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そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)

そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)6

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 薄暗い各牢獄は幾通りもの小さな抜け道で繋がっており、上手く正解の道を通ればゴールに至る。
 地下の隠し階段や横穴はアルフレッド王が城内を徹底探査したときのなごりであろう。

 ホント、ボッコボコに掘ってやがんなァ。

 ゴールへと至る道はその日によって変えられており、10人程度のチームで探査しながら進むこととなっている。
 大人しく並んでいると係の者がワタシとエル、リオンのほか7人の人間を1チームとしてまとめてくれた。

 そのうちの2組がカップルだ。

「いや~ん、怖ぁい❤」

 ろうそくの明かりだけの薄暗さに紛れて、女が甘えた声を上げた。
 そうして男の腕に絡みついた。

 それは良いのだが、相手が違う。暗闇で間違えた振りをして、エルの腕を掴んだのだ。

 瞬間、リオンの顔が般若に変わる。
 他の人間どもにはわからないだろうが、ワタシの目には真昼のごとくハッキリと見えるのだ。

 あの女、最初からエルの方をチラチラと見ていたが、なんという命知らずだ。
 明日の新聞の一面は、

『ダンジョンで殺人事件!! 血で染まるエルシオン城!!』

 ……で決まりかとハラハラしていたら、エルがその女性の手をそっと引き剥がして言った。

「お嬢さん、パートナーをお間違えのようですよ? 
 あなたのパートナーはあちらです」

 そう言って彼氏の方に押しやる。

 その後リオンの方に向き直り、

「間違えられちゃった。テヘ」

 と、優しく笑った。

 何が「てへ」だ。
 本当はジジイのくせに。

 あきれながら見ていたら、やはりリオンもあきれたように兄を見ていた。

「もう~しょうがないですね、兄様は。しょっちゅう間違えられるんだから……」

 リオンはもう怒ってはいないようだったが、それでも例の女をけん制するようにエルの胸に飛び込んだ。
 エルもリオンを包み込むように抱きしめる。

 それを例の女が悔しそうに睨み付けていた。

 もちろんリオンは兄には見えないように、女に向かってニヤリと悪そうな笑顔を浮かべていた。

 何だ。
 更正したように見えたが、意外と本質は変わっていないじゃないか。
 ワタシもこれからはきちんと用心し、より一層の警戒をしなければならないなァ。

 でもダンジョンに仕掛けられたアレコレより、こっちを見ていたほうが面白れーや。

 これが噂に聞く『メロドラマ』という奴だな。
 生では初めて見たぞ。

 そんなこんなのハプニングはあったが、無事にダンジョンを通過して記念のハンドタオルをもらい、次は隣の神殿跡に向かう。 
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