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アリシア外伝・窓の外の雪 

アリシア外伝・窓の外の雪 10

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 幸いこの店の席はグループごとに完全に仕切られている。
 若者同士騒ごうが、いちゃいちゃしようが平気と言うのもこの店の売りの一つだ。

 そして、こんなこともあろうかと、内部構造を知っているこの店に入ったのだ。

 リオンがどんなに騒ごうと、ここはしっかりと腰をすえて兄に代わって教育してやらねば。

「あのね、何を吹き込まれて育ったのかは知らないけどアンタの兄ちゃんは男!
 でもって、アンタもそんなナリだけど男!
 男同士は結婚できないのっ!
 コレ常識よ?」

「…………常識」

 リオンは呟いて青ざめた。

 この子はどういう育ちをしたのか少々常識に欠けている。
 エルもちょっとウザい性格なうえ、ところどころ非常識だが町で買い物も出来ないほどではない。

 リオンを例えて言うなら、塔にでも閉じ込められて育った世間知らずなお姫様?

 彼は馬鹿ではない。
 ……むしろ頭はかなり良い。

 なのに、皆が当たり前のように知っている事を時々全く知らない。

 私は最初、この子が行方不明のマザコン王子ではないかと疑っていた。
 あんなに見事な金の髪、金の瞳はそうあるものではない。
 態度もすごくおぼっちゃん?くさいし。

 あのエルシオンのマザコン王子も剣の腕だけはずば抜けていたと噂に聞いていたし、リオンにかしづくエルは王子付き、もしくはご学友の貴族の子弟と考えればつじつまが合う。

 でも、どんなに頑張ってもリオンは15歳近くには見えない。
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