超名門校である美咲が丘学院では、あらかじめ獣が決められてしまうのだ。
名門、と言ってはいるが何をもって名門というのか、それは毎年二回行われる闘技大会の結果である。獣同士を戦わせ、相手の獣を気絶させた方が勝ちという、なんとも古風な大会なのだ。これは獣使い学校の全生徒が強制的に参加しなければならない大会である。
その闘技大会で8年連続優勝を成し遂げているのがこの美咲が丘学院なのだ。その大会の結果次第で今後の就職、進学に影響を与えるため全ての生徒が全力で取り組んでいる。
そのための獣を明日決めるというのだ。ワクワクしないわけがない。
どんな獣になるのだろうか。ホワイトタイガーとかライオンなんかは強そうだよな。鷹とか鷲もスマートで実にかっこいい。どんな獣になるのか楽しみで夜も眠れそうにないなぁ。。などとサワが考えていると、
「ちょっと、あの自己紹介は何? セクハラじゃないの?」
サワの机の正面に立っているのは、黒髪ストレート、きつい目つきの女子生徒だ。こんなに睨んでいなければ相当な美人だ。いや、睨んでいても美人だ。しかも巨乳。グッジョブ!
「ねぇ、聞いているの? あなたの発言に問題があったのではないかと言っているのよ」
「あ、あぁ。すまない。ちょっと調子に乗りすぎてしまった。でも事実だろ? 男なんてみんなおっぱいと尻しか見てないんだよなぁ」
「な、何を言っているの!?」
目の前の美女、財津リンは顔を赤らめながら自分の胸を抱くような格好をした。そんなことをするともっと巨乳をアピールしているように見えるのだが、本人は胸を隠しているつもりらしい。
「なにって、男子高校生の生態の話だよ。ホラ見てみ、ジュンだってお前の胸ばっか見てるぞ」
「なっ! ばか、俺を変態扱いすんじゃねぇよ!」
ジュンは全力で否定しているがリンの胸から目を離しきれていない。そんな様子を見たリンはますます顔が赤くなる。こいつ、こんなふうにツンツンしてるけど意外と可愛いやつじゃないのか?
「と、とにかく! 人前であんなに堂々と下ネタを言うんじゃないわよ! この遅刻ウサギ!」
遅刻ウサギ。的を射たあだ名だ。今後、そんな不名誉なあだ名で呼ばれ続けるのだろうか。なかなか先が思いやられる学校生活である。
リンはすでに背を向けてドアの方へ歩いている。こう言う人がクラス委員とかに立候補するんだろうなぁ。。なんて思いながら見送っているとジュンが、
「なあ、知ってるか、あの財津リンってやつ、中学校の頃から獣使いの学校に通ってたらしいんだけど、めちゃくちゃ強いらしいぞ。なんでEクラスなんだろうな」
ん? 引っかかるところがあるぞ。
「なんでEクラスなのかって、どーゆー意味だ?」
「どーゆー意味って、クラス分けテストあったじゃん。あれの実技と知識の二種類のテストの結果でクラス分けされてんだよ」
「初耳だぞおい」
そうだ。入学式に遅刻した罰としてサワは成績最低クラスにはいったのだ。と言うことはこのクラスは落ちこぼれの集まりってわけか。。
案外、サワはテストを受けてもEクラスに来ていたのかもしれない。これと言った特技があるわけでもなく、入試テストは最低点ギリギリで通過したのだから。
「おい、ジュン」
「なんだ? テストを受けていればAクラスだったかもしれない、なんて言うなよ。あいつらは化け物だぜ」
「いや、学食の場所を聞こうと思ったんだが、なんだ、Aクラスってそんなにすごいのか?」
「すごいもなにも、実技テストの方は見物客が来ていたくらいだ。ほら、獣の大きさと性格、思考力は獣を使う人の技量によった変わるじゃん? それでみんなにハムスターが与えられたんだけど、Aクラストップのやつ、人間よりでかいハムスターを生み出しやがったんだぜ」
人間より大きなハムスターをハムスターと呼べるのだろうか。その大きさになると、激太りした熊という方が正しいような気もするが、問題点はそこではない。
「そんなヤツと同じ学校にいるってことが怖いな。無礼を働いたら殺されかねない」
「さすがに法律で決められてんだから殺されんだろうが、俺なんか掌サイズのハムスターしか出せなかったぜ」
「それが普通だろ。そもそも、大きい敵に対して小さい者が戦う時に、口から体内に入って内臓を攻撃するという漫画では定番のリスクを考えれば大きくなるだけが戦略ではない気もするんだが」
「そうかもしれねぇけど、とにかく化け物なんだよ。校内大会であいつらと対戦するのは極力避けたいぜ」
確かにその通りだ。サワは高校から獣使い学校に入学したため、自分の獣を使役したことがなく、自分の獣使いの技量や素質については全くの無知であった。
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