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再会小話3 そうだ、バイトをしよう 

再会小話3 そうだ、バイトをしよう 7

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 用意された高級ホテルでこれまた『お詫び』のタダ・ディナーをエルたちと食い……気がつけばかなり遅い時間となっていた。

「じゃ、またな!」

 挨拶もそこそこに、部屋に帰ってさっさと荷物をまとめる。
 逃亡……いや、転進の準備をするためだ。

 金は3ヶ月余裕で暮らせるぐらいもらったし、さっき小ぶりの宝石も一つ作っておいた。
 さあ、ココからは魔力を全力で封じて転進だッ!!

 柔らかいベットに少々未練はあったけれど、奴らと関わっているとロクなことがない。
 無用な我慢でアリシアの美しい額にシワでもできたら大変だ。

 よし! 出発!!

 ワタシは荷物を背負って颯爽とドアを開けた。

 開けたらそこに、リオンがニコニコしながら立っていた。

 うおッ!!
 相変わらず気配をさせないことには達人級だな。
 本当にアースラそっくり。嫌な奴だ。

「今日はお疲れ様でした。
 それから、……兄様がヴァティールさんを勝手に『脅し』に使ってしまい、大変申し訳ありませんでした」

 言って、リオンは愛らしく頭を下げる。

 エルなんか侘びの一言もなかったからなァ。
 その点ではリオンの方が『大人』と言える。ここは大きな心で許してやるかァ。

「ま……それぐらいはいいさ。
 それより、ワタシは聞いていたぞ?
 オマエ『滅びの呪文』を使おうとしていただろう。
 流石にアレはマズイんじゃないのか?」

 そう言うと、

「ええっ!
 聞こえちゃってたのですか?
 恥ずかしいです~っ!」

 と、好きな人の名をうっかり知られた女学生のように、リオンは中途半端に顔を隠しつつ頬を染めた。

 うん。恥ずかしいぞ。
 あれぐらいで街一つ壊滅させようとしたオマエの心の狭さ。魔獣のワタシから見ても恥ずかしいぞ。

 一応『途中で止めて発動はさせないつもりだった』『ちょっと気晴らしに唱えてみただけ』とか言っていたが、本心なのだかどうだか……。

「じゃ、そういうことでオヤスミ」

 とりあえずこれ以上深入りしても百害あって一利なし。
 部屋のドアを閉じて追い払おうとしたら、なんと奴は何気にドアの隙間に足を突っ込んでいた。

 オマエは新聞の勧誘員かっ!!

「まだ寝ませんよ? 子供じゃあるまいし。
 前回はせっかく再会できたというのに、ヴァティールさんを一人放っておいて大変申し訳ありませんでした。
 ……だから、今日は一緒に夜を徹してトランプをして親睦を深めましょうよ☆」

 奴はニコニコ笑いながら言った。

 ウザ……。
 前より明るくなったのは喜ばしいが、頼むから放っておいてくれ……。
 それが『本当の親切』というものだ。

 しかし、せっかくの好意なので頷いた。
 断ったら逆ギレして封印されそうな気がしたのだ。

 まァいいかァ。
 トランプぐらい、付き合ってやろう。

 そういえば娘たちともよくやっていたっけなァ?
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