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先生の方が……?

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「環、俺に全部くれると言ったろ?」
「そ、そうはいっても。む、む、むり」

 仕事終わりに拉致された。語弊はない。拉致された。腕を引かれて車の中に押し込められた時、「ああ先生と付き合えてハッピー! なんていい日! っていう日に死ぬんだ」と本気で思った。だって先生が誘拐犯だなんて思いもしないでしょう?

 と、私は車の中で先生に不満をさんざんぶちまけた後、立派なホテルのスイートな一室に閉じ込められた。語弊はない。ドアを背にした先生は本当に監禁犯のようだ。
 しかし、私は案外単純なのか、美味しいルームサービス(国産牛肉100パーセントハンバーグめっちゃ美味しかった)を堪能し、今現在ソファにごろりとしていた。
 
「あー、美味しかったー」
「よし、じゃー、はじめっか」

 ぱん、と膝を叩いた先生は何のためらいもなくこう言った。

「脱いで」

 全部みたいから。と言われた時に私は爆発した。語弊はない。主に赤面という意味で。

「いやです!」
「俺も脱ぐから」
「そういう問題じゃなくて」
「この間、やられっぱなしだったから。今度は俺が可愛がる」

 ばさばさとシャツを脱ぎ捨てる先生。いきなり現れる裸体に私は目をそらせなかった。メガネを放り投げ、ぐしゃ、と髪を乱している。昼間あった無精髭がいつの間にか無くなっていて、精悍な顔つきの先生がいた。

「お前の好きなかっこいい俺が言ってるんだ。脱げよ」

 バリトンボイスで命令される。私の本能が逆らうなと叫んだ。声に犯されているのか、私の陰部からたらりと蜜が流れ出る。

「あ、せん、せ」

 あの日の夜のように、先生の硬くて太い陰茎で思いっきりかき回してほしい。そんなことを想像すると、蜜がとめどなく溢れてきた。

「期待したろ?」
「……っ」

 こくり、と私は頷く。すると先生はもう一度脱げ、と私に命令した。恥ずかしさはもう消えた。先生の声が医者の私をオフにするスイッチになった。私はワンピースのファスナーを下ろす。しゅるしゅると衣擦れの音ともに、医者である叶環も脱ぎ捨てる。タートルネックのカットソーの裾に手をかけ、勢いよく脱ぎ捨てる。そして、先生が残した蝕みを見せつけた。

「……環の肌は白いから。赤が残りやすいんだな」

 いつの間にかベッドに腰掛けた先生は、私のストリップ劇場をじっと見ていた。口角が上がっているので、楽しんでいるようだ。
 首筋に夥しいほどの赤いキスマーク蝕み。よほど強く吸われたのか、全く消える気配が無かった。

「これが消える前に何とかするつもりだったが……」

 きし、とベッドが軋む音。一歩、また一歩と先生が私に近づいてくる。
 質のいいナイロン製の絨毯が近寄る先生の足音を吸収していた。今聞こえる音は、自分の心臓の音だけだ。

「たまき」
「は、い」
「好きだ」
「……は、い」
「返事は?」
「わたし、もすき」

 ぷつん、と独特の拘束感から解き放たれる。シラフで口にした『好き』によって私の涙腺が決壊した。好きでいてもいいこと、先生も同じ気持ちであること。涙を流す理由としては十分だった。
 しかし、解き放たれたのは私の気持ちだけではなかった。ひんやりするな、と思って下を見るとあったはずのブラジャーが消えていた。何かが弾けたとは思っていたが、それは自分の気持ちでは無かった。つまり、ブラジャーのホックを外されぽろりの状態だ。

「ひ、ひゃぁあぁ!」
「おお、やっぱり。思ったよりでかい」

 弾けたのは私のブラジャーのホックだった。気がつくと先生の大きな手がやわやわと私の胸を揉んでいた。

「ちょ、まっ、」
「ん? もう待たない」

 揉まれたことが刺激となり立ち上がった乳首を先生の指が弾いた。しゃっくりをしたかのように喉が引き攣る。こりこりと甘くしごかれ、甘ったるい声が室内に響いた。

「大きいと感度悪いとか嘘だよな」
「ん、んっ……くっん」

 環は乳首責められるのが好きだよなぁ、と勝手を知ったように先生が語る。違うと否定したくても、強い刺激に何も言えなくなってしまった。

「あっ、ぅ……ん」
「環の味を知りたい」

 この間私が言ったことをそっくりそのまま返された。ばか、と小さく先生の胸を叩く。にや、と片方の口角だけ上げた先生と目が合うと勢いよく腰を引かれた。一瞬の浮遊感の後に、柔らかいベッドに体を押し付けられた。
 そしてすぐに、ぷっくり立ち上がった乳首を舐められた。

「っ、あぁん!」
「いいか?」

 乳首を舐められながら話すせいか。私は子犬のように泣き続けるしかなかった。私の肌を味わうように、先生は乳首以外にも舌を這わす。熱くて、でも通り過ぎて行ったあとはひんやりして。与えられる様々な感覚に、私の脳はパニックを起こしそうになっていた。

「ん、っァ、あぁん……」

 すごく気持ちいい。だらしなく開かれた口から何度もその言葉が飛びだす。酒など飲まなくても、私はやっぱり先生から与えられる快楽に弱かった。

「今日はじっくり……な?」

 ちゅぽ、とわざと音を立てて、先生は私の乳首から口を離した。柔らかい髪をかきあげて、そんな風に言われたらもう私は……。

「おねがいします……きもちいいの、好き」

 こう言うしか無かった。


□□

「ん、っ……あぁ、そこ、ばっかり」

 私は今絶賛喘ぎ中。私の味を知りたいと言った先生の言葉に嘘はなかった。散々私の乳首をいじめ抜いた後、今度は濡れそぼった陰部に狙いを定めた。

「だって環のクリトリス、気持ちよさそうだから」

 ぐに、とはち切れんばかりに膨らんだクリトリスを舌で押しつぶされる。もう何度目か分からない絶頂が私を襲う。先生の柔らかな髪を握りしめて、快感の波に飲まれた。
 真っ白な世界から戻ってくるためには、おとぎ話のようなキスが必要なのかもしれない。先生の厚ぼったい唇が私のものに重なると、私はすぐに戻ってこれた。

「なあ、俺もそろそろ限界なんだ」
「……え、え?」
「あの日みたいに強請れよ」

 耳元を舐られるながらそう囁かれた。あの日のおねだりは酔っていたから出来たんです、と首を振って抵抗する。しかし、質量を増した先生の陰茎が私のクリトリスを刺激した瞬間。羞恥はもろく崩れ去った。

「……せんせいのかたちにして……」

 叶環は、はやくいれてとおねだりしちゃういやらしい人間だ。
 でも、それは、先生の前だけ。

「上等」

 私は足を広げて、次にくる快感を待った。


□□


「先生、町田さんがお話したいと」
「ん。すぐいく」

「先生、この薬はこの量であってます?」
「計算式教えたろ? ステロイドカバーも抜けてる」

 職場では指導医の関係。
 家に帰れば、恋人。

 それってずぅっといっしょにいられてすごく幸せなことだよね。でも最近私は思うことがあるの。

「環! 診察を始めるぞ!」
「ここでは叶です」

 公私をわけられていないのは先生のほうかもって。私が真夏でもタートルネックを着なくちゃいけないってことはそういうことでしょ?
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みんなの感想(1件)

ふじこですか

こんばんは、

好きならこれぐらい、ありかな!!
と思う内容でした。
良かったです。
この前の話も何回か読み返してます。
いいですよね。ハッピーエンド

ぐるもり
2020.01.05 ぐるもり

感想ありがとうございました!
何度も読み直していると嬉しいお言葉に感謝いたします!返信が遅くなりまして大変失礼しました。また他のもお読みいただけたら幸いです!

解除

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